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第3296号 2018年11月5日


第26回総合リハビリテーション賞決定


 第26回総合リハビリテーション賞の贈呈式が9月26日,医学書院(東京都文京区)にて行われた。本賞は,『総合リハビリテーション』誌編集顧問の上田敏氏が東大を退官する際(1993年)に金原一郎記念医学医療振興財団に寄付した基金を原資として発足。今回は2017年発行の『総合リハビリテーション』誌に掲載された投稿論文25編を選考対象とし,最も優れた論文に贈られた。

河野健一氏
 受賞論文は,河野健一氏(国際医療福祉大/理学療法士)他による「外来通院透析患者の転倒予測指標としての歩行周期変動の有用性」[総合リハビリテーション.2017;45(7):741-46.]で,歩行が自立した外来通院中の透析患者の転倒リスク指標として,歩行周期変動測定の有用性を明らかにしたもの。河野氏らは,簡易身体機能評価は転倒の予測に有効だが,移動レベルの高い透析患者では天井効果が出ていることをすでに報告している。受賞論文では,歩行周期変動が透析患者の転倒危険因子になり得るかについて,屋内歩行の自立した外来通院中の維持血液透析患者207例を対象に前向き調査を行った。2年間の観察期間中に発生した81の転倒症例では,有意に透析期間が長く,歩行周期変動係数は大きく,簡易身体機能評価の点数が低く,握力も低下していた。Cox比例ハザード解析を行ったところ,歩行周期変動が転倒に対する独立した危険因子として検出され,歩行周期変動係数は,身体機能や動作能力の保たれた透析患者における転倒リスク指標として有用だと結論付けた。

 『総合リハビリテーション』誌編集委員を代表して藤谷順子氏(国立国際医療研究センター)は,「一度天井効果が見られた研究を踏まえ,詳細な検討を再度2年にわたって行い成果をまとめたことに,心から敬意を表する」と講評した。受賞のあいさつで河野氏は,目の前の透析患者に対するリハビリテーションに有用な研究データが不足している実情を述べた。また,教員の立場から,臨床に当たりながら研究を行える人材の不足を憂慮し,「表彰される機会のある環境に感謝しながら,教育・臨床・研究を頑張りたい」と抱負を語った。

 『総合リハビリテーション』誌では2018年にも,同年に掲載された投稿論文から第27回総合リハビリテーション賞を選定する。同賞の詳細については,『総合リハビリテーション』誌投稿規定を参照されたい。