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第2937号 2011年7月18日


精神・神経領域の臨床研究に親しむ

「臨床研究研修制度 入門講座ワークショップ」開催


 「臨床研究研修制度 入門講座ワークショップ」が,6月9-10日,国立精神・神経医療研究センター(東京都小平市)にて開催された。同センターのトランスレーショナル・メディカルセンター(武田伸一センター長)では一昨年,松岡豊氏(同センター)らが,EBMや研究倫理など臨床研究に不可欠な知識を学ぶ「臨床研究研修制度」を創設。本ワークショップはその入門講座となる。今回は,「精神・神経領域の臨床研究に親しむ」というテーマのもと,臨床研究への理解を深めたいと,さまざまな医療職が集った。

グループワークのもよう
 ワークショップ2日目には,中川敦夫氏(同センター)が,臨床研究の歴史と意義,および臨床疑問の立て方を解説した。氏はまず,瀉血など根拠の乏しい治療法が奨励されてきた医学の歴史を俯瞰。新しい治療法の開発のみならず,既存の治療法の有効性を検証してEBMを実践するため,科学性と倫理性を備えた臨床研究が必要と述べた。さらに,William Watsonによる天然痘の予防研究(1767年)にて,比較対照試験と定量的な評価項目設定が実施されたこと,明治時代の日本海軍において,2つの軍艦での兵食比較実験により脚気の原因が解明されたことなど,臨床試験の歴史を紹介した。

 続いて氏は,臨床疑問の構造化の手法として,PICOT/PECOT(表)を提示した。PECOTは,リスク要因を同定・検証する観察研究,PICOTは治療,予防法の評価を行う介入研究に適用できるという。精神・神経領域の臨床研究における注意点としては,薬物療法や精神療法など介入(I)の選択肢が多数あることや,疾患の評価尺度の多さ,さまざまな生活機能への影響,経時変化の大きさからアウトカム(O)も絞りにくいことなどを列挙。臨床経験・技能,患者の価値観をベースに,質の高いエビデンスを導き出すことこそが,EBMに即した臨床研究の在り方だと結んだ。

P:Patient or clinical Problem(対象)
I :Intervention(介入)/E:Exposure(要因)
C:Comparison(比較対照)
O:Outcome(アウトカム)
T:Time(研究期間)

 その後,精神症状・QOL等主観的評価の測定法,「精神症状スクリーニング」をテーマとした臨床疑問設定の実例提示に続いて,「臨床疑問を研究可能な形にする」グループワークが行われた(写真)。なお,このワークショップのもようは,CRT-webにて無料公開が予定されている。