医学界新聞

2010.12.13

第141回医学書院看護学セミナー

“伝わる”プレゼンテーション技法を身に付けよう


 皆さんは,自分のプレゼンテーションに自信はありますか? 院内外での研究発表やカンファレンス,そして患者教室や申し送りなど,自分の考えを伝える機会は数多くありますが,きちんと伝わっているか,なかなか自信を持てない方も少なくないのではないでしょうか。

 そこで本紙では,「“伝える”ためのプレゼンテーション技法――5 step approachのすべて」(講師=同善会クリニック・齊藤裕之氏)と題し,10月26日に朱鷺メッセ(新潟市)にて開催された「第141回医学書院看護学セミナー」のもようをお届けします。「伝える力」に着目した実践的なプレゼンテーション法が齊藤氏より伝授された本セミナー。読者の皆さんに効果的なプレゼンテーションのコツが伝わるとともに,プレゼンテーション実践のきっかけとなれば幸いです。


講師の齊藤裕之氏

 セミナーは,あらかじめ指名された5人のプレゼンターによる「プレゼンテーションコンテスト」と,講師の齊藤氏によるレクチャー「Giving Good Presentation」の2部構成。

 第1部の「プレゼンテーションコンテスト」では,“3分間で,医学以外で夢中になっているものを,しっかり伝わるように”というお題で,プレゼンターの5人が順に登壇した。プレゼンターが選定したテーマは日本の製造業のブランド化やマスターズ陸上の紹介など多岐にわたり,各人が準備してきたスライドをもとに発表。持ち時間の3分が経過すると途中でも終了というルールのため,最後のスライドまでたどりつけなかったプレゼンターがいたり,機器の取り扱いで手間取るというハプニングもありながら,コンテストは進んだ。

 各人のプレゼンテーション終了後には,その場でフィードバックを行い,良かった点,悪かった点を齊藤氏が聴衆に質問する。いつ指名されるかわからないため,聴衆もうかうかしていられない。氏によると「一般に,講演に集中していられるのは20分ほど。飽きられないためにもインタラクティブな講演を心がけている」とのことだ。

 評価のポイントは,“3分間でどうしても伝えたかったことが伝わったか”ということ。フィードバックの終わりにプレゼンターへ「今日,あなたが最も伝えたかったことは何ですか?」と問いかけ,それがどの程度伝わったか,聴衆に挙手で示してもらう。伝えたいポイントがよりコンパクトにまとまったプレゼンテーションで,多くの聴衆の手が挙がっていたようだ。

 齊藤氏は,スライド作成に当たって「注意したところ」「工夫したところ」をプレゼンターに尋ね,その回答から“伝わる”ためのコツを少しずつピックアップしていく。聴衆にとってはプレゼンターに共感したりしながら,自身のプレゼンテーションを考えるよいきっかけになったようだ。

写真:〈左〉フィードバックのため,聴衆に問いかける齊藤氏。聴衆もうかうかしてはいられない。
〈右〉当日の5人のプレゼンターと齊藤氏。最優秀プレゼンターには奥村元子氏(日看協,右から2番目)が選ばれた。

ポイントを最小限に絞る!!

 「今日,この講義でどうしても伝えたいこと,それは“ポイントを最小限に絞る”です」。第2部のレクチャーでは,この“ポイントを最小限に絞る”をキーワードに,プレゼンターの伝えたいことを伝えきるためのプレゼンテーションの枠組みを「5 step approach」に沿って齊藤氏が展開した。

 講演において聴衆が“何が言いたいのかわからない”と感じる場合,その原因の多くはプレゼンターの伝えたいことが絞りきれていないからと齊藤氏は言う。“ポイントを最小限に絞る”とは,「最も伝えたいことを1行で書ききれる」ことであり,その1行を伝えきれるよう設計図を組んでいくことがプレゼンテーションでは効果的だという。

 講演では,効果的なプレゼンテーションを行うための方法として,「5 step approach」の解説が引き続き行われた。

 「5 step approach」とは,

(1)Pre-Design:状況を把握し,適切なプレゼンテーションの方法を選択する。
(2)Design:目的を達成できるようプレゼンテーションの設計図を描く。
(3)......

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