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第3095号 2014年10月6日


Medical Library 書評・新刊案内


内視鏡下鼻副鼻腔・頭蓋底手術
[3DCT画像データDVD-ROM付]

CT読影と基本手技

伊藤 壽一 監修
中川 隆之 編

《評 者》吉崎 智一(金沢大教授・耳鼻咽喉科学・頭頸部外科学)

内視鏡下鼻副鼻腔手術の優れた実用的学習書

 内視鏡下鼻副鼻腔手術が鼻科手術のスタンダードとなって久しい。内視鏡の登場で見えなかった部位が見えるようになり指導もしやすくなった反面,立体解剖の把握が困難となった。鼻副鼻腔手術はポピュラーな手術であるが,入りやすい一方で非常に多くの術式があり,個々の症例ごとの解剖学的バリエーションも多い奥行きの深い手術である。今日の鼻科手術では多くの手術装置や道具を使用するが,本書ではそのことを前提として,まず術者が座位で手術することのメリットを第1章の「セットアップ」で論理的に述べている。そして,内視鏡を把持する腕の安定のための手台をきちんとセットすること,モニターとナビゲーションの位置,さらには各種フットスイッチの配置などが詳細に解説されている。

 第2章の「基本操作」でも初心者にわかりやすくシェーバー使用法のコツが解説されている。第3章の「鼻副鼻腔炎に対する手術 基本編」では,ポリープ切除や鈎状突起切除手技に始まり後鼻神経切断術や嗅覚温存の工夫まで11項目についてしっかりとポイントが解説されている。鈎状突起切除の項では「最も重要なことはしっかりと観察すること」で,具体的には「内視鏡所見と術前CT所見を整合させること」が手術上達のカギであると述べられている。多くの画像を用いて解説されており,具体的なポイントがつかみやすい。

 第4章の「鼻副鼻腔炎に対する手術 応用編」では拡大前頭洞手術から髄液漏閉鎖術まで5項目について,まずたくさんのCT画像を使ってCT読影のポイントを解説し,プランニングの仕方,手術手技へと解説が続く。手術手技のパートでは,実際にサクションキュレットやシェーバーなどの操作の実際が内視鏡写真で示されている。これらの豊富な画像と解説により,難易度が上がった手術についても無理なくポイントが頭の中に入ってくる。

 さらに,第5章の「頭蓋底手術における鼻副鼻腔操作」では,最初に副鼻腔炎手術と頭蓋底腫瘍手術の基本コンセプトの違いについて概説されている。手技で最初に紹介されているのは有茎鼻中隔粘膜弁による頭蓋底再建法で,続いて各種頭蓋底へのアプローチ,そして最後に眼窩へのアプローチについて解説されている。これらの厳選された内視鏡および3次元CT画像とそれらに対する解説では,複雑でバリエーションが多い顎顔面骨に対して手術操作を行っていく際に必要なメルクマールの認識法ついても適切・明瞭な解説がされている。

 本書は,ナビゲーションサージャリー時代における手術書というだけでなく,解剖把握法の指南書としても優れている。これから内視鏡下鼻副鼻腔手術を習得しようとする研修医,実際に基本手技を一応習得してこれからステップアップを図ろうとする専門医取得後数年の耳鼻咽喉科・頭頸部外科医はもちろん,医学生にも理解しやすい。そしてベテランの域に達した指導医にとっても今後指導する際のポイントが整理でき,また,新たな手術コンセプトの学習書としても非常に優れた奥の深い実用的手術書である。

A4・頁236 定価:本体12,000円+税 医学書院
ISBN978-4-260-01972-9

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