精神医学 Vol.68 No.2
2026年 02月号

ISSN 0488-1281
定価 3,080円 (本体2,800円+税)

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特集にあたって
中尾智博(九州大学大学院医学研究院精神病態医学/本誌編集委員)

 「我思う,ゆえに我あり」の言葉で有名な17世紀のフランス哲学者ルネ・デカルトは,〈心(精神)〉と〈身体(物質)〉は独立して存在するという,いわゆる心身二元論を提唱し,精神医学の歴史にも大きな影響を与えた。しかし今日における医学はこの心身二元論に否定的である。「唯脳論」の養老孟司,「ソマティック・マーカー仮説」のアントニオ・ダマシオ,あるいは神経精神分析を展開するマーク・ソームズらは,心と身体は切り離しては考えられないとする心身一元論の立場をとる。養老は「唯脳論」の中で,「脳と身体とは,明瞭には分離できない。なぜなら,身体のほぼいたるところに末梢神経が張りめぐらされており,しかも脳と末梢神経とは,一連の連続する構造だからである。」と述べ,「中枢は末梢の奴隷」であると指摘した。心と体は切り離せないものであり,精神の状態と身体の状態は相互に密接な影響を与え合っていることについて,近年の精神医学における研究も着実にその証左を示している。
 本特集では,このような精神と身体の関係について,双方向的に議論することを試みたい。心身相関についての原田の論説を皮切りに,心身症との関連,そして自己免疫,腸内細菌,ミクログリア,オキシトシンといった近年注目を集める生物学的素因と精神疾患との関係について,専門家の見解をいただくこととした。さらに,生活習慣病や自己免疫機能の異常と関連の深い身体疾患がどのような精神疾患・精神症状を生じるのかについての議論を行い,最後のパートでは逆方向の見方,つまり統合失調症をはじめとする精神疾患がどのような身体疾患・身体機能の異常を生じるのかについて議論いただくこととした。本特集が,読者にとって精神と身体の関係について今一度見直すよい機会になれば幸甚である。

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特集 心身相関──精神と身体の関係はどこまで解明されたか
企画:中尾 智博

特集にあたって
中尾 智博

■心身相関の生物学
心身相関とは
原田 誠一

心身症領域における心身相関
須藤 信行

免疫学的要因と精神疾患リスク
磯村香代子・他

摂食症と腸内細菌
桐村 直樹・他

ミクログリアと精神疾患・心身症
久良木 聡太・他

オキシトシンによる自閉スペクトラム症中核症状治療薬の開発
山末 英典

■身体疾患における精神疾患・症状
生活習慣病と認知症
茶谷 佳宏・他

がん性疼痛に対する二面的一元論的アプローチ
岸本 寛史

線維筋痛症とうつ病
藤田 貢平・他

全身性エリテマトーデスに伴う神経精神症状
池ノ内 篤子

NMDA受容体脳炎と統合失調症の鑑別
髙木 学・他

■精神疾患における身体疾患・症状
統合失調症と生活習慣病
渡邉 博幸

うつ病の身体症状──コンサルテーション・リエゾン精神医学の視点から
明智 龍男

心的外傷後ストレス症(PTSD)と身体症状
堀 弘明

身体症状症と身体疾患
山田 和男

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