第19回白壁賞,第38回村上記念「胃と腸」賞授賞式
2013.11.04
第19回白壁賞,第38回村上記念「胃と腸」賞授賞式
第19回白壁賞および第38回村上記念「胃と腸」賞の授賞式が,9月18日に笹川記念会館国際会議場(東京都港区)で開催された早期胃癌研究会の席上にて行われた。第19回白壁賞を受賞したのは,山野泰穂氏(秋田赤十字病院消化器病センター)ほか「右側大腸における鋸歯状病変の内視鏡的特徴」[胃と腸,47(13):1955-64, 2012]。また,第38回村上記念「胃と腸」賞は,菅井有氏(岩手医大医学部病理学講座分子診断病理学分野)ほか「胃腺腫と腫瘍グレードに基づいた分化型粘膜内胃癌の臨床病理学的および分子病理学的解析」[胃と腸,47(2):203-16, 2012]に贈られた。
◆腫瘍性病変の発育進展過程の解明に期待
白壁賞は,故・白壁彦夫氏の業績をたたえ,1995年に創設された賞で,消化管の形態診断学の進歩と普及に貢献した論文に贈られる。
授賞式では,選考委員を代表して海崎泰治氏(福井県立病院臨床病理科)が選考経過を説明。「本論文は,内視鏡的に接続された右側大腸の鋸歯状病変69例における内視鏡的特徴を検討。綿密な内視鏡所見の解析のみならず,遺伝子学的検討を利用したtranslational researchにより,SSA/Pの高危険群の見つけ出しに成功し,この方法論により,その他の腫瘍性病変の発育進展過程の解明をも期待できる」と受賞論文を評した。受賞の挨拶に立った山野氏は,「栄誉ある白壁賞を受賞することができ,本当に光栄に思う。村上記念「胃と腸」賞受賞の菅井先生とともに,東北で2つの賞を受賞できたことは,非常に感慨深い」と喜びを語った。
◆胃腺腫および低グレード分化型胃癌の病理診断基準の統一化へ
村上記念「胃と腸」賞は,故・村上忠重氏の業績をたたえ,消化器,特に消化管疾患の病態解明に寄与した論文に贈られる。菅井氏らの受賞論文に対し,海崎氏は「ESDによって得られた腺腫8例と腫瘍の組織学的グレードに基づいて分類した分化型胃粘膜内癌83例に対して,さまざまな分子病理学的検索を行っている。胃腺腫および低グレード分化型胃癌における病理診断基準の統一化に,何らかのアクションが起こる可能性をも期待させる」と授賞理由を語った。菅井氏は,「本論文の研究はまだ発展途上にあるが,これを糧にさらに精度を上げて,完成度の高い研究にしていきたい」と抱負を述べた。
山野泰穂氏 | 菅井有氏 |
*授賞式のもようは「胃と腸」誌(第48巻13号)にも掲載されます。
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