総合リハビリテーション Vol.53 No.2
2025年 02月号

ISSN 0386-9822
定価 2,640円 (本体2,400円+税)

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特集 脳卒中生活期──QOL向上にむけて

 脳卒中後の生活期には,特有の課題があり,また患者の心身機能や活動の状況は変わっていくため,その生活の質(quality of life:QOL)を高めるためには,適切なリハビリテーション診断に基づく課題の把握,本人の希望にも沿った目標の設定,医療の枠を超えた多職種・多方面からのサポートが必要となります.そこで今回は,脳卒中患者の生活期のQOLを維持・向上させるためのリハビリテーション治療と社会活動へのアプローチについてご解説いただきました.

1.脳卒中生活期のQOL 杉山みづき 氏ら
 脳卒中のリハビリテーション治療においては,急性期から,生活期を想定して実践することが求められる.急性期-生活期それぞれの段階で,患者のニーズに合わせた課題志向型訓練を行い,主体性のある訓練を継続していく治療戦略が生活期の日常生活動作とQOLの向上のために重要である.

2.運動機能障害 勝谷将史 氏
 脳卒中生活期のQOLにかかわる運動機能障害には,痙縮,疼痛,転倒などがあり,これらに関して,その発生頻度や評価法,治療・対応方法を解説した.生活期においても障害は症状固定ではなく,変化し得るものとして認識し,積極的な治療介入により運動機能の改善を図り,活動性の改善や社会参加の実現につなげることがQOLの向上に寄与する.

3.高次脳機能障害 武原 格 氏
 高次脳機能障害がある脳卒中患者において,生活期は,入院生活中に比べ情報量が多く,人間関係も広がり心理的負担が増大する.特に生活期の脳卒中患者の日常生活で困難が生じやすい場面として,公共交通機関を用いた外出,家事,自動車運転があり,それぞれ評価やチェックポイント,支援について解説した.高次脳機能障害は,生活期においても適切な介入により改善が期待され,継続したリハビリテーション支援が必要である.

4.精神心理的問題 田島明子 氏
 脳卒中生活期におけるQOLの維持・向上のためには,精神心理的問題への着目は重要となる.ここでは,アパシー,脳卒中後うつ,障害受容の実際・評価・対応や支援について解説した.障害受容については,価値の転換や段階理論に加え,当事者視点からの新しい障害受容理論の可能性も紹介する.

5.就労・復職 杉本香苗 氏ら
 脳卒中患者にとって復職は,自己肯定感や生きがいにもつながり,QOL向上に重要な役割を果たす.復職の現状,復職における促進因子と阻害因子,そして復職支援について解説した.復職支援では,患者を中心として,医療機関の両立支援チーム,企業の産業医や産業保健スタッフなど,そして両立支援コーディネーターからなるトライアングル型サポート体制の構築が求められている.一般就労が難しい場合にも,社会参加を促すことはQOL向上につながる.

6.余暇活動 益満美寿 氏
 脳卒中において,本格的な余暇活動支援は生活期から始まることが多い.余暇活動の支援においては,クライエントの病前の作業歴などの情報を集め,興味関心をチェックリストなどで把握して余暇活動のイメージを明確化し,本人が主体的に楽しめる活動として参加してもらえるようにマネジメントする.事例を紹介し,今後の展開についても解説した.

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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

特集 脳卒中生活期──QOL向上にむけて

脳卒中生活期のQOL
杉山 みづき,他

運動機能障害
勝谷 将史

高次脳機能障害
武原 格

精神心理的問題
田島 明子

就労・復職
杉本 香苗,他

余暇活動
益満 美寿


●巻頭言
リハビリテーション医療者はどのように社会に貢献していくのか
川上 途行

●入門講座
特別支援教育とスクールカウンセリング②
学校の現状とスクールカウンセラー
迎 美保

あなたは知っていますか? 現場で必要な医療知識・技術⑥
転倒予防──医療・介護現場での転倒予防
伊藤 英明,他

●実践講座
車椅子クッションどう選ぶ?②
座位姿勢の観察,評価
濱 祐美

パーキンソン病治療の新しい展開⑤
言語聴覚療法
倉智 雅子

●研究と報告
急性期運動器疾患患者におけるAWGS2019とISarcoPRMによるサルコペニア該当率の比較
池本 大輝,他

●調査
下肢切断者における疾走用義足使用の実態調査
濱田 万弓,他


●歩行と動作の計測機器②
モーションセンサーを用いた動作分析装置
北地 雄,他

●チーム医療を支えるリハビリテーション看護⑤
高次脳機能障害患者に対するリハビリテーション看護
原田 めぐみ

●わたしたちのメンタルヘルスケア⑥
介護スタッフのメンタルヘルスケア・サポート
吉川 悠貴

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
志賀直哉の『暗夜行路』──障害受容文学の系譜
高橋 正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「どうすればよかったか?」──統合失調症の姉を軸にせめぎ合う家族の肖像
二通 諭

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