総合リハビリテーション Vol.54 No.8
2026年 08月号

ISSN 0386-9822
定価 2,640円 (本体2,400円+税)

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特集 小児の摂食嚥下障害の評価とリハビリテーション治療 

 疾病・障害がある小児の摂食・嚥下に関する問題は多岐にわたり,発達面・行動面・心理面でも成人とは異なる配慮を要します.そのため,小児の摂食・嚥下に関して相談を受ける臨床場面は多い一方,対応に迷う場面も多いと考えられます.そこで今回は,小児の摂食・嚥下機能の発達と,評価・検査・リハビリテーション治療の内容や工夫についてご解説をいただきました.

1.総論 田角 勝 氏
 小児の摂食嚥下障害は,「小児摂食症・小児摂食嚥下機能症」として包括的に捉え,全身状態要因,行動・心理的要因,摂食嚥下機能要因の3要因に分類して把握・評価し,摂食を阻害する最大要因は何かを見極める.臨床的ポイントとして,早期介入,安心できる環境,介助者との信頼関係,空腹感のマネジメントや食べる意欲の育成,呼吸や筋緊張のコントロールに加え,口腔感覚への理解や口唇閉鎖や顎介助などがあり,これらについて解説した.

2.NICUからの嚥下機能評価と哺乳援助 鈴村めぐみ 氏ら
 新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:NICU)に入院する児の摂食嚥下障害は,疾患や形態異常に加え発達の未熟性があり,「発達を促すケア」を行うが,「ストレスが少ないケア」になるよう治療環境にも配慮する.母乳の直接授乳にむけての支援・哺乳困難に対する援助について,カンガルーケアや非栄養的吸綴・口腔運動刺激や,体位調整・乳首の選定などについて解説した.嚥下機能評価としては,哺乳場面の観察なども含むスクリーニング評価と嚥下内視鏡検査などが行われるが,児のストレスを軽減するよう工夫する.

3.各論:脳性麻痺児 田村文誉 氏
 脳の発達に障害がある児では,摂食嚥下機能の獲得が遅れたり,異常運動を獲得してしまうことがあるほか,筋緊張や服薬,併存疾患などの影響も受ける.全身や口腔を評価し,食事前・中・後には頸部聴診やパルスオキシメーターで評価し,外部観察も行い問題点を抽出する.摂食嚥下リハビリテーションにおける食環境や食事姿勢・食形態の調整から,直接訓練における介助方法,間接訓練について解説した.

4.各論:口唇顎口蓋裂児 森 智子 氏ら
 口唇口蓋裂はその裂型や合併症の有無によって摂食嚥下障害の重症度は異なるが,出生直後から哺乳の困難さを生じ,幼児期には歯列不正や不正咬合などの問題が生じやすい.哺乳においては,授乳時の姿勢などを工夫し,哺乳床の使用や哺乳瓶の選定を行い,哺乳量や時間を評価し指導する.本稿では,離乳食の進め方や観察ポイントについても解説した.重症例では,経管栄養の併用も行われるが,栄養剤注入時に哺乳瓶の乳首を咥える,指しゃぶりなどで口腔機能の発達を促す,を同時に行っていく.

5.各論:ダウン症児 髙橋摩理 氏
 ダウン症児の哺乳・嚥下機能はさまざまであるが,舌突出,口唇閉鎖の弱さ,押しつぶしができないか弱い,咀嚼ができないか弱い,食具操作の未熟さ,といった問題が生じやすい.摂食機能評価表などを用いて外部観察を行い,適した食形態・介助法・姿勢での再評価を行う.舌を誘導するなどの捕食・嚥下時の対応,押しつぶし・咀嚼を促す食形態や介助法,かじり取り(一口量の調整)や水分摂取について,摂食機能療法の実際について解説した.早期から,多職種で連携して児の全体像を把握しながら支援を継続することが重要である.

6.長期絶飲食の重症心身障害児(者)における摂食嚥下リハビリテーションの再考──誤嚥性肺炎の予防と生活の質の維持をめざしたアプローチ 中村達也 氏
 長期絶飲食の重症心身障害児(者)では,摂食をめざすだけではなく,誤嚥性肺炎の予防や味わう喜びといった生活の質の維持向上をめざすためにも摂食嚥下リハビリテーションが重要となる.まずは唾液嚥下が安全に効率的にできているか,口腔衛生・頭頸部の姿勢,嚥下機能,口腔機能について評価する.実際のリハビリテーション場面における口腔ケア,頭頸部姿勢の調整,筋緊張を調整し感覚運動刺激を加えるなどして行う唾液嚥下の促通について解説した.

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特集 小児の摂食嚥下障害の評価とリハビリテーション治療

今月のハイライト

総論
田角 勝

NICUからの嚥下機能評価と哺乳援助
鈴村 めぐみ,他

各論:脳性麻痺児
田村 文誉

各論:口唇顎口蓋裂児
森 智子,他

各論:ダウン症児
髙橋 摩理

長期絶飲食の重症心身障害児(者)における摂食嚥下リハビリテーションの再考──誤嚥性肺炎の予防と生活の質の維持をめざしたアプローチ
中村 達也


●巻頭言
暮らしに届く技術をどう評価し普及させるか
白銀 暁

●入門講座
ロボット介護機器の今③
介護テクノロジーの効果
齋藤 顕是

●実践講座
既製品の短下肢装具の選び方⑥
ゲイトソリューションデザイン
鈴木 良和,他

●症例報告
神経梅毒による辺縁系脳炎患者に対するリハビリテーション治療の経験
鈴木 亨尚,他

●調査
訪問看護ステーションによる在宅ハビリテーション支援における座位補助クッション使用の効果──保護者アンケート調査
池田 真希子,他

●学会報告
第59回中国四国リハビリテーション医学研究会
尾﨑 敏文

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
アガサ・クリスティーの『赤信号』──精神障害者への変らぬ愛
高橋 正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行」──障害のあるアマチュア俳優たちがフランス国内屈指のヒット作を生んだ
二通 諭

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