運動療法学 各論 第5版
定評ある理学療法士向け教科書が全面改訂!
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臨床現場で理学療法士が行う運動療法の実際をまとめた「各論」を編集体制を新たに大改訂。定評がある本書を「初学者がさらに学びやすく、より理解しやすく」という視点から見直し、情報を更新。社会の変化に対応した新しいテーマを盛り込み、理学療法士の中心的テーマの1つである運動療法を概説する必携の1冊。運動療法の実際を自学自習できるよう、動画も多数収載。
*「標準理学療法学」は株式会社医学書院の登録商標です。
シリーズ | 標準理学療法学 専門分野 |
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シリーズ監修 | 奈良 勲 |
監修 | 吉尾 雅春 |
編集 | 横田 一彦 / 岩田 健太郎 |
発行 | 2023年12月判型:B5頁:544 |
ISBN | 978-4-260-05293-1 |
定価 | 6,600円 (本体6,000円+税) |
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序文
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第5版 序
本書は2001年に初版が発行され,数年ごとに版を重ね,このたび4回目の改訂を行うことになった.初版より前版まで編集者としてご尽力された吉尾雅春氏には,本版では監修者としてご指導いただいた.初版から20数年の間,変化し続ける社会,医療を見つめ続け,そのようななかで普遍的なものを追求しつつ時代に応じた編集を行ってきた氏の姿勢は,今後の改訂でも受け継いでいくべきものと考えている.
4版が発行された2017年以降,理学療法士をとりまく状況にはいくつかの大きな変化があった.2018年には1999年以来18年ぶりとなる,理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則および理学療法士作業療法士養成施設指導ガイドラインの改正があった.この改正は2020年4月入学生から適用されており,養成施設での講義や臨床実習は,この新しい指定規則やガイドラインに則って行われるようになった.また,2019年末からのCOVID-19の感染拡大は,医療・福祉・教育現場に多大な負担を与えた一方,改めて感染対策の大切さに着目することになり,リモート診療や学習,デジタル教材などのテクノロジーの導入が一気に進んだ.そして,この間にも,病院,施設,在宅の区別なく,多疾患,重複障害をもつ理学療法対象者はますます増加していると感じられる.
上記のようなことを背景に,今回の改訂ではいくつかの柱をおいて編集を行った.まず1つ目は,序章として,新たに編集者に加わっていただいた岩田健太郎氏に,これまでのリハビリテーションや運動療法の流れと現在,そして将来の予測についてまとめていただき,以降の運動療法各論の導入としたことである.
2つ目として,各疾患,障害別の章を「筋骨格障害系」「神経障害系」「内部障害系」「その他」に再編し,「今後期待される運動療法領域」として前庭障害,視覚障害,神経発達症,スポーツ障害,ウィメンズヘルス・メンズヘルス,リハロボットなどの分野をトピックスとして取り上げた.これらにより,本シリーズの分野別の『標準理学療法学』との読み合わせが行いやすくなるようにしている.
3つ目として,本書が広く理学療法士養成施設の教科書として使用されていることから,厚生労働省理学療法士作業療法士国家試験出題基準「理学療法治療学」の項にあげられている疾患,障害を参考とし,可能な範囲でこれらを網羅するよう心がけた.そして,今後の重要な領域となることが考えられる心不全,腎疾患,肝疾患について,新たに章を設けた.
4つ目は,読者が自学自習しやすいよう動画を数多く収めたことである.各章の執筆にあたられた先生方の多大なる工夫と協力の賜であると考え感謝している.
本改訂より,『標準理学療法学』は長年親しまれた深紫の表紙から,白色の表紙にリニューアルされる.本書が卒前,卒後のさまざまな場面で活用され,手に取った読者により,さまざまな色で染められ発展していくことになれば,編集者としてこのうえない喜びである.
2023年10月
編集者を代表して
横田一彦
目次
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序章 リハビリテーション医療の現状と展望
A 超高齢社会における運動療法の重要性について
B 疾病構造の変化とリハビリテーションの需要について
C 医学の進歩に伴う運動療法の適応拡大と多様化について
D 今後リハビリテーションの需要が高くなる患者の特徴について
E 先端機器を用いたリハビリテーションについて
F まとめ
I 筋骨格障害系の運動療法
1 骨折・脱臼の運動療法
A 概念と特徴
B 骨折・脱臼各論
C 運動療法
2 膝の靱帯・半月板損傷の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
3 腱断裂の運動療法
I 腱板断裂の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
II アキレス腱断裂の運動療法
A アキレス腱断裂とは
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
4 関節リウマチの運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
5 変形性関節症・人工関節置換術の運動療法
I 変形性股関節症と人工股関節置換術後の運動療法
A 変形性股関節症の概要
B 股OAに対する評価
C 股OAに対する運動療法
D 人工股関節置換術の概要
E THA術後に注意すべきポイント
F THA術後の運動療法
II 変形性膝関節症と人工膝関節置換術後の運動療法
A 変形性膝関節症の概要
B 膝OAに対する評価
C 膝OAに対する運動療法
D 人工膝関節置換術の概要
E TKA術後に注意すべきポイント
F TKA術後の運動療法
6 側弯症の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
7 疼痛疾患の運動療法
I 腰痛症の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
▪ 保存療法の運動療法
▪ 観血的治療の運動療法
C 運動療法上の留意点
II 肩関節痛の運動療法
A 肩関節に痛みが出る背景
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
8 脊髄損傷の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
9 腰部脊柱管狭窄症の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
10 頸椎症性脊髄症と頸椎後縦靱帯骨化症の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
11 切断の運動療法豊田輝
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
12 熱傷の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
II 神経障害系の運動療法
1 脳血管疾患の運動療法──急性期
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
2 脳血管疾患の運動療法──回復期
A 脳血管疾患における回復期
B 脳血管疾患の回復期運動療法において意識すべき点
C 代表的な脳血管疾患例の運動療法の考え方
D 回復期の運動学習
E 活動としての動作定着に向けて
3 パーキンソン病の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
4 脳外傷の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
5 脳性麻痺の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
6 脊髄小脳変性症の運動療法
A 病態把握
B 現在の治療
C 症状と評価
D SCDにおけるアプローチ
7 筋萎縮性側索硬化症の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
8 多発性硬化症の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
9 神経炎(Guillain-Barré症候群)・筋炎の運動療法
I 神経炎(Guillain-Barré症候群)の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法のポイント
C 運動療法の進め方
II 筋炎(多発性筋炎)の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法のポイント
C 運動療法の進め方
10 筋ジストロフィーの運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
11 末梢神経障害の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
III 内部障害系の運動療法
1 呼吸器疾患の運動療法
I 呼吸不全の運動療法
A 呼吸困難と呼吸不全
B 呼吸調節機構と呼吸仕事量の変化による呼吸困難のメカニズム
C 低酸素血症の病態生理学的メカニズム
D 呼吸不全患者に対するリハビリテーションとは
E 呼吸不全患者に対する運動療法の実際
F テーラーメイドを意識した運動療法における呼吸リハビリテーションの課題
II 胸・腹部外科手術後の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
2 循環器疾患の運動療法
I 虚血性心疾患の運動療法
A 運動療法・身体活動の効果
B IHDの評価
C IHD患者に適応される主な運動療法
II 心不全の運動療法
A 概念と特徴
B 心不全における運動療法
III 末梢動脈疾患の運動療法
A 間欠性跛行
B 包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)
3 がん疾患(悪性腫瘍)の運動療法
A 概念と特徴
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
4 腎疾患の運動療法
A 腎臓の役割や機能
B 腎機能障害の分類
C 腎臓病患者の身体機能
D 運動療法の実際
5 肝疾患の運動療法
A 肝疾患とサルコペニア
B 肝疾患と運動耐容能
C 運動療法の実際
6 糖尿病の運動療法
A 糖尿病と基本治療
B 運動療法の実際
C 運動療法上の留意点
IV その他の疾患の運動療法
1 ICUにおける運動療法(人工呼吸器の管理を含む)
A ICUでの運動療法の必要性と対象患者の特徴
B 運動療法の進め方と実際
C ICUで使用される機器関連
2 廃用症候群とサルコペニア
A 廃用症候群とは
B サルコペニアとは
C サルコペニア高齢者への運動療法
V 今後期待される運動療法領域
1 前庭障害の運動療法
A 運動療法が必要な前庭障害の病態
B 運動療法の理論と方法
2 視覚障害の運動療法
A 概要
B 対策
C 課題
3 発達障害(神経発達症)の運動療法
A 発達障害とは
B 神経発達症の運動療法
4 スポーツ障害の運動療法
A 体外衝撃波
B 遠心性トレーニング
C 超音波検査所見による予後予測
5 ウィメンズヘルス・メンズヘルス
A 産前産後の腰痛に対する運動療法
B 骨盤底機能障害に対する運動療法
C 女性の骨粗鬆症に対する運動療法
D 女性アスリートに対する運動療法
E リンパ浮腫に対する運動療法
F メンズヘルス領域における泌尿器系疾患術後の管理
6 リハビリテーションロボットを活用した運動療法
A 当院の歩行練習用リハロボットの紹介
B 再生医療への応用
C 課題
索引