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第2842号 2009年8月10日


【interview】

一色高明理事長に聞く
日本心血管インターベンション治療学会が始動


 日本心血管インターベンション学会(JSIC)と日本心血管カテーテル治療学会(JACCT)の統合後初の学会となる,第18回日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)が,6月25-27日に開催された。ロイトン札幌,北海道厚生年金会館(北海道札幌市)にて五十嵐慶一会長(北海道社会保険病院)のもと催された本会は,約4000名の参加者を集め,二学会の統合を記念するにふさわしい盛況ぶりをみせた。もともと一つだった二学会の8年越しの統合で,世界における日本のインターベンション治療の地位を確立し,日本からの研究成果の発信を今後さらに強めていくことが期待される。

 本紙では今回,CVITの新理事長となった一色高明氏(帝京大)にお話を伺った。

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――CVITの発足とご盛会,おめでとうございます。

一色高明氏
一色 ありがとうございます。3年前にJSICの理事長を拝命したときから,JSICとJACCTとの統合をマニフェストに掲げて活動してきました。それに対し,当時JACCTの理事長であった光藤和明先生(倉敷中央病院),後任の木村剛先生(京大・現CVIT副理事長),そしてJSIC・JACCT会員の方々が,真剣に考え賛同してくださったことが,今回の統合につながったのだと思います。

――今,新たなスタート地点に立たれたわけですが,今後の取り組みについて教えていただけますか。

一色 まずは学会の法人化です。両学会の統合により会員が6000名を数える学会となった今,社会的信用を得るためにも法人化は必須です。

 また,法人化によって,日本専門医制評価・認定機構に加盟できます。現在策定しているCVITの専門医制度では,認定機構加盟の学会では初となる試みがいくつかあります。まず,“3階建ての3階部分”にあたる専門医制度となること。つまり“1階”で認定内科医などを取得し,“2階”でサブスペシャリティの循環器専門医を取得した上で,そこから枝分かれした“3階”のCVIT専門医の受験資格を得られることになります。もう一つは,専門医の定員制を定めたことです。認定機構の指針を遵守し,一定の技術,知識がきちんとした基準に基づいて認められ,質を担保できる制度にしたい。そう考えた結果,定員(当面のところ1000人)を設けるかたちとなりました。

 第一回の筆記試験は,本年11月29日に行われる予定です。この試験は,カテーテル治療を500例以上(うち冠動脈形成術を300例以上)施術したことを受験資格としています。また,JACCTでは以前から実施されていたのですが,新制度でも筆記試験合格者には実技試験を課すことにしました。知識と技術の両面で専門医資格の評価をすることが大切,という理念に基づくものです。

――今後の制度運用が注目されるところだと思います。ほかにも,新たに始められることがいくつかありますね。

一色 学会誌の英文化も行います。まずは年内にオンラインで発行を予定しており,冊子体は来年以降,半年に1冊ずつ刊行できればと思っています。

――なぜ英文化を?

一色 それは,日本のインターベンションの特殊性に理由があります。承認システムが異なるため,海外に比べて,日本で使用できるデバイスや薬剤はかなり少ない。しかし,そうした状況下でも日本はよい成績を出しています。さらに血管内超音波も欧米に比べ使用頻度が高いですし,米国で下火になっていた血栓吸引療法も日本では定着しています。

 そのような環境で蓄積された,日本におけるアウトカムや治療方針を海外に示していくには,学会誌を英文化し,世界中の人が読めるようにすることが最も有効な手立てだと思います。和文でレベルの高い論文を投稿された方には英文化を勧め,その際には翻訳や欧文校正の費用の一部を補助するなど,学会によるサポートも考えています。

――そうした日本発のエビデンスの基盤となる,レジストリーの構築も進められているそうですね。

一色 実は以前からレジストリーはあったのですが,1症例あたりの入力項目がかなり多かったこともあり,登録数がなかなか増えませんでした。また,メンテナンスのコストが高いことも悩みの種でした。そこでUMINのシステムを使わせていただき,入力項目もかなり絞って本年1月から登録を開始し,全例登録をめざしています。インセンティブを与える意味でも,このレジストリーを専門医の受験資格となる症例数の認定にも応用する予定です。

――今学会では,コメディカル・セッションも多数企画されていました。

一色 ええ,やはりインターベンションはチーム医療ですから,コメディカルの方々とはさらに連携を強めていきたいと考えています。

 日本インターベンショナルラジオロジー学会には学会が認定するIVR看護師の資格がありますが,われわれも同じような資格認定を行えればと希望しています。セッションや地方会の盛況ぶりからもわかりますが,コメディカルの方々の知識や意欲は高いレベルにあります。そこに学会からのいわば“お墨付き”のようなものがあれば,さらにモチベーションも上がるのではないでしょうか。

――CVITの新たな活動を,外に向け広報していくことも大切になります。

一色 はい。例えばマスコミを通してメッセージを出したり,行政に向けても,学会が一つになったことで,診療報酬の改定やデバイスの薬事承認などに関し,より一貫した働き掛けができるようになると思います。

 さらに,ホームページの充実も図りたいと思っています。会員管理システムも導入して,学会内と学会外,双方にアピールしていく場としたいですね(学会HP:http://www.cvit.jp/)。

 私はあくまで1年間の任期での暫定的な理事長となりますが,来年から発足する新体制においても今回お話ししたビジョンに沿って,インターベンション治療のさらなる発展のために学会全体で動いていくことを望んでいます。

――ありがとうございました。

(了)