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第3307号 2019年1月28日


第8回日本在宅看護学会開催


 第8回日本在宅看護学会学術集会(学術集会長=静岡県立大・冨安眞理氏)が2018年12月8~9日,静岡県立大(静岡市)にて「看護研究を実践に活かそう――実践・教育・研究のコラボレーション」をテーマに開催された。シンポジウム「実践と研究のコラボレーション――在宅看護の未来を拓く」(座長=聖隷クリストファー大・川村佐和子氏,カレス訪問看護ステーション・亀田谷瑞穂氏)では,臨床の課題に基づく研究事例をもとに,研究と実践を結び付ける方法と意義が議論された。

研究を実践の向上に活用するには

 看護実践の質を高める上で,研究が作る知見は欠かせない。須藤久美子氏(飯塚病院)は,病院の看護管理者の経験から,看護記録を利用した研究の重要性を訴えた。効果的なケアの設計と実施への活用を目的に,同院は2012年から,東大などが開発した患者状態適応型パスシステム(PCAPS)の看護計画の部分を利用した「看護ナビコンテンツ」を導入している。厚労省標準規格として認められた看護実践用語標準マスターを実装したことで,記録の研究への活用が進み,一般病棟からICUに入室する患者が示す徴候を特定できるようになったという。氏は今後,地域包括ケアシステムにおける急性期病院と地域の連携にも記録を活用した調査が可能との見方を示した。

 「看護分野の研究は実践から始まり,実践に反映される」と話したのは,難病ケア看護を研究する原口道子氏(東京都医学総合研究所)。患者数が限られる難病の研究は患者の治療を担う医療機関との協力体制が不可欠となる。同研究所の研究では,神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者から得られた長期的なデータがALSの進行予測と機能評価に基づく支援ツールの開発につながった。人材育成の機会等を通じて現場に還元し,難病療養者,支援者へのサービスの質のさらなる向上につなげたいと述べた。

 褥瘡ケアは急性期,慢性期を問わず重要課題だ。ただ,褥瘡の局所管理の鍵となるガイドライン類を使いこなすことは一般の看護師には難しいとの見解を示したのは皮膚・排泄ケア認定看護師の渡邊千登世氏(神奈川県立保健福祉大)。氏は,褥瘡経過の評価に用いる「DESIGN-R®」に基づいて臨床判断の基準などをアルゴリズム化し,ガイドラインの推奨に基づく適切な臨床判断を支援するICTツールを開発した。検証では約85%の症例に適用可能であったという。氏は,「質の高いケアを可視化できるとともに,皮膚・排泄ケア認定看護師のケアを支持するエビデンスとなる」と述べ,今後はPCAPSへの実装など,実務での利用に向けた検討を進める展望を語った。