総合診療 Vol.34 No.5
2024年 05月号

ISSN 2188-8051
定価 2,860円 (本体2,600円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • Editorial
  • 収録内容

開く

「臨床判断力」を鍛え、患者とともに“正しく”悩もう!

天野雅之(南奈良総合医療センター 総合診療科/教育研修センター)

 臨床判断は難しい。“ガイドラインがない領域”や、“価値観を踏まえた個別判断”ともなれば、その難しさは倍増する。この判断力は、各医師が経験を積み、長い年月をかけて個別に体得してきたものだ。しかし診療や教育の現場にも、「効率化」や「マニュアル化」が求められる時代になった。このギャップに苦しむ医師も多いと思われるが、「必要は発明の母」とも言われるように、これはむしろ“イノベーション”のチャンスかもしれない。
 熟達医のもつ「まだ言語化されていない経験知」を若手医師に伝授できれば、若手医師は“中腹地点”まで一気に近道することができ、全世代で“さらなる高み”を目指せるのではないか? 熟達医のアタマの中を“のぞき見”させていただき、思考過程を“見える化” できれば、読者のみなさんのお役に立てるのではないか? そうした思いから本特集を企画した。
 思考過程の言語化という難題に対し、経営学の一分野である「意思決定理論」を用いて解決を試みた。執筆陣には、その道の熟達医とMBA(経営学修士)取得者やビジネススクールに在籍する医師をお迎えした。執筆者のみなさんのご尽力のおかげで、充実した内容をお届けできると確信している。
 「臨床判断力」を効率よく高めるため、ある医師が葛藤しながら臨床判断していくプロセスを“追体験”できるよう、誌面に工夫をこらした。同じフォーマットを用いてご執筆いただくことで、「どのように問題設定し、どのような選択肢をあげ、どのような情報を使って吟味したか」という思考過程を再現していただいた。導き出された結果は、読者のそれとは違うかもしれない。つい結論に飛びついて議論したくなるが、答えを急ぐのではなく、正解が1つではない状況における「思考過程」に着目して、じっくりお楽しみいただきたい。
 価値観が多様化した現代において、患者中心性を担保するためにも、「選択肢を前にして、患者とともに悩む時間」は十分確保したい。そのためにも、“問題を捉え、選択肢をあげ、プロとしての推奨を立案する”という前段階については、熟達医の知恵をお借りして優柔不断に「サヨウナラ!」を告げてしまおう。本特集が、患者とともに「“正しく”悩む」ための一助となれば幸いだ。

開く

医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

特集 優柔不断にサヨウナラ! あなたの「臨床判断力」を高めるケーススタディ11選
企画:天野雅之

■総論
「経営学」の知恵を活かして判断力を高めよう──思考過程を“見える化”し、「意思決定表」を使いこなす
天野雅之

■各論:「意思決定表」を用いた場面別ロジカルアプローチ
「疾患/症候別」臨床判断ケーススタディ
①高血圧──投薬する? しない?
天野雅之

②糖尿病──内服? 自己注射?
宮植和希│五十野桃子│五十野博基

③感染症──静注? 内服?
伊東 完

④血圧低下──輸液速度は維持? 変更?
天野雅之

⑤胸水貯留──穿刺する? しない?
山本晴香

「診療の場/状況別」臨床判断ケーススタディ
①救急外来──入院提案? 外来提案?
平松由布季

②退院判断──在宅? 施設? 病院?
次橋幸男

③在宅急変──搬送/入院? 自宅で粘る?
合田 建

④栄養摂取困難──経静脈? 経鼻? 胃ろう?
矢吹 拓

⑤DNAR──尋ねる? 今は尋ねない?
大宮萌子│綿貫 聡

⑥病名告知──する? しない?
柏木秀行

■スペシャル・アーティクル
「不確実性」が極めて高い状況での意思決定戦略──未来から逆算できないなら、今を積み上げて未来を創ろう
天野雅之

今月のQuestions
今月の「めざせ!総合診療専門医!」問題


●Editorial
「臨床判断力」を鍛え、患者とともに“正しく”悩もう!
天野雅之

●GM Group Dynamics|11
シン・若手病院総合診療医カンファレンス
貝田 航|合田 建

●What's your diagnosis?|257
なければつくればいいじゃない。
穂積未来|風間 亮|浜田 禅

●対談|医のアートを求めて|8
医療×写真──水中写真という芸術
鍵井靖章|平島 修

●オール沖縄! カンファレンス Ver.2.0|レジデントの対応と指導医の考え|88
発熱・皮疹でピンときても、診断はまだ難しい
又吉貴也|佐藤直行|仲里信彦、他(監修)

●アスクレピオスの杖|想い出の診療録|49
じぶんの時間
杉田陽一郎

●臨床医のためのライフハック|限りある時間を有効に使う仕事術|14
教育──忙しい臨床のなかで若手医師を教える方法は?
中島 啓

●ジェネラリストに必要な ご遺体の診断学|14
ご遺体の検査⑤ CT検査〈その1〉
森田沙斗武

●臨床教育お悩み相談室|どうする!?サロン|15
外来で指導する時も、learning climateはいつも晴れ晴れ!
佐田竜一|木村武司|長野広之

●投稿 GM Report
若手総合診療医としてJMATでの能登派遣を振り返って──災害医療に活かせる総合診療とは?
赤澤英将|大塚勇輝|藤原真治|片岡仁美|大塚文男

●投稿 GM Clinical Pictures
突然死の原因は?
島垣俊理|加藤 爾|廣瀬保夫|吉村宣彦

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • https://gene-navi.igaku-shoin.co.jp/