精神科シンプトマトロジー
症状学入門 心の形をどう捉え,どう理解するか

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本書は精神科の症状――シンプトマトロジー――についての本である。日々の診療で出会う症状について、それをどうとらえどう理解すればよいのかについて、それぞれの専門家によって平易に、そして各論としての用語集は説き語り風に、書き下ろされている。臨床家が症状を把握するそのアクティブな現場に立ち返り、その基本的な問題を説き起こし、より豊かで効果的な診療に役立つ視点と知識を提供することを企図してまとめた。

編集 内海 健 / 兼本 浩祐
発行 2021年06月判型:B5頁:200
ISBN 978-4-260-04678-7
定価 5,500円 (本体5,000円+税)

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はじめに

 本書は精神科の症状についての本です.日々の診療で出会う症状について,それをどうとらえるのか,どのように理解すればよいのかということについて,それぞれの専門家によって書き下ろされました.
 症状学の本を前にすると,なにか冷めた料理が出てきたように感じる人もいるでしょう.手に取って読んでみると,すぐに退屈して投げ出したくなるかもしれません.でも,だからといって症状学を学ばないわけにはいきません.というのも,今の精神科臨床では,症状が診療の基本となっているからです.
 症状は,臨床というアクティヴな場の中で息づいているものです.標本のようなものではありません.こうした問題意識から,私たちはこの本を通して,症状学を活性化しようと試みました.

 本書は総論と用語集(各論)の二部構成になっています.あらかじめ簡単に紹介しておきます.
 総論では,症状を理解するための,大きな枠組みを設定しました.ここで取り上げるのは,①意識,②治療関係,③了解,④疾病構造の4つです.
 すべての症状に先立って意識障害の有無の確認が優先されることにみられるように,意識は精神症状の舞台そのものであり,それに浸透しています.また精神疾患が生活のいとなみの中で現れるように,症状は治療関係の中で生成します.さらには治療関係そのものが病理の場であることもあります.そこで症状は異質なものとして立ち現れ,臨床家はそれを了解しようと試みるでしょう.こうしたいとなみの中で,異質性の質感によって,疾病としての構造的な観点から把握されることになります.こうした症状のバックグラウンドにあるものをあらためて問い直すことにより,臨床はより豊かなものとなると思います.
 本書の後半では,各論として,52の項目を選定し,それぞれその領域の専門家が説き語る用語集を作成しました.用語は症状が中心ですが,治療関係や症状学の背景にある思想に関するものも含まれます.また,稀な症状でも,それを理解しておくと,臨床の補助線になるような用語も取り上げました.
 執筆にあたっては,できるだけ平易な言葉で,質的な描写を重視しながら,偏りのない記述を心がけました.また,臨床場面を想定しながら,個々の症状をつかむコツや,治療的な視点が含まれるように配慮しました.手の空いた時間に,気になる用語を,気楽に読んでもらえればと思います.

 2021年5月
 内海 健

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はじめに

総論
 1 症状学入門
  1.なぜ今,症状学なのか
  2.操作的診断について
  3.症状記述の教示例
  4.症状とは何か
  5.質感をとらえる
  6.異常と苦痛
  7.関係の中でとらえる
  8.回復の契機
  9.ラポールをつける
  10.地から図へ
  11.症状における優先度
  12.関係性として現れる症状
  13.コミュニケーションにおける2つの側面
  14.良質な症状学へむけて
 2 意識の視点から
  1.はじめに
  2.昏睡
  3.グラスゴー昏睡スケール
  4.外延と内包
  5.せん妄
  6.昏睡の深さの程度とせん妄
  7.もうろう状態
  8.意識障害の類型論
  9.急性認知症,原発性錯乱,通過症候群
  10.DSMとリポウスキーの改革
  11.DSM-III以降のDSM的「せん妄」
  12.「意識(consciousness)」という用語の起源
  13.デカルトの意識
  14.「意識」とは何かについての脳科学的仮説
  15.おわりに
 3 間主体的なできごととしての症状
  1.はじめに:精神分析家であり精神科医でもあること
  2.「症状」は患者と精神科医のあいだで間主体的に生まれる
  3.症状は臨床の場で間主体的に反復的に生きられる
  4.「症状」は臨床の場で変化の媒介となる
  5.おわりに
 4 了解と症状把握
  1.はじめに
  2.了解はなぜ現在の精神科臨床の課題なのか
  3.精神病理学における了解概念
  4.了解と精神障害の臨床的分類との関係
  5.了解はなぜ医学の方法となり得るのか
  6.了解精神病理学の領域とその限界
 5 臨床精神病理学的視点からみた精神障害の診断学と分類について――症状学,診断学,分類学,治療学の有機的なつながり
  1.純粋精神医学
  2.精神障害の臨床的診断分類体系について
  3.精神医学における診断の意味・重み付けについて
  4.診断学・疾病分類学上の具体的な問題点について

各論
 1 アクティングアウト
 2 アパシー
 3 アンビバレンス
 4 遠隔記憶
 5 解離
 6 カタトニア
 7 ガンザー症候群
 8 感情鈍麻
 9 境界例
 10 強迫
 11 幻覚
 12 幻聴
 13 高次脳機能障害
 14 コタール症候群
 15 コルサコフ症候群
 16 混合状態
 17 昏迷
 18 自我障害
 19 視空間障害
 20 自閉
 21 嗜癖
 22 焦燥
 23 心的水準
 24 制止
 25 セネストパチー
 26 せん妄
 27 躁・軽躁
 28 対人相互性
 29 通過症候群
 30 適応障害
 31 転移
 32 転換
 33 同一性保持
 34 投影同一化
 35 内因性
 36 ナルシシズム
 37 認知症検査
 38 パーソナリティ障害
 39 反応性
 40 ひきこもり
 41 不安
 42 フラッシュバック
 43 プレコックス感
 44 ミュンヒハウゼン症候群
 45 メランコリー
 46 妄想
 47 妄想知覚
 48 もうろう状態
 49 やせ願望/肥満恐怖
 50 抑うつ気分
 51 離人
 52 連合弛緩

索引

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