理学療法ジャーナル Vol.60 No.8
2026年 08月号

ISSN 0915-0552
定価 2,090円 (本体1,900円+税)

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特集 うまくいく症例プレゼンテーション

 理学療法士にとって症例プレゼンテーションは,日々の申し送り,カンファレンス,症例検討会,研究会・学会発表など,日常業務や臨床実践を他者と共有するための重要な技術である.本特集では,症例プレゼンテーションの基本構成,評価所見の整理,限られた時間で伝える工夫,スライドデザイン,学会発表への展開,失敗例への対処などを取り上げる.単なる発表技術にとどまらず,臨床推論,情報整理,チーム内コミュニケーションを高める実践的スキルとして,明日から活用できる「型」と「コツ」を提示する.

プレゼンテーションとは何か──プレゼン能力は理学療法士の臨床能力である 藤髙祐太
 症例プレゼンテーションは,評価結果を伝える行為にとどまらず,臨床における思考過程を他者と共有するコミュニケーションである.本稿では,症例プレゼンテーションにおける「伝わる/伝わらない」の違いを思考の観点から整理し,その構造を示した.さらに,臨床推論との関係や具体例を通して,プレゼンテーション能力を理学療法士の臨床能力として捉える視点を概説する.

症例プレゼンテーションの基本構成 髙田順子
 理学療法における症例プレゼンテーションは,申し送りではSOAP,多職種カンファレンスではICF,症例報告ではPhyCAREを用いるなど,場面に応じて構成を選択する.さらに,症例報告では臨床推論のプロセスを言語化し可視化することで,症例理解が深まり,発表全体にストーリー性が生まれる.本稿では,各フレームワークの特徴と基本構成,臨床推論の位置づけ,場面に応じた使い分けについて概説した.

評価所見の整理術──臨床推論を伝えるための情報整理と図解の工夫 門脇 敬,他
 本稿では,理学療法の症例プレゼンテーションにおける評価情報の整理と視覚的提示の工夫について解説する.評価結果を単に羅列するのではなく,症例の主要な問題点や臨床推論を明確に伝えるために必要な情報へ絞り込む重要性を示す.さらに,SOAP形式に基づく構成,スライドデザインや図表・画像の活用法,問題点や介入効果を視覚的に示す工夫など,聴衆に伝わりやすいプレゼンテーション作成の実践的方法を述べる.

カンファレンス・申し送りのプレゼンテーション──時間制約下で伝える技術 西原浩真
 患者の転帰を変えるのは,必ずしも長時間のカンファレンスではない.急性期では,回診前や申し送りの数十秒のコミュニケーションが,多職種の意思決定や現場の行動を左右することがある.本稿では,理学療法士が時間制約下でも価値を発揮するための「結論」,「運動時の反応」,「次の行動」の伝え方を整理するとともに,リハビリテーション動画を活用した情報共有と実際の症例を通して,方針転換や多職種の行動変容につながった実践を紹介する.

症例検討会・院内発表──症例情報をチームで効果的に共有するポイント 矢野雄大
 院内で行われる症例検討会は,臨床能力の向上とチーム医療の質の担保において重要な役割を担う.しかし,情報の羅列に終始し議論が深まらない,目的が曖昧なまま進行するといった状況も少なくない.日常業務の傍らで,さらに限られた時間のなかで行われることが多い現状で,発表者だけでなく,他の参加者にとっても有意義な時間にすることが非常に重要である.本稿では,症例をチームで共有する際に重要となる視点として,検討会の目的を明確化すること,その際の具体的なポイントについて整理する.

シンプルで美しいスライドをデザインする 小林 啓
 シンプルなスライドを作る一番のコツは「スライドを主役にしないこと」です.ストーリーを作り込み,メッセージを明確にすることで情報そのものがシンプルになり,スライドに無駄がなくなります.美しく見せるテクニックとしてタイトルのデザイン,スライド周囲の余白,行間の調整,情報の整列といった大事なテクニックをお伝えします.

研究会・学会での症例発表──臨床研究につなげるために 田屋雅信
 症例報告は学会発表後に論文化することを意識して行う.Case Report guidelines(CAREガイドライン)に準じて症例報告を構成することが推奨されている.症例報告は臨床研究と同様に新規性を明確にする.学会では論文化する際の情報量をすべて発表することは難しいので,新規性に対応した「結果」,「考察」,「結論」を記載し,論点を絞って発表を行う.また,「結果」や「考察」では,理学療法士が評価できる指標,ならびに調整できる具体的な理学療法プログラムについて言及することを心がける.学会会場では,聴衆にとって症例が初見であるため,発表では協調したいところを明確にすることが重要である.

症例プレゼンテーションにおける「失敗あるある」とその対処法 瀬崎 学
 医学における症例報告は数多くの研究報告のなかでも基礎的かつ普遍的な価値をもち,症例をベースとした学習は理学療法士の臨床推論を学習する方法としても有効な手段であると示唆されるが,実際には現場にてトライアルアンドエラーで学ぶことが多いのが現状である.本稿ではよくある症例プレゼンテーションのピットフォールを提示し,「失敗あるある」に陥らないような実践知を共有したい.

「型」を身につけるための実例──目的別テンプレートと練習法 陶山和晃
 症例プレゼンテーションは,場面ごとに求められる情報構造が異なり,「型」を意識することで再現可能なスキルとして習得できる.本稿では,日常申し送り・症例検討会・学会発表の3場面に適した「型(テンプレート)」を整理し,練習法および生成AIを補助ツールとした構成確認の方法を提示した.実例は付録として示した.

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特集 うまくいく症例プレゼンテーション

プレゼンテーションとは何か──プレゼン能力は理学療法士の臨床能力である
藤髙祐太

症例プレゼンテーションの基本構成
髙田順子

評価所見の整理術──臨床推論を伝えるための情報整理と図解の工夫
門脇 敬,他

カンファレンス・申し送りのプレゼンテーション──時間制約下で伝える技術
西原浩真

症例検討会・院内発表──症例情報をチームで効果的に共有するポイント
矢野雄大

シンプルで美しいスライドをデザインする
小林 啓

研究会・学会での症例発表──臨床研究につなげるために
田屋雅信

症例プレゼンテーションにおける「失敗あるある」とその対処法
瀬崎 学

「型」を身につけるための実例──目的別テンプレートと練習法
陶山和晃


■Close-up 理学療法士レジデント制度
理学療法士レジデント制度──地域単位で臨床・教育・研究を統合する人材育成モデルの構築に向けて
岩田健太郎

理学療法士レジデント制度の実際
小澤哲也

私のレジデント体験記
金原真理菜

私のレジデント体験記
阿部貴文

私のレジデント体験記
藤原優大

■座談会
奈良勲先生からの宿題──理学療法の本質と未来を見据えて
内山 靖,吉尾雅春,鶴見隆正,高橋哲也,永冨史子


●とびら
運動学とともに歩んだ30年
松田文浩

●脳画像を多職種連携に活かす! 脳卒中診療編④
脳梗塞──レンズ核線条体動脈の Branch Atheromatous Disease
徳田和宏

●発達性協調運動症 理学療法士の実践ガイド②
運動発達特性と理学療法の視点
藪中良彦

●計測力を磨く──簡易機器で始める臨床研究入門⑤
身体活動量の計測
熊谷秋三

●臨床実習サブノート おさえておきたい! カルテのみかた④
変形性膝関節症術後
和田 治

●症例報告
心理的支援を伴う理学療法により自己管理能力を獲得し在宅復帰に至ったアルコール使用症の一症例──理学療法経過とインタビューからの一考察
福田浩巳,他

神経伝導検査による病態把握が歩行獲得に寄与した重症軸索障害型ギラン・バレー症候群患者の一例
畑中將希,他

●私のターニングポイント
0から1を生む価値あるリハビリテーションを求めて──出会いが変えた私の進む道
来田晃幸

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●特集  「「型」を身につけるための実例──目的別テンプレートと練習法」(陶山和晃) 付録

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