総合診療 Vol.34 No.4
2024年 04月号

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総合診療やプライマリ・ケアの現場では「全身倦怠感」「あちこち痛い」「めまい」「微熱」を主訴に専門科を受診しても異常がなく、原因不明の不定愁訴とされる患者に数多く出会う。診断名をあえてつけると「機能性身体症候群」「身体症状症」「慢性疼痛」などとなるが、有効な治療法の提示は簡単ではない。
また、朝起きられずに不登校となる中学生や高校生、月経前症候群や更年期の症候への対峙を求められることもある。さらに最近では、コロナ感染後に「不定愁訴」的な症状で受診する患者も増えている。
これらの患者に対して、西洋医学の枠組みだけでは満足のいく結果を出すことは難しく、そこで「困ったときの漢方」と考えてみてほしい。
「漢方」と聞くと難しい理論を思い浮かべ、いわゆる「証」というものを正確に見立てることができないとダメなのではないか、と思う読者も多いかもしれないが、本特集では「この症状に役立ちます!」に焦点を絞って、明日の日常臨床に即役立つ特集としたい。

ISSN 2188-8051
定価 2,860円 (本体2,600円+税)

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さあ本特集号を手に、刺激的な漢方の旅へ!

鈴木富雄(大阪医科薬科大学地域総合医療科学寄附講座特任教授/大阪医科薬科大学附属病院総合診療科)

 日常診療において、西洋医学だけでは解決しづらい問題に出合うことは珍しくありません。特に総合診療の現場では、このような難題によく直面します。そこで本特集では、考慮すべき選択肢の1つとして、漢方の有効性に光を当てました。
 一部の方には漢方への抵抗感があるかもしれません。私自身も初めは漢方に対して、懐疑的でした。複雑な薬の名前や多岐にわたる生薬の性質、独自の理論や診断技法など、漢方を取り巻く要素は、初学者にはやや難解に感じられることでしょう。
 しかし、漢方は本来、もっと身近に扱われるものです。「習うより慣れろ」という諺のように、漢方の使い方を学ぶうえで最も効果的なのは、実際に使ってみることです。そこに適切なガイドがあれば、その過程はより楽しさに溢れたものになることでしょう。
 本特集では、総合診療科の外来で遭遇するさまざまな症候に焦点を当て、西洋医学のみでの診療に迷う場面で「どうすればよいのか」、その道のプロの方々にたっぷりと語っていただきました。どの項目もわかりやすく述べられていますが、内容は奥深く、読むほどに新たな学びがあることに気づかされます。
 本特集号を、外来などで手軽に参照できる場所に置いておくことを是非お勧めします。遭遇した症候に応じて、その都度手にすることで、総合診療医としての診療の幅が拡がっていくのを感じるはずです。
 また、医局やグループの勉強会でのテキストとしても活用していただければ幸いです。興味のある項目から読み進めることで、漢方医学への理解が深まっていくことでしょう。
 本特集が皆さんの明日からの診療に役立つことを心から願っています。
 さあ、これから漢方の世界へと続く、刺激的な旅に一緒に出発しましょう!

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医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

特集 困ったときの漢方──この症状に役立ちます!
企画:鈴木富雄

■座談会
漢方初心者Q&A──「漢方薬を使ってみたい!」と思うあなたへ
千福貞博|幕内安弥子|鈴木富雄(司会)

■総論
①まずはこれを理解してみよう! 意外に簡単、漢方の基本的な考え方
下村裕章

②漢方の診察は面白い! 四診(望診・聞診・問診・切診)とは?
千福貞博

■各論 この症状で「困った!」ときの漢方の使いドコロ!
①かぜの漢方治療アップデート──“かぜっぽい”からインフルエンザ・COVID-19まで
吉永 亮

②おなかの調子が悪いんです──腹痛、便秘、下痢などに効く漢方
喜多敏明

③あちこち痛いんだけど…──頭痛、腰痛、関節痛に効く漢方
貝沼茂三郎

④めまいが治らない…
佐藤寿一

⑤おもだるい、雨の前の頭痛、むくむ、排尿の不調のあるとき
高山 真

⑥ほてりと冷え、多汗で困るとき
南澤 潔

⑦皮膚炎が治らない
夏秋 優

⑧月経諸疾患や症状にどう対応する?!
加藤育民

⑨気力が出ない、食欲がないとき(コロナ後遺症にも対応)
野上達也

⑩いわゆる不定愁訴には?──頭痛、痛み、息苦しさetc.
網谷真理恵|志水倫子|鈴木 甫

⑪在宅医療や終末期に使える漢方薬は?
樫尾明彦

⑫小児の心身症に使える漢方薬は?
川嶋浩一郎

■コラム 漢方薬とEBM
「EBMをやっている人が、漢方なんか使っているなんて!」と言われました。
南郷栄秀

今月の「めざせ!総合診療専門医!」問題


●Editorial
さあ本特集号を手に、刺激的な漢方の旅へ!
鈴木富雄

●What's your diagnosis?|256
私のせいで、こんなことに…
田中 孟(著)|酒見英太(監修)

●アスクレピオスの杖|想い出の診療録|48
忘れえぬ患者と家族~私がこのへき地に残り続ける理由~
中村伸一

●臨床教育お悩み相談室|どうする!?サロン|14
「働き方改革」って、いったい誰得? 何得?
木村武司|佐田竜一|長野広之

●オール沖縄! カンファレンス Ver.2.0|レジデントの対応と指導医の考え|87
髄膜刺激徴候陰性→髄膜炎・脳炎を否定していいの?
野澤勇哉|中地 亮|徳田安春、他(監修)

●臨床医のためのライフハック|限りある時間を有効に使う仕事術|13
執筆業務──忙しくてもChatGPTに負けない!? 魅力的な依頼原稿・教育資料をスイスイ書くには
中島 啓

●ジェネラリストに必要な ご遺体の診断学|13
ご遺体の検査④ 血液検査
森田沙斗武

●投稿 GM Clinical Pictures
ますます増悪する意識障害
秋山由樹|若林崇雄|古川直幸|石橋幹之介|須藤大智|渡邉智之

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