精神医学 Vol.68 No.4
2026年 04月号
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特集にあたって
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特集にあたって
數井裕光(高知大学医学部神経精神科学講座/本誌編集委員)
本特集を発想したのは,ちょうど,私が国際水頭症学会と国際老年精神医学会に連続して参加していた時期であった。特発性正常圧水頭症の診療においては,世界と本邦とでは異なる進化を遂げてきた。このことは世界的にも有名で,今回の国際学会でも,海外の研究者が「国際的には……,日本では……」というような表現で発言されることがあった。また,老年精神医学の分野においても,本邦は高齢化がいち早く進んだ国で,介護保険制度を整え,認知症基本法も制定された世界のトップランナーである。抗アミロイドβ抗体薬についても,かなり例外的に広く公的保険で使える国の1つである。このように,私が専門としている2つの領域では,世界と本邦とではだいぶ異なる点がある。それでは多分野にわたる精神科医療全体ではどうなのか,診療方法やその内容,その基盤となる考え方は,本邦と他国とでは異なるのか,それとも同様なのだろうかということに関心をもった。
そこで本特集では,重要な精神科領域を取り上げ,それぞれの分野・領域のエキスパートの先生方に,本邦の診療を世界の診療と比べていただき,類似する点,異なる点などについて解説していただくことをお願いした。それぞれの疾患や診療分野によって,状況は大きく異なると思われるので,執筆していただく内容については,本誌編集委員会でいくつかの候補,すなわち「他国の先進的な診療や,ベストプラクティスなどを紹介し,本邦の診療内容と比較する」「本邦が世界をリードしている分野については積極的に記載する」「受診までに至る経路,診断方法,心理検査や画像検査などの選択,治療法,他科との診療連携や病診連携,生活支援への取り組みなどについて取り上げる」「研究的な活動にも触れる」を挙げたが,各執筆者が重要だと思われることを優先していただいた。また,世界との比較においては,客観的なデータを得ることが難しい項目もあると思われたので,確固たるデータに基づかなくても,印象に基づいて執筆いただいてよいこととした。
本特集にご寄稿いただいた論文はどれも非常に興味深く,本邦と世界との違いが丁寧に解説され,またその違いに歴史的背景,医療保険制度,法律,宗教などとともに,診療の背景にある根本的な思想も影響していることを知ることができた。多くの読者も,私と同様の感想をもっていただけると思っている。そして本特集が,私たちが次にどのようなアクションをとるべきかを考える材料になれば嬉しい。
収録内容
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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。
特集 精神科診療の世界くらべてみたら
企画:數井 裕光
特集にあたって
數井 裕光
■Editorial
精神科診療の日本と世界の相違──特発性正常圧水頭症に対する日本と米欧の診療の相違とその背景
數井 裕光
■領域別
神経発達症の人に対するイングランドの診療
内山 登紀夫
アルコール依存症の人に対する診療──日米の比較を中心に
松下 幸生
老年精神医学・認知症領域の診療──国際比較の視点から見た日本の特徴
品川 俊一郎
リエゾン精神医療の日米比較
宮島 美穂・他
緩和ケアの国際比較
森 雅紀
妊産婦に対するメンタルヘルスケア──英国・諸外国と日本との比較
安田 貴昭・他
■治療
精神分析療法──欧州・アジア・日本の状況
衣笠 隆幸
世界の認知行動療法の潮流──多職種化・行動医学化の国際比較と日本への示唆
堀越 勝
森田療法の今──国内外の動向と課題
南 昌廣
内観療法──その治療機序と国際的展開
河合 啓介
電気けいれん療法(ECT)と反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)療法の国際比較
山﨑 龍一・他
■社会・制度
若者のメンタルヘルス困難への支援──国内外の研究から
成田 瑞
精神障害をもつ人を対象とした就労支援──国内外の潮流をふまえて
佐藤 さやか
自殺予防の国際的動向
大塚 耕太郎・他
日本とアラブ諸国の精神科医療の比較──ヨルダンでの外務省医務官と日本での精神科診療所の経験から
紫藤 昌彦




