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- BRAIN and NERVE Vol.76 No.8
特集 Common diseaseは神経学の主戦場である revisited
ISSN | 1881-6096 |
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定価 | 3,080円 (本体2,800円+税) |
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特集の意図
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(脳)神経内科医は変性疾患や希少疾患だけでなく,common diseaseをもっと診るべきである。このスローガンが本当に実践されているのか,うまく機能していないとすればどこに問題があるのかを議論するべく,2013年9月号に「Common diseaseは神経学の主戦場である—現状と展望」という特集を組んだ。それから10年以上が経過し,この問題を再考するときが来た。この期間中に状況はどう変わったのか。「神経内科」から「脳神経内科」への名称変更は社会にどのような影響を与えているか。われわれは頭痛やしびれ,認知症のゲートキーパーになり得ているのか。冒頭の鼎談ではこれらのテーマについて議論を行い,続く各論では著者の主観を交えた見解を述べていただいた。脳神経内科医として「神経学の主戦場」でどう戦うか。自身の役割と歩むべき道について考えたい。
【鼎談】脳神経内科はcommon diseaseを診ているか? 下畑 享良 , 髙尾 昌樹 , 神田 隆
認知症診療における脳神経内科医の役割 森 悦朗
本誌2013年9月号の前回特集で,筆者は認知症診療において脳神経内科医が積極的なリーダーシップを発揮することを提唱した。その後,認知症基本法の施行やレカネマブなど新薬の登場により,脳神経内科医が認知症診療により一層関与することが期待されている。しかし,行動神経学を専門とする脳神経内科医の不足や,一般の脳神経内科医の行動神経学に関する知識やその教育体制が不十分であるなどの課題も依然として残っている。これらの課題を克服し,脳神経内科医が真の認知症診療の専門家へと進化することが求められる。
脳卒中の現場における脳神経内科医の存在意義 出口 一郎 , 髙尾 昌樹
脳卒中診療において脳神経内科医は,急性期再灌流療法(rt-PA静注療法および血栓回収療法)の適応を判断し,stroke mimics,stroke chameleonsを見極め,かつその後に適切な薬剤選択,全身状態の管理を行うことを求められる。そのためには,脳神経内科医が持つ神経症候学に基づく確かな診断力と,内科医としての幅広い知識および洞察力が重要であり,患者の予後を改善することにつながる。
てんかん診療の進歩と課題 赤松 直樹
脳神経内科が本邦で誕生後60年以上が経過し,成人てんかん診療に重要な役割を果たしている。てんかん学用語は,国際抗てんかん連盟の用語が本邦でも使われており,側頭葉てんかんなどでみられる発作は,精神運動発作から複雑部分発作,そして現在では焦点意識減損発作と変遷してきた。抗てんかん発作薬は,第2,3世代の薬剤が登場し,ファーストライン薬も変わってきている。妊娠中に比較的安全性の高い薬剤が登場している。高齢者のてんかんの治療・研究が進歩している。てんかん外科治療も進歩しているが,まだ十分に普及はしていないのが現状である。今後も脳神経内科医のてんかん診療への貢献が期待される。
頭痛診療の進歩と今後の展望 永田 栄一郎
脳神経内科医が診療する中で,頭痛は最も多く遭遇する疾患の1つであるが,患者の苦痛にもかかわらず,一次性頭痛の片頭痛は生命に危険が及ぶわけでもなく,検査も異常がないので鎮痛薬などでやり過ごすことが多かった。しかし,CGRP関連抗体製剤の登場により,片頭痛治療も変化し始めている。いまだに多くの片頭痛患者が医療機関を受診せず,適切な治療を受けていない。今後,頭痛医療をさらに推進していく必要がある。
Common diseaseとしてのめまい—危険度で考える 福武 敏夫
めまいは脳神経内科や救急外来でコモンな主訴の1つであるが,自己限定的で良性の病態が多い。しかし,重大で危険な原因がまだまだ見逃されている。本論では,末梢から中枢までの前庭系の解剖学とめまいの内容分析(回転性か浮動性か)よりも誘発因子と時間経過に重きを置いた分類を提示する。そのうえで,原因を危険性の高いもの,要注意のものそして自己限定的なものに分けて,単独めまいや単独前庭性症候群を中心に,解説する。
末梢神経障害(しびれ)—神経・筋疾患の「総合診療科」としての役割 古賀 道明
末梢神経疾患の有病率は年々上昇しており,この10年で複数の末梢神経疾患に対して新しい治療法が出現した。末梢神経障害に関する「医中誌」掲載文献を報告した最多の診療科は整形外科で,二番手が脳神経内科であった。特に脳神経内科からはこの10年で増加していた。一方,依然としてcommonな末梢神経疾患の患者が脳神経内科を受診しておらず,神経・筋疾患の「総合診療科」としての立場をより前面に出していくべきである。
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特集 Common diseaseは神経学の主戦場である──revisited
【鼎談】脳神経内科はcommon diseaseを診ているか?
下畑享良×髙尾昌樹×神田 隆
認知症診療における脳神経内科医の役割
森 悦朗
脳卒中の現場における脳神経内科医の存在意義
出口一郎,髙尾昌樹
てんかん診療の進歩と課題
赤松直樹
頭痛診療の進歩と今後の展望
永田栄一郎
Common diseaseとしてのめまい──危険度で考える
福武敏夫
末梢神経障害(しびれ)──神経・筋疾患の「総合診療科」としての役割
古賀道明
■総説
Tumefactive demyelinating lesions
水本悠希,安部鉄也
スティッフパーソン症候群──初の全国疫学調査結果を踏まえた現状と課題
松井尚子,他
●スーパー臨床神経病理カンファレンス
第7回 小児期に発症し,著しい脳萎縮を呈した42歳男性
水谷真志,他
●原著・過去の論文から学ぶ
第5回 マリー失調症を巡るmissing links──つながったlinkとまだつながらないlink
内原俊記
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