総合リハビリテーション Vol.52 No.12
2024年 12月号

ISSN 0386-9822
定価 2,640円 (本体2,400円+税)

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特集 非がん性疾患の緩和ケアとリハビリテーション医療

 近年,緩和ケアは本邦においても,がん患者だけでなく,非がん性疾患患者に対しても必要不可欠であるとの認識は高まってきており,終末期を待たずに,より早い段階から緩和ケアを実施することが求められています.リハビリテーション専門職は緩和ケアチームの一員として,より質の高い緩和ケアを提供するためにますます活躍することが期待されています.今回の特集では,緩和ケアの対象となる非がん性疾患・病態として,非がん性呼吸器疾患,循環器疾患,慢性腎臓病,神経難病,認知症の摂食嚥下障害を取り上げ,それぞれの疾患の病期や重症度に合わせたリハビリテーション治療の進め方についてご解説をいただきました.

1.非がん性呼吸器疾患 神津 玲 氏ら
 慢性閉塞性肺疾患と間質性肺疾患はいずれも不可逆的な慢性呼吸器疾患であり,重症化に伴ってリハビリテーション医療に加えて緩和ケアが必要となる.本邦における緩和ケアのあり方については,2021年に公表された「非がん性呼吸器疾患の緩和ケア指針2021」にまとめられた.標準的治療が最大限適用されていても呼吸困難が持続あるいは悪化する場合には,呼吸リハビリテーションを含む非薬物療法が上乗せされ,多職種による連携が不可欠である.

2.循環器疾患──心不全終末期における心臓リハビリテーション:緩和ケアとの共存 白石裕一 氏ら
 心不全に対してガイドラインに準じた薬物治療が行われているにもかかわらず,心不全増悪のための入院を繰り返す段階には,意思決定支援を多職種によるチームで行いながら,緩和ケアとともに治療を進める必要がある.心不全患者の生活の質は学際的な緩和ケアにより改善するエビデンスはよく知られている.薬物治療に難渋する心不全終末期におけるリハビリテーション治療の進め方についてはまだ十分なエビデンスがなく,症例ごとに検討する必要がある.

3.慢性腎臓病 伊藤 修 氏
 慢性腎臓病患者では身体機能の低下や易疲労感は生命予後に大きく影響することが明らかになっており,高齢患者においても運動療法は長期予後を改善する可能性がある.高齢患者では体外循環に忍容性をもたない患者も少なくなく,腎代替療法を行わず,対症療法と緩和ケアを重視した治療の選択肢として保存的腎臓療法がある.高齢患者に対して運動療法を実施する際には保存的腎臓療法の考え方や知識も必須であり,多職種チームによる支援が求められる.

4.神経難病──緩和ケアとリハビリテーション 中島 孝 氏
 神経難病リハビリテーションの基本は,障害の進行に合わせ環境調整し,可能な動作を利用して,機能補完するために運動学習を繰り返すことである.筋萎縮性側索硬化症をはじめとする神経難病では,運動機能障害が進行するなかで生活に適応するために理学療法,作業療法,心理サポートを含むケアが重要である.本邦の多職種によるチームリハビリテーションアプローチは緩和ケアと相同であり,神経難病の診療において個別アプローチは必須である.

5.摂食嚥下障害──認知症に対する「食支援」の進め方 齋木章乃 氏ら
 摂食嚥下障害を有する認知症患者に対する嚥下訓練が奏功しない場合には,できる限り安全に,かつ「食べること」を楽しめるような経口摂取を実現するような支援を行う方針に切り替える必要がある.認知症の進行とともに食行動の異常や先行期の障害だけではなく,準備期以降の障害も目立つようになるため,食事環境や食形態の調整などを検討する.終末期となっても経口摂取には生活の質向上に寄与するさまざまな効果が期待されるので考慮すべきである.

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特集 非がん性疾患の緩和ケアとリハビリテーション医療

非がん性呼吸器疾患
神津 玲,他

循環器疾患──心不全終末期における心臓リハビリテーション:緩和ケアとの共存
白石 裕一,他

慢性腎臓病
伊藤 修

神経難病──緩和ケアとリハビリテーション
中島 孝

摂食嚥下障害──認知症に対する「食支援」の進め方
齋木 章乃,他


●巻頭言
変わっていく変わらないもの
横田 一彦

●入門講座
あなたは知っていますか? 現場で必要な医療知識・技術④
画像評価
釼持 洋美,他

●実践講座
パーキンソン病治療の新しい展開③
運動療法
石井 光昭

高度肥満症患者のリハビリテーション治療⑥
高度肥満症患者の心機能障害とリハビリテーション治療
江渕 貴裕

●症例報告
再生医療と並行して行った促通反復療法によってピアノ演奏が回復した脳幹障害の1例
峯田 総介,他

●調査
高次脳機能障害者に対するテレワーク支援の実態に関する研究
北上 守俊,他


●チーム医療を支えるリハビリテーション看護③
リハビリテーションからみるスキンケア
稲熊 清人,他

●わたしたちのメンタルヘルスケア④
医師のメンタルケア・サポート
沖野 和麿,他

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
宮澤賢治の『どんぐりと山猫』──障害者文学としての側面
高橋 正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「ぼくのお日さま」──この20年における性的マイノリティへの眼差しの変化を透視する
二通 諭

●学会報告
第56回中国四国リハビリテーション医学研究会
山本 佳昭

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