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苦手な人もこれで安心!
4つのStepで考える てんかんの精神症状

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「てんかんの精神症状」、モヤモヤしたままにしていませんか? 4つのStepで、てんかんの精神症状をやさしく、わかりやすく解説! さらに著者の豊富な経験に基づく52のCaseを1つ1つ理解することで、これまで見えなかった患者さんの状況がグッとクリアに。「精神症状はよくわからない」とお悩みの脳神経内科の先生も、「てんかんは苦手」とお困りの精神科の先生も、この一冊で診療の幅がきっと広がります。

  • 本書は、2023年7月にKindle Direct Publishingで自己出版された“Coping with PSYCHIATRIC ISSUES in Patients with Epilepsy”を著者自ら翻訳し、加筆修正を行った日本語版です。
兼本 浩祐
発行 2025年05月判型:A5頁:208
ISBN 978-4-260-06176-6
定価 3,850円 (本体3,500円+税)

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日本語版序文推薦の言葉

日本語版序文

 本書は,筆者が国際てんかん連盟の精神科部門の委員長であった間に,インド,イラン,中国,ブラジルなどでてんかんの精神症状に詳しくない脳神経内科の先生を主要な対象として講演をした内容を中心に,英語で教科書として編纂したものの翻訳になります。医学書院の小藤崇広さんに励ましていただき,日本語訳を出版することになりました。
 てんかんのケアに携わっているが,てんかんに伴う精神科的問題の対応に困っている脳神経内科・脳神経外科の先生方,てんかんに伴う精神科的なケアを頼まれているが,てんかんのことが分からなくて困っている精神科の先生方や心理職の先生,精神科的なケアにもてんかんにも詳しくないが,てんかんに伴う精神科的な問題に関わらざるを得ない看護師さんや介護士さんに役に立つかもしれません。ほぼ英文をそのまま翻訳していますが,用語などが古くなっているものをやむを得ない場合に訂正し,日本語版のために若干の文献や図表などを補ってあります。英語表現がもとになっているので,日本語に訳すと大げさな感じや不自然な表現がどうしても残ってしまいました。どうかご容赦ください。

 2025年3月
 兼本浩祐


推薦の言葉

 本書を読むことができ大変嬉しく思います。本書は,てんかん患者の評価とケアにおいてこれまで軽視されてきた側面の1つ,すなわち精神医学的併存疾患について,幅広い読者に紹介するものです。
 欧米諸国では長年,てんかんは「発作」や脳波異常と関係する神経学的な問題であると考えられてきました。てんかんへの対応は,てんかんそのものの多くはコントロールできるものの,認知や感情の変化につながるさまざまな副作用を伴う薬剤で行われてきました。てんかんには行動上の,あるいは心理的な併存症があるという指摘は長い間多くの人に認知されず,議論すらされてきませんでした。しかし,てんかんは発作だけに還元できるものではなく,多くの患者の臨床的ニーズは,てんかん発作だけに限定されたアプローチではカバーしきれないほど広範です。そのことをより深く理解するための道を切り開いた臨床医が日本には数多くいました。日本のてんかん専門医は,てんかん発作以外の徴候や症状に関連する脳波の変化の意味合いに加え,てんかんに関連する精神神経的,社会的影響に対する治療法についても,早い時期から理解し研究していました。本書で著者は,精神医学的な問題に立ち向かうという重要な課題に簡潔にアプローチする方法を示し,加えて,臨床上大きな問題となりうるパーソナリティ変化の問題や,心因性非てんかん発作(PNES)を含む行動の評価の基本的なガイダンスを行っています。てんかんと精神病に関する日本の研究は,満田久敏(1950年)にさかのぼることができ,大沼悌一(1995年)とそのグループをはじめ,多くの研究者がそこに名前を連ねています。
 本書で提示されているモデル症例は,こうした伝統に沿った著者の長年の経験の貴重な反映であると思われます。

 2023年6月
 Michael Trimble

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まえがき

Step 0 行動変化に気づこう
 1 攻撃性-イライラ感の正しい捉え方
 2 うつ状態に気づかず,放置しないために
 3 精神病に気づかず,放置しないために
 4 ビデオ脳波モニタリングを行う前にPNESを疑う手がかり
 5 パーソナリティの変化の正しい捉え方

Step 1 4つの潜在的原因を常に意識しよう
   1 てんかん活動そのものによる精神的問題(I型)
   2 抗てんかん薬の向精神作用による精神的問題(II型)
   3 基礎疾患が引き起こす精神的問題(III型)
   4 心理社会的変化に起因する精神的問題(IV型)

Step 2 4つの潜在的原因と3つの状況を理解しよう
 1 てんかん活動そのものによる精神的問題
  A 精神性前兆に関連する精神症状
  B 発作後精神病
  C 棘徐波昏迷
 2 抗てんかん薬の向精神作用による精神的問題
  A イライラ感,攻撃性,かんしゃく
  B 抑うつ状態
  C 精神病
 3 基礎疾患が精神的問題を引き起こしている場合
  A 自己免疫性脳炎──抗NMDA受容体脳炎
  B 自己免疫性脳炎──抗LGI1脳炎
  C 自己免疫性脳炎──抗GAD脳炎
  D 膠芽腫
  E 抗リン脂質抗体症候群
 4 精神的問題が心理社会的変化に起因する場合
  A 不当な扱いによるスティグマ
  B 予期によるスティグマ
  C 予期によるスティグマと関連する過剰診療
  D 児童から成人へのケアの移行
 5 てんかん患者と知的障害
  A 抗精神病薬
  B ベンゾジアゼピン系薬剤に関連した脱抑制
  C ベンゾジアゼピン系薬剤によるQOLの低下
  D ペランパネルによる脱抑制
  E ダウン症候群に伴う晩期発症ミオクロニーてんかん
 6 てんかんの外科治療後
  A 新規に発症するうつ病
  B 手術前に精神病エピソードがある場合
  C 遺伝的要因が優勢な可能性がある術後精神病
  D 新規に発症するPNES
 7 心因性非てんかん発作(PNES)の診断
  A けいれん性PNES
  B けいれんを伴わない転倒発作
  C けいれんも転倒発作も伴わない意識障害
 8 心因性非てんかん発作(PNES)の治療
  A 知的障害もてんかんも伴わないPNES(Aタイプ)
  B 知的障害のあるPNES(Bタイプ)
  C てんかんを伴うPNES(Cタイプ)

Step 3 向精神薬を試してみよう
 1 抗精神病薬
 2 抗うつ薬
 3 その他の向精神薬

文献一覧
索引

Case
 1 群発性恐怖発作
 2 群発性恐怖発作(カプグラ症候群)
 3 思考の集簇
 4 早送り現象
 5 精神性前兆への反応としての逸脱行為
 6 意識清明期を伴う発作後精神病
 7 亜急性発作後攻撃性
 8 精神性前兆と発作後精神病の混在状態
 9 発作後抑うつ
 10 薬剤誘発性の棘徐波昏迷
 11 薬物離脱による棘徐波昏迷
 12 アルコール依存症におけるてんかん発作を伴う亜急性脳症(SESA)
 13 「過呼吸発作」を装った棘徐波昏迷への二次的な反応
 14 レベチラセタム誘発性易刺激性(病感がある場合)
 15 レベチラセタム誘発性易刺激性(病感がない場合)
 16 レベチラセタム誘発性かんしゃく
 17 ペランパネルによる攻撃性
 18 大うつ病様うつ状態
 19 大うつ病様うつ状態(自殺の既遂)
 20 ディスチミア様障害
 21 パーソナリティ障害の様相を呈するディスチミア様障害
 22 交代性精神病
   (つづき)術前に精神病エピソードがあり,術後にも精神病が出現
 23 急性一過性発作間欠期精神病
 24 薬の切り替えによる発作後精神病
 25 自己免疫性脳炎──抗NMDA受容体脳炎
 26 自己免疫性脳炎──抗LGI1脳炎
 27 自己免疫性脳炎──抗GAD脳炎
 28 膠芽腫
 29 抗リン脂質抗体症候群
 30 不当な扱いによるスティグマから生じた社会的孤立
 31 予期によるスティグマから生じた社交恐怖症
 32 予期によるスティグマから生じた心理的退避
 33 予期によるスティグマに気づけず,悪循環に陥った過剰診療
 34 児童から成人へのケアの移行期に生じた問題
 35 自閉スペクトラム症を伴う,知的障害のあるてんかん患者への抗精神病薬投与
 36 精神病症状を伴う,知的障害のあるてんかん患者への抗精神病薬投与
 37 ベンゾジアゼピン系薬剤による脱抑制を生じた知的障害のあるてんかん患者
 38 ベンゾジアゼピン系薬剤による脱抑制を生じた平均的な知的水準の薬剤師(参考症例)
 39 ベンゾジアゼピン系薬剤によりQOLが低下したレノックス・ガストー症候群
 40 ペランパネルにより脱抑制を生じた知的障害のあるてんかん患者
 41 ベンゾジアゼピン系薬剤によりQOLが低下したダウン症候群
 42 てんかん外科治療後,新規に発症したうつ病
 43 遺伝的要因を背景とした術前発作間欠期精神病の悪化
 44 てんかん手術後に新規発症したPNES
 45 立位で両側性の腕の震えを示したPNES
 46 立位で片側性の腕の震えを示したPNES
 47 転倒後に長時間の麻痺を示したPNES
 48 転倒後に長時間の意識障害を示したPNES
 49 健忘を伴う退行が一過性に出現したPNES
 50 知的障害もてんかんも伴わないPNES
 51 知的障害のあるPNES
 52 てんかんを伴うPNES

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