精神医学 Vol.68 No.3
2026年 03月号

ISSN 0488-1281
定価 3,080円 (本体2,800円+税)

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特集にあたって
金生由紀子(全国療育相談センター/本誌編集委員)

 小児期逆境体験(adverse childhood experiences:ACEs)が,発達過程はもちろん成長後の心身の健康に大きな影響を及ぼすことが明らかとなり,ライフサイクルをまたぐ連鎖に関する検討も重要となっている。ただし,ストレスを全くなくすことはできないので,逆境を体験してもその悪影響を軽減させたり,むしろ発達の機会としたりする関わり方を探ることが考えられる。その際に,小児期の肯定的体験(positive childhood experiences:PCEs)がACEsの影響を緩和できるのか,できるとしたらどのような関わり方がありうるのかなど両者の関係を検討することが有意義であり,同時に,本人および環境の両面を総合することで検討が深まると思われる。ここでいう環境とは,家族など身近な周囲から社会全体まで幅広く考えられる。
 そこで本特集は,ACEsとPCEsが絡み合いつつ及ぼす影響について,発達的観点および生物学的・心理社会的観点から照らし出していただけたらと考えて企画した。まず,ACEsの概論から国際的な知見とわが国の現状を紹介いただき,次にライフサイクルに沿って,それぞれの時期に生じやすいメンタルヘルスの問題や生活上の課題との関連でACEsの影響を論じていただき,治療や支援への示唆をいただいた。また,当事者の語りを通して,サバイバーが置かれている現状について問題提起と臨床家への提言が寄せられた。そして,ライフサイクルをまたぐ連鎖に焦点を当てて,心理社会的観点および生物学的観点からACEsのメカニズムに迫り,連鎖防止への働きかけにおけるPCEsの可能性も示していただいた。
 本特集を通して,ACEsに比べると知見がまだ少ないPCEsの理解が深まり,ACEsとPCEsの影響が次世代にどのようにつながっていくのかが少しでも明らかになることで,当事者がより納得のいく人生を生きていけるよう,本人から当事者を取り巻く家族や仲間,学校や地域を含む社会まで,どこへどのようにアプローチできるかを考えられるようになれば幸いである。

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価格については医書.jpをご覧ください。

特集 ライフサイクルからみた小児期の逆境体験(ACEs)および肯定的体験(PCEs)
企画:金生 由紀子

特集にあたって
金生 由紀子

こども期の逆境的・肯定的体験とその臨床的・予防的意義
西 大輔

ACEs・PCEsの国際的潮流と日本の現状
山口 有紗

小児期の逆境体験(ACEs)および肯定的体験(PCEs)が子どもや若者へもたらす影響
桝屋 二郎

小児期の逆境体験が妊産婦のメンタルヘルスに与える影響
清野 仁美

子育てにおける小児期逆境体験(ACEs)の影響
山田 理恵・他

ACEsをもつ人が老親と向き合う時期のメンタルヘルスへの影響
青木 省三

ACEsをもつ人が高齢になり人生を振り返る時期のメンタルヘルスへの影響
宮﨑 健祐

小児期の逆境体験(ACEs)当事者の語りから
大岡 由佳・他

ライフサイクルをまたぐACEsの連鎖──心理社会的観点からの検討
小橋 孝介

ライフサイクルをまたぐACEsの連鎖──生物学的観点からの検討
堀 弘明

ライフサイクルをまたぐ負の連鎖へのはたらきかけ──治療を通してみる本人支援の要点
八木 淳子

ライフサイクルをまたぐACEsの連鎖を断つために──環境を中心にPCEsを促進する支援
山根 謙一・他


●資料
医療機関と児童相談所との連携──愛知県精神医療センターでの取り組み
鈴木 佳乃子・他

●症例報告
幻覚と考想可視を伴った瀬川病男児の症例
高橋 奈那・他

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