医学界新聞

2017.12.04



第25回総合リハビリテーション賞決定


 第25回総合リハビリテーション賞の贈呈式が9月26日,医学書院(東京都文京区)にて行われた。本賞は,『総合リハビリテーション』誌編集顧問の上田敏氏が東大を退官する際(1993年)に金原一郎記念医学医療振興財団に寄付された基金を原資として発足。今回は2016年発行の『総合リハビリテーション』誌に掲載された投稿論文19編を選考対象とし,最も優れた論文に贈られた。

 今回は,加藤貴志氏(井野辺病院/作業療法士)他「脳損傷者の実車運転技能に関連する神経心理学的検査について――システマティックレビューとメタ分析」[総合リハビリテーション.2016;44(12):1087-95.]が受賞した。加藤氏らの論文は,脳損傷者の自動車運転技能予測に有効な神経心理学的検査と関連する認知機能を,システマティックレビューとメタ分析により検討したもの。MEDLINEなど8つのデータベースから,脳損傷者に対し実車評価を実施しているなどの基準を満たした研究を抽出し,神経心理学的検査の標準化効果量と統合オッズ比を算出した。その結果,Trail-Making Test-A,コンパススクエアマトリクス,道路標識の効果量が高く,注意力や遂行機能など,複数の認知機能が運転技能予測に関与していると結論付けた。

 『総合リハビリテーション』誌編集委員を代表して佐伯覚氏(産業医大)は,「医学的・社会的に重要なテーマを扱った着眼点が高く評価された。本領域の実地臨床の発展に大きく寄与すると考えられ,今後のさらなる解明を期待したい」と講評した。受賞のあいさつで加藤氏は,日頃から指導を受けている周囲の方や編集委員による教育的な査読コメントに感謝の意を表明した上で,「今後も引き続き精進したい」と抱負を語った。

 『総合リハビリテーション』誌では2017年にも,掲載された投稿論文から第26回総合リハビリテーション賞を選定する。同賞の詳細については,『総合リハビリテーション』誌投稿規定を参照されたい。

加藤貴志氏(左)と上田敏氏

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