医学界新聞

連載

2011.08.29

看護のアジェンダ
 看護・医療界の"いま"を見つめ直し,読み解き,
 未来に向けたアジェンダ(検討課題)を提示します。
〈第80回〉
回診の流儀

井部俊子
聖路加看護大学学長


前回よりつづく

 A病院では,金曜日午後3時に皮膚・排泄ケア認定看護師の回診が始まる。広辞苑では,「回診」と引くと,「病院で医者が病室をまわって患者を診察すること」とあるが,昨今,病室をまわって患者の診察をする流儀が認定看護師たちの間では人気があるらしい。

認定看護師の役割

 まず「認定看護師」という資格を持つ「看護師」について紹介したい。認定看護師とは,日本看護協会の認定看護師認定審査に合格し,ある特定の看護分野において,熟練した看護技術および知識を用いて,水準の高い看護実践のできる看護師をいう。看護現場において,実践,指導,相談の3つの役割を果たし,看護ケアの質の向上を図ることに貢献する。

 現在,特定されている看護分野は19分野あり,2011年7月に認定された合格者1713人を含めて,合計9047人の認定看護師が活躍している。19分野を以下に紹介したい(カッコ内の数字は人数を示す)。救急看護(622),皮膚・排泄ケア(1598),集中ケア(646),緩和ケア(1100),がん化学療法看護(844),がん性疼痛看護(563),訪問看護(270),感染管理(1364),糖尿病看護(322),不妊症看護(112),新生児集中ケア(237),透析看護(135),手術看護(210),乳がん看護(163),摂食・嚥下障害看護(304),小児救急看護(131),認知症看護(178),脳卒中リハビリテーション看護(184),がん放射線療法看護(64)である。さらに,2010年に新たに認定看護分野に特定された「慢性呼吸器疾患看護」と「慢性心不全看護」の認定者が,2012年度に誕生する見込みである。

 認定看護の中でも認定者が1000人を超えている分野は,皮膚・排泄ケア,感染管理,緩和ケアであり,診療報酬上の評価があることが増加の一因となっている。

認定看護師の「回診」と病棟の看護師の関係

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