精神医学 Vol.68 No.10
2026年 10月号
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特集にあたって
山田和男(東北医科薬科大学精神医学教室)
漢方医学(東洋医学)は,その基本姿勢として,“心身一如(しんしんいちにょ)”と称する心身一元論の立場をとる医学である。それゆえ,本来であれば,精神医学と漢方医学との親和性は高いはずである。実際に漢方薬は,身体症状症や一部の不安症に対して,向精神薬以上の効果を発揮することがある。
しかし,本誌の読者をはじめとした多くの精神科医は,認知症の行動・心理症状(BPSD)に対する抑肝散(よくかんさん)や,イレウス予防に用いる大建中湯(だいけんちゅうとう)などを除けば,漢方薬をほとんど処方したことがないというのが実情であろう。
その理由の1つとして,漢方医学(伝統医学)と現代医学は,本来,異なる概念の上に成り立ったものであり,診断や治療の方法も異なっていることが挙げられるであろう。漢方医学は,“証(しょう、證)”に随(したが)って治療すること(随証治療:ずいしょうちりょう)を原則とするのであるが,随証治療に習熟している精神科医は少ないと思われる。
日本東洋医学会は,随証治療を修得するために研鑽を積み,試験に合格した医師を“漢方専門医”として認定している。現在,全国で2,000人程度の漢方専門医がいるが,精神科専門医とのダブルライセンスをもつ医師は20数人しかいない。その数少ないダブルライセンスをもつ医師の約半数が,本特集のために集結してくれた(漢方専門医をおもちでない方であっても,漢方医学に関する知識は,ダブルライセンスの先生方に引けを取らない方々にお願いした)。漢方医学の初心者にもわかりやすい内容であり,紹介している漢方薬は,精神科臨床において,明日からでも使える処方ばかりである。また,鍼灸と栄養についても,それぞれの分野の第一人者にご執筆いただいた。
本特集をきっかけに,漢方薬に興味をもっていただき,日常臨床で活用していただければ幸甚である。
収録内容
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価格については医書.jpをご覧ください。
特集 精神疾患を東洋医学からみる──エキスパートに学ぶ
企画:山田 和男
特集にあたって
山田 和男
精神科領域における漢方医学総論
久永 明人
精神疾患に対する鍼灸
松浦 悠人
栄養精神医学と漢方──「気・血・水(き・けつ・すい)」を手がかりに,明日の外来でできること
奥平 智之
精神科領域における柴胡剤(さいこざい)の使い方
高橋 晶
精神科領域における竹筎温胆湯(ちくじょうんたんとう)の使い方──かぜ薬の竹筎温胆湯を精神科で使ってみませんか?
天野 雅夫
抑肝散(よくかんさん)の力──広範な臨床応用のMVP
堀口 淳
精神科領域における地黄剤(じおうざい)の使い方
徳田 裕志
精神科領域における桂枝湯(けいしとう)類の使い方
小野 真吾
精神科領域における苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)の使い方
惠紙 英昭・他
精神科領域における気剤の使い方
坪井 貴嗣
精神科領域における黄連解毒湯(おうれんげどくとう)の使い方──憤り・怒り・憤怒
川口 哲
精神科領域における駆瘀血剤(くおけつざい)の使い方
辰巳 礼奈
精神科領域における女神散(にょしんさん)の使い方
井口 博登
向精神薬の副作用に対する漢方薬の有用性
田 亮介
東洋医学Q&A
山田 和男




