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第3371号 2020年5月18日


グラフィックレコーディングのはじめかた

情報共有や自身の振り返りのために,簡単なイラストや記号を活用して記録に残す手法がグラフィックレコーディング(通称,グラレコ)。ノートを取るとき,ミニレクチャーや症例プレゼンテーションをするときなど,皆さんの身近なところにきっと役立つ場面があるはずです。それでは,新しい記録の姿をのぞいてみましょう。

[Lesson 6]実際に描いてみよう! 表情編

岸 智子(福岡女子大学社会人学び直しプログラム コーディネーター)


前回よりつづく

 前回は,グラフィックレコーディングに必要な発想力のご紹介とともに,簡単なイラストの描き方を解説しました。今回は「感情」を効果的に記録するために,表情の描き方を練習してみましょう。

感情が伝わる「表情」のイラストを描いてみよう

 その時に何が起こったのか,参加者はどう感じたのかなど,思いや感情を記録するためにイラストは力を発揮します。その中でも特に伝わりやすいのが「表情」です。顔の表情を描くのは難しくありません。眉と目と口の組み合わせで幾通りもの表情を描くことができます。特に眉と口は表現力が豊かなので,角度や長さ,組み合わせを変えることで,少しずつ違ったニュアンスを持ちます。組み合わせを変えてみながらオリジナルの表情を生み出してみてください。

 本稿では,笑った顔,困った顔,怒った顔のバリエーションをいくつかご紹介します。

 まずは笑顔。スマイルマークをイメージしながら描きましょう。口を大きく開けたり,目尻を下げたり,パーツを少しずつ変えることで,同じ「笑顔」でも,「ほほ笑み」や「爆笑」など,変化が出ます。

 困った顔は眉の角度を下げるだけで表現できます。眉は直線,曲線どちらでも構いません。眉や目,口元を変えることで,「しょんぼり」「焦る」「納得がいかない」など状況やその時の気持ちに近い表情を描くことができます。

 怒った顔は,眉の角度を上げます。困った顔の眉とはちょうど逆の角度になります。目と口は同じパーツを使っているのに眉を変えるだけで,これほどまでに変化します。怒りの感情は意志の強さの現れでもあるので,「がんばるぞ!」などの決意を表す時にも,これらの顔を用いることができます。

少しの工夫で表現が広がる!

 マンガで多用される「漫符(まんぷ)」という手法も役に立ちます。汗が飛んでいる様を表すマークを添えるだけで,「テンパっている=とても焦っている」「非常に困っている」との感情が伝わってきます。目と口のパーツが同じであっても,異なる「漫符」を付けることで,全く違う感情を伝えられます。「漫符」という小さな工夫かもしれませんが,表現の幅が広がり,その時に感じた感情を記録するのにとても有効です。

 また,顔の表情は真正面からだけではなく,角度をつけるとまた違ったニュアンスを持ちます。やや右向き,やや左向きのように内側に目や口を描くと,対話をしているように見えますし,「仲良し」「友達」という関係性も表せます。上向きの笑顔はやや自慢気な印象を残すので,満足感や達成感を表す際にも使えるでしょう。下向きの笑顔は穏やかな印象を与えるため,受容し,見守っているイメージから,「傾聴」「慈悲」などを表現することもできます。

 顔の表情を添えることで,言葉だけでは表現しきれない曖昧なことやその場の雰囲気が伝わりやすくなります。また,自分自身の感情の動きも記録することが可能になります。パーツの角度や長さを変えるだけで人とは違ったオリジナリティあふれるイラストが描けるので,ぜひ,楽しみながら自分ならではのイラストを描いてほしいと思います。

 次回は,一度聞いただけではわかりにくい複雑な事柄をより簡潔に伝えるために有効な「図解化」について,例題を用いてご紹介します。

(つづく)

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