特集 身体疾患の患者・家族のこころを支える コンサルテーション・リエゾン精神医学
ISSN | 0488-1281 |
---|---|
定価 | 3,080円 (本体2,800円+税) |
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。
- 特集にあたって
- 収録内容
特集にあたって
開く
特集にあたって
明智龍男(名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学分野/本誌編集委員)
コンサルテーション・リエゾン精神医学は,主として総合病院において身体各科の要請に応じて提供される精神医学的サービスすべてを含む概念であり,幅広い領域を含む。この背景には,身体疾患患者に治療が望まれる精神疾患が合併することは稀ではなく,中でも高度急性期医療機関としての総合病院に入院している身体疾患患者の30~50%程度に何らかの精神疾患が認められるといった身体疾患患者における精神症状マネジメントのニーズの高さがある。
多死社会を迎えたわが国の死因を考えてみると,がん,心血管疾患,脳血管障害などの頻度が高いため,これら疾患にまつわる依頼が多いのはよく知られているが,精神症状発現の頻度が高い,神経変性疾患や慢性疼痛,またもともと精神疾患を有する患者が搬送されることが多い救急医療の現場でもコンサルテーション・リエゾン精神医学への期待は高い。筆者自身が専門にしているサイコオンコロジーの領域においても,がん診断後の自殺予防,不安や抑うつのマネジメント,終末期のせん妄のマネジメントなどについては現時点においても現場のニーズの高さを実感するところである。また,筆者が大学病院内で運営に関わっている「いたみセンター」の診療において,特に器質因が明確でない慢性疼痛患者に併存する多彩かつ複雑な精神症状マネジメントについても,多職種チーム診療として精神科医が参画することへのニーズの高さを身をもって感じている。
コンサルテーション・リエゾンの診療の具体例としては,身体疾患やその治療の結果生じる抑うつや不安,超高齢社会を迎えて激増している入院患者のせん妄のマネジメント,救急医療における自殺企図患者のマネジメント,統合失調症や認知症などの疾患を有する患者が手術を受けることになった場合の周術期の精神症状への対応,がん終末期患者や家族の精神的ケアなどがその代表であろう。加えて,精神疾患のハイリスク群である臓器移植を受ける患者に対する精神症状発現への予防的な関わり,透析など生命に関わる治療に対し拒否がみられた際の意思決定能力の判断などに関わることもある。カバーする範囲は大変広く,それゆえ,精神科医に求められる能力は多彩でかつ高く,当然,他診療科からの期待も大きい。
このようにコンサルテーション・リエゾン精神医学は,地域の高度急性期医療を最前線で支えている総合病院やがん専門病院,循環器専門病院の基盤を支える診療機能とも言うことができる。そしてこれら多彩な領域をカバーするため,コンサルテーション・リエゾン精神医学においても多職種チーム医療が大変重要な役割を果たしている。
本特集では,裾野が広がり続けるコンサルテーション・リエゾン精神医学における最新のトピックスに加え,最新の認知行動療法であるアクセプタンス&コミットメント・セラピーを生かす試みなどを交え,第一線の現場で活躍されている先生方に筆をとっていただいた。
読者のご参考になれば幸いである。
収録内容
開く
医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。
特集 身体疾患の患者・家族のこころを支える コンサルテーション・リエゾン精神医学
企画:明智 龍男
特集にあたって
明智 龍男
高度急性期医療を支えるコンサルテーション・リエゾン精神医学──現状と課題
西村 勝治
がん医療における精神医学──サイコオンコロジー
明智 龍男
心血管疾患における精神医学──サイコカルディオロジー
疇地 道代
腎疾患における精神医学──サイコネフロロジー
桂川 修一
脳血管障害と精神医学──脳卒中後うつ病を中心に
岸 泰宏
神経変性疾患にみられる精神症状の評価とマネジメント
和田 健
救命救急医療におけるコンサルテーション・リエゾン精神医学
大塚 耕太郎・他
周産期医療におけるコンサルテーション・リエゾン精神医学──プレコンセプションケアから育児支援まで
菊地 紗耶・他
移植精神医学──臓器移植医療における精神医学
木村 宏之・他
地域において行うコンサルテーション・リエゾン精神医学
内田 直樹・他
コンサルテーション・リエゾンにおいて治療拒否に遭遇した際の倫理的考察
桑原 達郎
総合病院でアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT(アクト))を活かす
光定 博生
コンサルテーション・リエゾンにおける多職種協働の実際
奥野 史子
●短報
クロザピンとバルプロ酸併用療法に抵抗性でリチウムの追加が著効した統合失調症の1例
川人 慎・他
●資料
Individual Fitness Score(IFS)による治療ガイドライン一致率の評価──臨床での活用に向けて
福本 健太郎・他
更新情報
-
更新情報はありません。
お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。