医学書院

検索
HOME週刊医学界新聞 > 第3330号 2019年07月15日



第3330号 2019年7月15日


第20回日本言語聴覚学会開催


 第20回日本言語聴覚学会が6月28~29日,木村暢夫学会長(JCHO湯布院病院)のもと「私たちの地域包括ケア――言語聴覚士の専門性と人間力の融合」をテーマに開催された(会場=大分市・iichiko総合文化センター,他)。本紙では,シンポジウム「サルコペニアによる嚥下障害と老嚥,オーラルフレイルの理解」(座長=木村氏,埼玉県総合リハビリテーションセンター・清水充子氏)の様子を報告する。

患者に合ったリハビリテーションを行うために適切な用語の選択を

 最初に登壇した倉智雅子氏(国際医療福祉大)は,言語聴覚士(以下,ST)の役割が時代とともに変遷してきたことに触れ,近年は摂食嚥下領域での介入が増加したことに言及。職種間の垣根が急速に低くなる中,「STの付加価値はコミュニケーションの専門家としての視点を忘れないことで生まれる」と主張した。

 「老人性嚥下機能低下(老嚥),オーラルフレイル,オーラルサルコペニアの違いを説明できるだろうか」。福岡達之氏(広島国際大)は冒頭,会場に問い掛けた。摂食嚥下障害の患者に対し早期介入を行うためには患者の状態を適切に評価する必要があると主張した。評価の根拠となる口腔,嚥下機能の低下を指す用語の意味を正しく理解することが重要であると語った。

 サルコペニアによる摂食嚥下障害への対処法を紹介したのは総合南東北病院の森隆志氏。本障害のリスク因子は低栄養とサルコペニアであることから,理想体重あたり1日30~35 kcal/日の栄養摂取と,早期からの嚥下関連筋群のレジスタンストレーニングを行う意義を解説した。ただし,嚥下関連筋群には未解明の点もあるため,今後治療法が改良されることに期待を示した。

 最後に,訪問介護・看護事業を行う永耒努氏(株式会社コンパス)は地域医療におけるSTの存在意義を問い掛けた。氏によれば,要介護状態となった嚥下障害患者や,要介護認定に該当しない虚弱高齢者が主体的にリハに取り組むためには,患者が実行したいと思える明確な目標設定が必要だ。リハに対する主体性を上げるためにも患者の希望を引き出す環境づくりにSTも参加すべきと訴えた。

シンポジウムの模様