総合診療 Vol.35 No.8
2025年 08月号
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Editorial
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パーキンソン病を全人的・総合的に診る!
生野真嗣(京都大学 医学教育・国際化推進センター)
私はパーキンソン病を臨床・研究の両面で専門としており、脳神経内科のフィジシャン・サイエンティストとして、これまで多くの先生方からご指導をいただきながら研鑽を積んでまいりました。また現在は、卒前教育を担う部署に所属し、より広い視点から医学生教育に携わる立場にあります。
そのようななかで常に思い起こすのは、大学病院でのパーキンソン病外来の経験と、脳神経内科常勤医師が不在の地域基幹病院における、12年間にわたる外来診療応援の経験です。患者さんを全人的・総合的に診療するには、目の前の1つのタイムポイントだけでなく、専門外来では対応しきれない前後の状況も想定し、そこを担う医療者との連携が不可欠です。一方で、専門医にとっては当然のことが、非専門医にとっては“ブラックボックス”に映る場面も少なくありません。
本特集では、パーキンソン病診療の要点をステージごとに俯職しつつ、タイムコースや患者さんの生活の場をできる限り連続的に捉えられるよう、多くの専門医の先生方にご協力いただき、実践的な内容を目指しました。本特集が、総合診療医と脳神経内科医が互いの専門性へのリスペクトを基盤に、連携して患者さんを全人的・総合的に診療するための一助となることを願っております。
最後になりましたが、共同編集者としてご指導くださった片岡先生、各項目をご執筆いただいた先生方、そして読者の皆様に、心より感謝申し上げます。
片岡仁美(京都大学 医学教育・国際化推進センター)
全人的医療を目指して総合診療を自身の診療の中核にし、全身を診ることを心掛け、またそれが一定の水準でできている、という自負もあったかもしれない。しかし、実は全身のなかに頭は含まれておらず、首から下しか総合的に診られていなかったのではないかと反省する出来事もあった。脳神経内科は学生の時から“難しい科目”という印象があり、脳神経疾患らしさがあれば専門医に……といった分業意識が自分にはあったかもしれない。
しかし、多くの脳神経内科疾患の患者さんがまず受診される先は専門医以外であることも多く、その最初の窓口は、総合診療や一般内科であることが多いのではないだろうか。その意味で、いかに早い段階で想起して専門医に繋ぐか、また、その後いかに連携していくかは、脳神経領域の疾患の診療を円滑に行う鍵であると痛感している。
京都大学に赴任後、本特集の共同企画をお願いした生野先生に出会い、チームで働くことになったのはちょうど2年ほど前である。自分のなかで“足りない”と感じていた脳神経内科領域のより深い理解と連携というキーワードに加えて、「ぜひ本誌での共同企画を」と閃いた瞬間でもあった。本企画は生野先生の深い知識と実践と、総合診療領域との連携という視点があって可能となった。素晴らしい先生方に執筆していただいた内容は読みごたえがあり、しかもとてもわかりやすく、心より感謝するとともに、ぜひ読者の皆様の理解と実践の一助にしていただけたらと祈念している。
収録内容
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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。
特集 パーキンソン病大全──あなたのギモンに答えます!
企画:生野真嗣|片岡仁美
■診断編
①パーキンソン病の基本概念
波田野 琢
②パーキンソン病の運動症状とは
中西悦郎
③パーキンソン病の診断と鑑別
奥住文美|波田野 琢
④[パーキンソン症候群]薬剤性パーキンソニズム
辻 浩史
⑤[パーキンソン症候群]脳血管性パーキンソニズム
三浦史郎
⑥[パーキンソン症候群]その他の変性疾患
石本智之
⑦若年性パーキンソン病と遺伝性パーキンソン病
王子 悠
■治療編
①パーキンソン病の典型的な経過と薬物療法の変遷
澤村正典
②初期の治療と治療開始のタイミング
朴 貴瑛
③進行期の薬物療法と運動合併症
髙坂雅之
④パーキンソン病と認知症
辻 輝之
⑤非運動症状と治療アプローチ
平藤哲也
⑥デバイス補助療法と適応
島 淳
■アドバンス編
①パーキンソン病の前駆期──早期発見のヒントになるか?
田口智之
②パーキンソン病患者の生活の工夫と環境調整
赫 寛雄|秋庭優樹|木村亮之
③パーキンソン病のリハビリテーション
樽野陽亮
④パーキンソン病の在宅医療
林 理之
⑤最新治療、新薬、最新知識
山門穂高
今月のQuestions
●Editorial
パーキンソン病を全人的・総合的に診る!
生野真嗣|片岡仁美
●ゲストライブ 懸賞企画スタート!
医師と表現、その交差するところ──アート企画「医学生のアトリエ」に向けて
北原大翔|金澤知大
●新連載 オスラーに学ぶ“平静の心”|医師と医学生に贈ることば|1
はじめに
森島祐子|仁木久恵
●構造式で語る医学|薬物の交差反応や意外な副作用を学ぼう!|8
グルコースと似た構造をもつ医薬品
上田剛士
●オール沖縄! カンファレンス Ver.2.0|レジデントの対応と指導医の考え|103
高熱、皮疹、筋肉痛、本当に皮膚筋炎?!
田口泰透・平良翔吾(著)|仲里信彦、他(監修)
●ジェネラリストに必要な ご遺体の診断学|29
実践基本編⑨:急性アルコール中毒と急性薬物中毒
森田沙斗武
●日常診療で出会う “おとなの発達障害”|明日から使える身体症状に対する問診と診断アプローチ|8
動悸、息切れを主訴に単独で来院した成人女性
廣田智也
●アスクレピオスの杖|想い出の診療録|64
「腰にあるツボを押していました」
寺澤佳洋
●What's your diagnosis?|272
くり返した結果
米本仁吏(著)|酒見英太(監修)
●投稿 総合診療外来・在宅
脱水による高K血症により房室接合部調律を認めた1例
谷江智輝|神田弘太郎|小澤康太|藤川博敏
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