総合診療 Vol.35 No.9
2025年 09月号
特集 画像検査との“上手な”つきあい方 知っておきたい画像検査・画像診断のアレコレ
ISSN | 2188-8051 |
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定価 | 2,860円 (本体2,600円+税) |
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Editorial
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視るチカラを、診るチカラにつなげる
上松東宏(愛知医科大学地域総合診療医学寄附講座)
老若男女、臓器を問わず多岐にわたる患者をカバーする──
今回は画像診断の話である。画像診断が総合診療やプライマリ・ケアと親和性が低いはずがない。しかし、放射線科で系統的な研修を受けた医師は少ないだろう。もし、同じく年齢や臓器を問わず患者を診るプライマリ・ケア医が、ポイントを押さえながら画像診断・画像検査を深めれば、領域横断的な進化が期待できるのではないか。私は、プライマリ・ケアと画像診断をどうすればうまく接続できるかを考えてきた。
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私は家庭医だが、初期臨床研修後のキャリアは放射線科医としてスタートした。放射線科での研修期間はわずか3年弱だが、厳しくも教育的な指導医に囲まれてとても充実した時間を送った。 日々の読影業務を通じて、見えなかったものが見えるようになり、身につけた知識を読影レポートに活かせることに大きな喜びを感じていた。学生時代は、薄暗い読影室といえば睡魔との戦いというイメージだったが、研修を通して画像を読影することが苦痛でなくなり、むしろ所見との出合いを楽しめるようになった。他にも、最適な画像を得るためにCTやMRIの検査計画を立てたり、 検査室の前に張り付いて検査中に起こるさまざまな問題に対応したことも、よい経験となった。
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その後の家庭医としての診療において、読影技術や疾患の知識は大いに役立った。職人技のような読影技術は身につけられなかったが、根拠をもって画像検査を依頼できたり、読影レポートが返ってくる前に初動対応が取れたり、過去画像を参考にして現在の状況が推測できたりしたことで、救われた場面が数多くあった。患者さんの近くでその効果を実感できたとき、画像診断を学んできて本当によかったと思った。しかし、それだけでなく、放射線科医の読影力を引き出すための依頼方法やコミュニケーションの取り方、画像検査に伴うさまざまなトラブルシューティング、そして「放射線」という侵襲性を伴う検査を扱う者としての責任――これらを学べたことは、今も私の臨床に根ざしている。
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本特集では、プライマリ・ケアの現場で役立つ画像診断・画像検査に関するトピックを厳選した。画像を依頼する立場として知っておくべき基本的な考え方から、現場ですぐに使える知識、検査にまつわる周辺情報まで、バランスよく収載できた。そして素晴らしい執筆陣にご尽力いただき、私が構想してきた以上の実践的な内容に仕上がった。本特集が画像検査にアクセスしやすい病院勤務医はもちろん、診療所を含むあらゆるプライマリ・ケア現場で画像検査に関わるすべての医師にとって、少しでも両者の距離感を縮める一助となることを願っている。
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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。
特集 画像検査との“上手な”つきあい方──知っておきたい画像検査・画像診断のアレコレ
企画:上松東宏
■総論
①プライマリ・ケア医としての画像検査の使い方・考え方
吉川聡司
②総ざらい! いまさら聞けない画像検査の基礎知識
鈴木崇浩
③放射線科医と上手に連携するために知っておきたいこと
秦 康博
■日常診療を円滑・安全に行うための画像検査の知識
①これだけは押さえておきたい! 頭部CT読影のミニマム・エッセンス 10のルール
森島 亮
②これだけは押さえておきたい! 胸部単純X線読影のミニマム・エッセンス
森川 昇
③これだけは押さえておきたい! 腹痛患者の腹部CT読影 ミニマム・エッセンス
金井信恭
④知っておくと役立つ正常像1──紛らわしい生理的変化
朝日公一
⑤知っておくと役立つ正常像2──頻度の高い偽病変/正常変異・良性病変
向井紀代子|堀内沙矢|森下恵美子|栗原泰之
⑥どう考えればいい? 臨床像と画像所見が乖離しているとき
佐藤直行
⑦プライマリ・ケアでよく遭遇する疾患の画像フォローアップ1──肝・胆・膵
山本憲彦
⑧プライマリ・ケアでよく遭遇する疾患の画像フォローアップ2──胸部
中島 啓
⑨見つけても慌てない 偶発所見のマネジメント
安藤 諭
⑩ときどき困る・迷う 画像検査まわりのトラブル対処法
熊谷知博
⑪過剰診断……見落とし…… 画像診断のリスク・マネジメント
上松東宏
⑫最低限知っておきたい画像検査と被曝の知識
大野和子
■画像検査と上手につきあうヒント
①私の画像検査とのつきあい方──診療所家庭医編
藤沼康樹
②私の画像検査とのつきあい方──病院総合診療医編
北村 大
③英国プライマリ・ケア医の画像検査とのつきあい方
佐々江龍一郎
④在宅医療における画像検査
栗田正幸
⑤プライマリ・ケア医が知っておくべき最近の画像検査&診断事情
dual-energy CT からphoton-counting CTへ
吉川聡司
⑥予防医療における画像検査のエビデンス
中島浩一
コラム 画像所見は宝の山! clinical pictures投稿のすすめ
西澤俊紀
今月の「めざせ! 総合診療専門医!」問題
●Editorial
視るチカラを、診るチカラにつなげる
上松東宏
●What's your diagnosis?|273
痛けりゃ、気も失う?
小山 弘|井口美季子
●オール沖縄! カンファレンス Ver.2.0|レジデントの対応と指導医の考え|104
低Na血症の沼にはまる。60代女性の病因は?
中西幸平・国島文史・高嶺 光(著)|鈴木智晴、他(監修)
●日常診療で出会う “おとなの発達障害”|明日から使える身体症状に対する問診と診断アプローチ|9
発達障害概念の拡がりは身体科の医療者にどのような影響を与えるか
廣田智也
●構造式で語る医学|薬物の交差反応や意外な副作用を学ぼう!|9
核酸(ピリジミン塩基)に似た構造の医薬品
上田剛士
●ジェネラリストに必要な ご遺体の診断学|30
実践基本編⑩:ジェネラリストが取り扱う外因死
森田沙斗武
●アスクレピオスの杖|想い出の診療録|65
The best role model might be someone you've never met.
濱口杉大
●オスラーに学ぶ“平静の心”|医師と医学生に贈ることば|2
医師の使命
森島祐子|仁木久恵
●臨床教育お悩み相談室|どうする!?サロン|25
“主体性”だぁぁぁ、ゼーーット!
木村武司|佐田竜一|長野広之
●投稿 Empirical EYE
言語の背景にある社会文化と人の特性──コミュニケーションのズレに悩む若手医師に伝えたいポイント
八巻孝之
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