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保存から術後まで
脊椎疾患のリハビリテーション[Web動画付]

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高齢化社会に伴い、理学療法士が脊椎疾患を担当するケースは今後益々増えるだろう。本書は、脊椎疾患に対して経験の浅い理学療法士をはじめ、臨床実習に臨む学生、また指導的立場にある理学療法士が、安全かつ効率よく、目に見える結果を出せるような脊椎疾患リハビリテーション実施(保存と術後)についてゴールドスタンダードを示す。大事な評価方法、徒手療法、運動療法は実技動画を多数収載。視覚的にもより深く理解できる。

監修 星野 雅洋
編集 古谷 英孝
発行 2024年09月判型:B5頁:388
ISBN 978-4-260-05607-6
定価 6,820円 (本体6,200円+税)

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監修の序

 2020年の日本人の平均寿命は女性,男性ともに過去最高を更新しており,日本は世界有数の長寿国といえる.また,総人口に占める高齢者の割合(高齢化率)は28.9%と,世界で最も高い.結果として,社会の高齢化に伴う要介護状態の高齢者が増えることによる社会保障費の増加は,いまや深刻な社会問題となっている.このような社会保障費に対しては適切,かつ,効果的な医療の提供が必要であり,健康寿命を延伸させることが重要ではないだろうか.
 本書『脊椎疾患のリハビリテーション』では,腰部脊柱管狭窄症,脊椎圧迫骨折,成人脊柱変形といった,要介護状態に直結する脊椎疾患はもちろんのこと,腰椎椎間板ヘルニア,腰椎分離症,頸椎症性脊髄症・頸椎症性神経根症についても取り上げており,臨床で遭遇しやすい脊椎疾患は網羅されていると考える.実際のリハビリテーション手技に加えて,疾患の概要,病態,診断,保存的治療,手術療法について重要な点がまとめられていることから,効果的な脊椎疾患に対するリハビリテーションを展開するうえで有用な書籍であると思う.また,重要な点は図表やカラー写真,さらにはWeb動画を用いて解説されており,初学者や学生にとっても理解しやすく,明日からの臨床に繋がる構成になっている.
 本書が,脊椎疾患リハビリテーション診療実施の一助となり,多くの脊椎疾患患者の健康寿命の延伸と生活の質の向上に繋がることを期待したい.

 2024年7月吉日
 星野雅洋


 超高齢社会のなか,健康寿命を延伸させるうえで,整形外科疾患に対するリハビリテーションは大きな柱になっています.整形外科疾患のなかでも脊椎疾患は約3割を占めており,療法士が関わる機会が多い疾患であるといえます.特に,手術件数の増加により,手術後のリハビリテーションを提供する機会が増えています.しかしながら,今まで出版されている脊椎疾患についてのリハビリテーション関連の書籍は,保存的リハビリテーションに特化したものが多く,手術後のリハビリテーションを効果的に進める方法について記載されている書籍は少ないのが現状です.また,療法士が遭遇しやすい脊椎疾患が網羅的にまとめられた書籍は今のところ見当たりません.
 本書は,脊椎疾患の保存的,および手術後のリハビリテーションを効果的に進めるため,系統的・網羅的にまとまったガイドブックを目指して作成してきました.本書の主な特徴として,①疾患の概要,②各疾患のリハビリテーションアプローチに必要な脊椎の生体力学的特徴,③治療方法(手術療法含む)を解説したうえで,保存的リハビリテーションと手術後のリハビリテーションの④評価・測定と,⑤リハビリテーションアプローチを図表やカラー写真を多用してわかりやすく解説しています.また,写真では伝わりづらい評価やアプローチのテクニックを,Web動画を用いることで,より理解しやすく,臨床に活かすことのできる内容にしています.今までに出版された脊椎疾患関連の書籍のなかで,Web動画を使用し,解説されたものはないと思います.さらに,引用文献もエビデンスレベルの高いものから最新の知見も含めて掲載しているので,さらに詳しく知りたい読者はぜひ参考にしてほしいと思います.
 本書の作成にあたっては,脊椎の各疾患のエキスパートである先生方と進めてきました.ご執筆いただいた先生方は,臨床・研究・教育・管理運営の最前線で活躍されている,編者が最も信頼している方々であり,本書が納得できる内容に仕上がっているものと自負しています.読者の皆様には,本書をボロボロになるまで読み込んでもらい,脊椎疾患に対するリハビリテーションを進めていくうえで,大いに参考にしていただければ,編集した者としてこのうえない喜びです.
 最後に,本書の出版にあたっては,苑田第三病院・苑田会東京脊椎脊髄病センターの藤澤俊介先生,大坂祐樹先生に多くの的確なアドバイスをいただきました.二人の協力がなければ本書は完成しなかったことでしょう.また,医学書院編集部の北條立人氏には,企画から執筆・編集に至るまで,多くのご助言をいただきました.ここに深くお礼を申し上げます.

 2024年7月吉日
 編集 古谷英孝

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監修の序

第1章 脊椎の機能解剖
  1 脊椎
   1 脊椎の役割
   2 生理的弯曲
   3 脊椎の運動方向と関節可動域
   4 カップリングモーション
   5 脊椎の靱帯
   6 椎間板
  2 頸椎
   1 頸椎の解剖学
   2 頸椎の運動学
   3 頸椎の筋
  3 胸椎
   1 胸椎の解剖学
   2 胸郭
   3 胸郭を形成する関節
   4 胸椎の運動学
   5 胸郭の運動学
   6 胸椎の筋
   7 呼吸筋
  4 腰椎・骨盤帯
   1 腰椎の解剖学
   2 腰椎の運動学
   3 腰椎の安定化システム
   4 腰椎の筋
   5 骨盤帯

第2章 各疾患へのリハビリテーションアプローチ
  1 腰部脊柱管狭窄症
   1 疾患の基礎
     疾患の概念と特徴
     疾患のアプローチに必要な脊椎の生体力学的特徴
     病態
     臨床症状
     画像所見
   2 治療の概要
     保存療法
     手術療法
   3 保存的リハビリテーション
   4 術後リハビリテーション
     術前評価と術前教育
     急性期(術後早期~退院時)
     外来フォローアップ(回復期)
     術後リハビリテーションの留意点
  2 脊椎圧迫骨折
   1 疾患の基礎
     疾患の概念と特徴
     疾患のアプローチに必要な脊椎の生体力学的特徴
     病態
     臨床症状
     自然経過
     画像所見
   2 治療の概要
     保存療法
     手術療法
   3 保存的リハビリテーション
     急性期臥床期
     急性期離床期
     回復期(生活期)
     保存的リハビリテーションの留意点
     予防のポイント
   4 術後リハビリテーション
     術前評価と術前教育
     急性期(術後早期~退院時)
     回復期(外来フォローアップを含む)
     生活期
     術後リハビリテーションの留意点
  3 腰椎椎間板ヘルニア
   1 疾患の基礎
     疾患の概念と特徴
     疾患のアプローチに必要な脊椎の生体力学的特徴(椎間板の機能と特徴)
     病態
     臨床症状
     自然経過
     画像所見
   2 治療の概要
     保存療法
     手術療法
   3 保存的リハビリテーション
     急性期(安静期)
     回復期
     仕事・スポーツ復帰時期
     保存的リハビリテーションの留意点
     予防のポイント
   4 術後リハビリテーション
     術前評価と術前教育
     急性期(術後早期~退院時)
     外来フォローアップ期(回復期)~仕事・スポーツ復帰~
     術後リハビリテーションの留意点
  4 腰椎分離症
   1 疾患の基礎
     疾患の概念と特徴
     疾患のアプローチに必要な脊椎の生体力学的特徴
     病態
     臨床症状および身体所見
     自然経過
     画像所見
   2 治療の概要
     保存療法
     手術療法
   3 保存的リハビリテーション
     評価・測定
     リハビリテーションアプローチ
     保存的リハビリテーションのプロトコルおよび留意点
   4 術後リハビリテーション
     術前評価と術前教育
     術後プロトコルと情報収集
     リハビリテーションアプローチ
     術後リハビリテーションの留意点
  5 成人脊柱変形
   1 疾患の基礎
     疾患の概念と特徴
     疾患のアプローチに必要な脊椎の生体力学的特徴
     病態
     臨床症状
     自然経過
     画像所見
   2 治療の概要
     保存療法
     手術療法
   3 保存的リハビリテーション
   4 術後リハビリテーション
     術前評価と術前教育
     急性期(術後早期~退院)
     外来フォローアップ(回復期)
     術後リハビリテーションの留意点
  6 頸椎症性脊髄症・頸椎症性神経根症
   1 疾患の基礎
     疾患の概念と特徴
     疾患のアプローチに必要な頸椎の生体力学的特徴
     病態
     臨床症状
     自然経過
     画像所見
   2 治療の概要
     保存療法
     手術療法
   3 保存的リハビリテーション
   4 術後リハビリテーション
     術前評価と術前教育
     急性期(術後早期~退院時)
     外来フォローアップ(回復期)
     術後リハビリテーションの留意点

索引

動画一覧
第2章
 第1項 腰部脊柱管狭窄症
   動画1-1 図21 椎間孔拡大モビライゼーション
   動画1-2 図22 末梢神経滑走モビライゼーション(坐骨神経)
   動画1-3 図31 脊柱起立筋に対する横断マッサージ
   動画1-4 図32 腰方形筋に対する横断マッサージ
   動画1-5 図33 多裂筋に対する横断マッサージ
   動画1-6 図34 腰椎屈曲可動域制限に対する関節モビライゼーション
   動画1-7 図35 腰椎屈曲運動に伴う関節モビライゼーション
   動画1-8 図41 動的な腰椎屈曲運動
   動画1-9 図42 壁を利用した胸椎伸展エクササイズ
   動画1-10 図59 起居動作
   動画1-11 図60 立ち上がり動作
   動画1-12~15 図61 歩行
   動画1-16,17 図70 脊柱中間位コントロールエクササイズ(Phase1:急性期)
   動画1-18~21 図74 脊柱中間位コントロールエクササイズ(Phase2:回復期)
   動画1-22 図77 スウェイバック姿勢修正エクササイズ
 第2項 脊椎圧迫骨折
   動画2-1 図27 回復期での四肢・体幹筋運動(臥位)
   動画2-2 図29 回復期でのROM運動(体幹装具除去後)
   動画2-3 図36 breathing
   動画2-4~6 図37 術後運動療法(臥位)
   動画2-7 図38 術後運動療法(四つ這い)
   動画2-8,9 図39 術後運動療法(座位)
   動画2-10 図40 術後運動療法(立位)
 第3項 腰椎椎間板ヘルニア
   動画3-1~4 図23 横断マッサージ
   動画3-5,6 図26 神経の伸張テスト
   動画3-7 図27 他動的頸部屈曲テストの開始肢位(a)と終了肢位(b)
   動画3-8 図28 SLRテスト・ラセーグテスト
   動画3-9 図29 腹臥位膝屈曲テスト
   動画3-10,11 図35 神経と隣接する組織の横断マッサージ
   動画3-12 図36 坐骨神経のスライダー肢位
   動画3-13 図38 SLRテスト・ラセーグテスト
   動画3-14 図39 腹臥位膝屈曲(PKB)テスト
   動画3-15~17 図40 神経の滑走不全に対するアプローチ
 第4項 腰椎分離症
   動画4-1 図16 動作テスト
   動画4-2 図19 腰椎可動域評価
   動画4-3 図23 下肢伸展挙上(SLR)テスト/図24 踵殿距離(HBD)テスト/図25 オーバーテスト
   動画4-4 図27 腹斜筋群テスト・エクササイズ
   動画4-5,6 図28 超音波エコーによる多裂筋機能テスト
   動画4-7 図29 サーマンコアスタビリティテスト
   動画4-8 図30 プッシングテスト・エクササイズ(上肢-体幹筋群の協調性)
   動画4-9 図31 キッキングテスト・エクササイズ(下肢-体幹筋群の協調性)
   動画4-10 図37 腰椎回旋の徒手抵抗によるコアエクササイズ
   動画4-11 図39 ボールリリース動作(上肢-体幹筋群の協調性)エクササイズ
   動画4-12,13 図40 バッティング動作(上肢-体幹筋群の協調性)のエクササイズ
   動画4-14 図41 アスレティックリハビリテーション期(装具off期)のセルフエクササイズ
   動画4-15 図52 体幹回旋エクササイズ(スコーピオン)
 第5項 成人脊柱変形
   動画5-1 図27 knee liftingテスト
   動画5-2~7 図37 モーターコントロール機能評価
   動画5-8 図75 起居動作(背臥位~側臥位)
   動画5-9 図76 起居動作(側臥位~端座位)
   動画5-10 図81 立ち上がり動作(骨盤前傾の自動介助)
   動画5-11 図82 立ち上がり動作(骨盤前傾の抵抗運動)
   動画5-12 図84 良好な姿勢を考慮した床上動作
   動画5-13 図91 立ち上がりへのアプローチ
 第6項 頸椎症性脊髄症・頸椎症性神経根症
   動画6-1 図24 CCFテスト
   動画6-2 図41 神経に対する神経モビライゼーション(スライダー法)
   動画6-3 図63 肩甲帯周囲筋のリラクセーション
   動画6-4 図73 舌骨下筋群のリラクセーション

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