理学療法ジャーナル Vol.60 No.2
2026年 02月号
特集 変形性股関節症 最新ガイドラインでADL・QOL向上をめざす
| ISSN | 0915-0552 |
|---|---|
| 定価 | 2,090円 (本体1,900円+税) |
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EOI : essences of the issue
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変形性股関節症──最新ガイドラインでADL・QOL向上をめざす
変形性股関節症における最新の診療ガイドラインに基づく治療のエビデンスと実践的指針を整理した.病態・診断,手術療法[関節温存術,人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)],薬物療法,装具療法,保存療法に加え,THAの術前外来・術後入院・術後外来,関節温存術後入院,さらに,近年,ガイドラインにおいて重要な病態として位置づけられている大腿骨寛骨臼インピンジメントについても取り上げ,理学療法の役割を体系的に提示している.本特集の内容をぜひ,日々の臨床に活用し,変形性股関節症に対する理学療法の質向上に役立てていただきたい.
変形性股関節症とは何か 中島康晴
股関節は骨盤側の寛骨臼と大腿骨頭から構成される球状関節であり,寛骨臼・大腿骨頭ともに硝子軟骨に覆われており,軟骨同士がきわめて低い摩擦係数で接している.変形性股関節症は,その関節軟骨の変性と関節変形を特徴とする慢性疾患で,疼痛,股関節可動域制限,歩行障害を主徴とする.炎症性関節障害(関節リウマチなど)は除外される.欧米では一次性変形性股関節症が多いとされるが,本邦では発育性股関節形成不全や寛骨臼形成不全を背景とした二次性変形性股関節症が多くを占める点が特徴である.大腿骨頭や寛骨臼の形態異常により,股関節の動作時に骨同士が衝突し,関節唇や軟骨に障害を生じる大腿骨寛骨臼インピンジメントも変形性股関節症の原因として注目される.本稿では疫学から診断までについて述べる.
変形性股関節症に対する手術療法──関節温存術と人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA) 大木弘治
変形性股関節症は,寛骨臼や大腿骨頭の形態異常や加齢性変化を背景として関節軟骨の摩耗が進行し,疼痛や可動域制限,日常生活動作の障害を引き起こす疾患である.本邦では発育性股関節形成不全を基盤とする二次性股関節症が依然として多く,患者の年齢層や病期に応じて治療方針が大きく異なる.青・壮年期の初期・前期変形性股関節症では関節温存術が標準的選択肢であり,症状改善と病期進行抑制に有効である.末期変形性股関節症や高齢者では人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)を考慮する.本稿では,ガイドラインにおける両術式の位置づけを踏まえ,関節温存術とTHAの詳細,各術式の特徴と注意点について概説する.
変形性股関節症に対する薬物療法──鎮痛薬の位置づけと理学療法への活用 伊藤芳章,他
変形性股関節症における薬物療法は,最新の「変形性股関節症診療ガイドライン2024」で短期的な疼痛緩和と機能改善に有効とされ,アセトアミノフェン,非ステロイド性抗炎症薬,弱オピオイド,セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬の使用がいずれも弱く推奨されている.一方,長期的効果や病勢進行抑制についてのエビデンスは乏しく,副作用管理が重要である.薬物療法を理学療法と併用する際には,薬剤の作用機序や副作用を理解し,運動療法のタイミングを調整することでADL・QOL向上に寄与できる.
変形性股関節症に対する装具療法 石田雅史,他
変形性股関節症に対する補装具は,可逆的で即時効果が期待でき,疼痛緩和やADL改善に寄与する有力な手段である.関節制動効果は限定的だが,杖や歩行器,脚長差補正,足部装具などを適切に用いることで下肢機能の改善に寄与する.エビデンスは十分とは言えないものの,ガイドラインでも安全性の高い選択肢として提案されている.患者の心理や生活環境に配慮しながら活用することで,QOLを高める重要な選択肢となる.
変形性股関節症に対する理学療法──保存療法 平尾利行
変形性股関節症に対する保存療法は,運動療法,物理療法,日常生活活動指導,セルフエクササイズ指導,患者教育を多角的に組み合わせることで,疼痛の軽減や身体機能の改善,生活の質の向上に寄与することが報告されている.近年は心理的要因にも注目が集まっており,エビデンスに基づいた包括的な理学療法の実践が求められている.
変形性股関節症に対する理学療法──THA術前外来 家入 章
変形性股関節症は,高齢女性に多くみられ,疼痛や可動域制限によりADLやQOLの低下を招く.進行例では人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)が有効であるが,術後成績は術前の身体的・心理的状態に影響される.そのため,外来における術前からの理学療法が注目されている.本稿では,最新の診療ガイドラインをもとに,術前理学療法の実践的意義とその役割を考察する.
変形性股関節症に対する理学療法──THA術後入院 長南晴樹,他
人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)は,手術手技やインプラントの進歩により,早期の機能回復や脱臼率の低下などの大きな進歩を遂げている.一方,THA術後早期における患者満足度向上のためのエビデンスは十分とはいえない.筆者らは,理学療法士が手術情報と理学療法評価を統合し,個別性の高い介入を行うことが重要であると考えている.そこで本稿では,THA術後早期の疼痛,脚長差,脱臼に着目し,当院で得られた知見をもとにそれぞれのピットフォールを解説する.
変形性股関節症に対する理学療法──THA術後外来における理学療法の役割と実践 川端悠士
人工股関節全置換術後の入院期間が短縮されるなか,退院後の外来理学療法の重要性が高まっている.本稿では退院後にも多くみられる自覚的脚長差や靴下着脱動作の困難感といった主観的訴えに対する理学療法について解説する.さらに限られた外来理学療法の時間内で即時的な変化を促すホームプログラムの工夫と,患者のモチベーションを高め主体的な運動継続を促す実践的アプローチを提示する.
変形性股関節症に対する理学療法──関節温存術後入院 奈須勇樹,他
寛骨臼移動術は関節予後が良好な手術であるが,術後数か月の荷重制限を要するなど術後の機能回復には一定の時間を要する.患者のADL動作の獲得,QOLの向上をめざすにあたっては術後の理学療法が重要である.術後の理学療法としては,機能回復をサポートするための運動療法,術後の生活を想定した動作指導を提供することが求められる.
大腿骨寛骨臼インピンジメント症候群に対する理学療法 立石聡史
近年,大腿骨寛骨臼インピンジメント症候群(femoroacetabular impingement syndrome:FAIS)に対する保存療法に関する論文が増えており保存療法と手術療法を比較したランダム化比較試験が報告されている.そのなかで,保存療法の有効性が徐々に明らかとなっている一方で,有効な理学療法の種類についてはいまだに不十分な状況である.本稿では,エビデンスをもとにFAISにおいて着目すべき機能障害に対する評価や運動療法について解説する.
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特集 変形性股関節症──最新ガイドラインでADL・QOL向上をめざす
変形性股関節症とは何か
中島康晴
変形性股関節症に対する手術療法──関節温存術と人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)
大木弘治
変形性股関節症に対する薬物療法──鎮痛薬の位置づけと理学療法への活用
伊藤芳章,他
変形性股関節症に対する装具療法
石田雅史,他
変形性股関節症に対する理学療法──保存療法
平尾利行
変形性股関節症に対する理学療法──THA術前外来
家入 章
変形性股関節症に対する理学療法──THA術後入院
長南晴樹,他
変形性股関節症に対する理学療法──THA術後外来における理学療法の役割と実践
川端悠士
変形性股関節症に対する理学療法──関節温存術後入院
奈須勇樹,他
大腿骨寛骨臼インピンジメント症候群に対する理学療法
立石聡史
■Close-up 臨床疫学
疫学の基礎的知識
井平 光
理学療法と臨床疫学
池田登顕
●とびら
「とびら」を開ける
岡田 亨
●運動器疾患に対する超音波画像評価とエコーガイド下運動療法──EBPTに活かす!⑩
内側半月逸脱に対する超音波ガイド下評価と運動療法
工藤慎太郎,他
●COVID-19パンデミック後の変革⑤
医療現場におけるアップデート クリニック
──呼吸器専門クリニックが選択的に積み重ねた,“真のアップデート”
辻村康彦
●臨床理学療法に活かす生理学②
筋力増強のための神経適応と運動負荷に関する筋生理学
本田祐一郎,他
●文献収集と管理[最終回]
文献管理
森山英樹
●症例報告
全盲の脊髄損傷不全麻痺患者にセミ長下肢装具を製作しフィードバック方法を調整することで杖歩行と階段昇降動作を獲得した一症例
本間康太郎,他
●私のターニングポイント
さあ,私と一緒に管理職という旅に出よう!
山本昌明
●学会印象記
第8回日本がん・リンパ浮腫理学療法学会学術大会
大段裕樹
第30回日本基礎理学療法学会学術大会
澤田智紀
●臨床のコツ・私の裏ワザ
急性期リハビリテーションにおける“引きの一手”
俵 紘志




