理学療法ジャーナル Vol.59 No.5
2025年 05月号
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- EOI : essences of the issue
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EOI : essences of the issue
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特集 機能解剖学に基づく疾患別理学療法
企画:壇 順司
機能解剖とは,骨・関節・軟部組織の形態に応じて生じる動きであり,形態が変われば機能も変化する.健常者でも個体差によるバリエーションが多数存在し,それに対応した機能があると考えられる.一方,疾患により形態が変わると,機能にも影響を及ぼすため,正常機能解剖と病態機能解剖の違いを整理する必要がある.また,疾患の重症度や観血的治療の有無によっても機能の捉え方は異なる.本特集では,肩関節,腰部,股関節,膝関節,足部・足関節の主要疾患における病態による形態変化と,それに基づく病態機能解剖学と理学療法の関係について解説する.
腱板断裂に対する機能解剖学に基づく理学療法 三枝慎弥,他
肩関節は複雑な動作を遂行できる反面,さまざまな愁訴や症状を引き起こす関節でもある.なかでも腱板筋群は肩甲上腕関節の動的安定化機構として主要な役割をもつため,腱板断裂症例に対する理学療法を行ううえでは腱板筋群や肩関節運動に必要なその他の関節機能を統合的に理解することが必要である.さらに術後理学療法においては腱板縫合部へのストレスを最大限配慮し段階的に腱板機能向上を図ることが重要である.
椎間板性腰痛に対する機能解剖学に基づく理学療法 葉 清規,他
腰部疾患の主症状である腰痛の診断基準の重要な指標として,X線や magnetic resonance imaging(MRI)などの画像所見がある.腰部疾患の理学療法評価では,脊椎の安定化機能として靱帯,椎間関節,椎間板の静的安定化機構,筋・筋膜の動的安定化機構の特徴を把握することが必要である.腰部疾患において,画像所見から推測される病態と理学所見を組み合わせて機能障害を評価することで,安全かつ効果的な理学療法が提供できると考える.
変形性股関節症の保存療法に対する機能解剖学に基づく理学療法 礒脇雄一
股関節は私たちの体重を支え,立つ,歩く,走る,しゃがむといった多くの日常生活の基本動作に欠かせない重要な役割を果たしており,股関節単独の機能だけではなく,骨盤帯や腰椎との連動性も重要となる.股関節の健全な機能を維持するために必要な関節求心位を伴った運動が行えるためには,どのような評価をして治療展開をすべきか.一次性変形性股関節症の保存療法における理学療法の思考や実践について症例を提示しながら紹介していく.
変形性膝関節症に対する機能解剖学に基づく理学療法 田中 創,他
変形性膝関節症[膝osteoarthritis(OA)]における病態機能解剖を捉えるうえでは正常機能解剖の理解が重要である.膝OAでは内側半月板逸脱や骨髄浮腫といった病態がみられ,OAの進行や症状と関連する.腸脛靱帯や膝蓋上囊,膝蓋下脂肪体は膝関節機能に影響を及ぼすため,静的な状態に加えて動態を把握することが重要である.
足関節果部骨折に対する機能解剖学に基づく理学療法 溝田丈士,他
足関節背屈の正常機能解剖と評価・治療時の要点について,非荷重位・荷重位に分けて述べた.非荷重位背屈では,底屈27°を目安に距骨滑車が果間関節窩にはまり込み,それより背屈位では距骨の内側結節が果間関節窩より後方に突出する.荷重位背屈では,距骨下関節での踵骨に対する下腿の内旋が重要であり,さらにショパール関節での外がえしによりアーチが下降する.その背屈制限因子の一つとして長母趾屈筋が挙げられ,それに対する評価・治療が重要である.本稿では果部骨折の病態機能解剖について,外果骨折で合併症として下脛腓靱帯損傷を有する症例における足関節背屈可動域制限の解釈,評価・治療を述べた.正常機能解剖および病態機能解剖を理解することは,臨床での対象者の現象を紐解いていく過程で必須となり,それに基づき関節可動域制限に対する評価・治療が行われるべきである.
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特集 機能解剖学に基づく疾患別理学療法
腱板断裂に対する機能解剖学に基づく理学療法
三枝慎弥,他
椎間板性腰痛に対する機能解剖学に基づく理学療法
葉 清規,他
変形性股関節症の保存療法に対する機能解剖学に基づく理学療法
礒脇雄一
変形性膝関節症に対する機能解剖学に基づく理学療法
田中 創,他
足関節果部骨折に対する機能解剖学に基づく理学療法
溝田丈士,他
■Close-up 医療現場に活かすためのコンサルテーション入門
医療におけるコンサルテーションの構造と役割
平井 啓
臨床倫理におけるコンサルテーション──理学療法の現場での活用
勝碕静香,他
医療経済の視点から求められるコンサルテーション
吉村和也
●とびら
哲学,芸術,音楽,共通点は“数学”
米津小巻
●運動器疾患に対する超音波画像評価とエコーガイド下運動療法──EBPTに活かす![新連載]
超音波画像を用いた凍結肩の理学療法評価
工藤慎太郎,他
●薬剤と理学療法⑤
抗精神病薬
渡部和幸,他
●文献収集と管理⑤
PubMed
森山英樹
●理学療法とAI──活用実践例と近未来の展望⑤
AIを用いた歩行分析
関口雄介
●臨床実習サブノート 効果的かつ安全な起居動作へのアプローチ②
脳卒中 過緊張
北山哲也
●症例報告
肋鎖間隙を原因とする腕神経叢障害に対し運動療法が著効した1例
──Wright test肢位における鎖骨下筋の超音波観察に着目して
吉井太希,他
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