理学療法ジャーナル Vol.58 No.12
2024年 12月号
特集 “子ども”と“母”をつなぎ支える理学療法
ISSN | 0915-0552 |
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定価 | 2,090円 (本体1,900円+税) |
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EOI : essences of the issue
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特集 “子ども”と“母”をつなぎ支える理学療法
企画:沖原優子
理学療法においてウィメンズヘルス領域,小児領域とそれぞれ発展を遂げるなか,子どもが健やかに産まれ育つ社会をめざすには,各領域をそれぞれ独立した分野ではなく一連の流れとした理学療法の展開を考えていく時期にあると考える.今回,各フェーズにおける現状や課題を把握できるよう,それぞれ先駆的に,他職種とも連携を図りながら取り組みを行ってきた方々にご解説いただいた.多職種連携や地域の実情を踏まえながら子どもと母をつなぎ支え,子どもが健やかに産まれ育つ社会へ理学療法がどのように寄与できるか考えるきっかけにされたい.
“子ども”に関する制度と理学療法 小塚直樹,他
子どもを取り巻く環境は,時代の変遷による社会的背景の影響を受け,成長とともに常に変化する.この変化が健全であるためには,堅実かつ合理的な社会制度や社会資源と,個々の多様性にフィットする適正な成育環境が必要である.本稿では,子どもと家庭を取り巻く環境,小児とウィメンズヘルスなどの理学療法の現状を概観し,子どもと母,および家庭を支える「法と制度」と「理学療法のかかわりに関する意義や課題」について小児理学療法を担う者の視点も交えて提言したい.
将来の母を支える理学療法──妊娠・産褥期へのかかわり 春本千保子,他
妊娠・産褥期のマイナートラブルは多岐にわたる.特に妊娠期においては医療機関での対応が限局され,症状改善に悩む人が多い.
私たち理学療法士には,妊娠期に生じるさまざまな身体変化を理解し,個別の問題に対する評価と治療を実施し,介入結果を蓄積することが求められている.本稿では妊娠期の身体変化の知識と,妊娠期に歩行や日常生活に問題が生じた症例を紹介する.
産後の母を支える理学療法 佐々木聡子
妊娠・出産による身体的変化に伴い,産後はさまざまなトラブルを生じやすい.トラブルの有無にかかわらず,出産直後から育児という新たな活動が開始となる.身体的トラブルは精神的トラブルにつながる例もあり,産後の育児環境を考慮しながらさまざまな職種での支援が望まれる.助産師・看護師・理学療法士がチームを組み,訪問での支援を行っている立場から,産後の身体的変化や評価・ケア内容,多職種連携の実際を解説する.
新生児を支える理学療法 齋藤悟子
新生児集中治療室(neonatal intensive care unit:NICU)は子どもと母・父が初めて出会う場である.子どもが生きるためには養育者が必要であり,養育者もまた,子どもの理学療法の対象となる.生まれた子どもの成長発達に合わせて,母のウィメンズヘルス領域と小児領域の理学療法を切れ目なく一連の流れとして提供するには,それぞれ担当する施設の特性などを知り,垣根を越えて共有することが,理学療法のなかで広義のチーム医療と言える.
地域の子どもを支える理学療法 井上和広
近年,小児理学療法の対象や支援場所は多様化,複雑化しており,家族支援や地域連携は重要な位置づけとなっている.そのなかでも重要な概念が family-centered care(家族を中心とした介入)である.障害をもつ子どもたちの理学療法を実践するうえで,それぞれの個別性にも配慮し,ライフサイクルに応じて,家族との情報共有や協力など柔軟な対応が求められている.
助産師の立場から理学療法士に求めるもの──妊産婦と子どもの継続ケア 山本英子
持続可能な開発目標(sustainable development goals:SDGs)の理念である「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて,子どもと母をつなぎ支える専門職者の存在は非常に重要である.専門性を活かした視点から統合された継続ケアを対象者とともに創造し実践することが望まれる.母子の包括的理解,妊産婦のメンタルヘルス支援,多職種連携・協働が必要であり,専門分野の知識・技術力とチーム形成力,エビデンスの構築や人材育成の推進が求められる.
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特集 “子ども”と“母”をつなぎ支える理学療法
エディトリアル 健やかなる“子ども”と“母”をつなぎ支える理学療法
沖原優子
“子ども”に関する制度と理学療法
小塚直樹,他
将来の母を支える理学療法──妊娠・産褥期へのかかわり
春本千保子,他
産後の母を支える理学療法
佐々木聡子
新生児を支える理学療法
齋藤悟子
地域の子どもを支える理学療法
井上和広
助産師の立場から理学療法士に求めるもの──妊産婦と子どもの継続ケア
山本英子
■Close-up 理学療法と公衆衛生
公衆衛生に関する理学療法のあるべき姿
木村 朗
公衆衛生に理学療法士がかかわるために
小池孝康
●とびら
大事なことはみーんな患者さんに教わった
小山田 香
●視覚ベースの動作分析・評価⑧
歩行──歩行観察の結果から膝関節および胸郭機能の改善を図り,歩行時の膝関節痛軽減が得られた症例
森口晃一
●運動療法に活かすための神経生理(学)[最終回]
ADLを改善するために筋緊張異常をどう制御するか?
後藤 淳
●今月の深めたい理学療法周辺用語[最終回]
ヘルスリテラシー
中山和弘
●理学療法士のための「money」講座[最終回]
協会費2万円は無駄なのか──お金よりも大事なもの,自己投資の還元
細川智也
●臨床実習サブノート
「どれくらい運動させていいかわからない」をどう克服するか⑨
パーキンソン病患者に対する歩行練習
中山恭秀
●症例報告
全身の動脈硬化性疾患から経年的帰結として心不全に至り,運動耐容能向上に難渋した1例
五月女宗史
●紹介
多機関からなる大学附属病院の連携を通じた職場内教育体制の創出
藤田吾郎,他
●My Current Favorite
理学療法×産業保健
松垣竜太郎
●私のターニングポイント
ちょっとネガティブなターニングポイント
東海林淳一
●学会印象記
第36回大阪府理学療法学術大会──高め合うワークとライフの実現をめざして
後藤祐貴
第10回日本呼吸理学療法学会学術大会──呼吸理学療法の新たな展開
村川勇一
●臨床のコツ・私の裏ワザ
頸部痛・肩こりが再発しやすい症例の評価・介入のコツ
上田泰久
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