基礎から学ぶ 楽しい疫学 第5版
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疫学の初心者向けの定番教科書。著者一流の切れ味鋭くユーモアに富んだ語り口で、疫学研究の方法論、バイアスの問題、統計処理の方法など、疫学の基礎知識を学べます。第10章「疫学に必要な統計」では、平均の差の検定、割合の差の検定、相関係数の検定についても解説。付録には「本書の数式を理解するための数学の基礎知識」を追加しました。隠れファンの多い脚注も一読の価値あり!
| 著 | 中村 好一 |
|---|---|
| 発行 | 2026年01月判型:A5頁:240 |
| ISBN | 978-4-260-06273-2 |
| 定価 | 3,520円 (本体3,200円+税) |
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序文
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第5版 序
ようやく第5版にこぎ着けた。早いもので世紀を超えた原稿連載から27年,初版刊行から四半世紀が経過している。年齢をとったものである。大学教員も,Journal of Epidemiology編集委員長も,国際疫学会理事も,国際疫学会総会会長もすべて過去のものとなった。また,ヒト由来乾燥硬膜移植による医原性クロイツフェルト・ヤコブ病(いわゆる「薬害ヤコブ」),水俣病,HPVワクチンに関する3つの民事訴訟にも疫学の立場からの証人として関わった。本書の記載でも「3人の娘」が「3人の孫」になってしまった。
肝心の中身について。改訂のたびに細かなところを書き換えているので,全体としての一貫性に欠けるような印象もある。とはいえ,全編を一から書き直すだけの気力がないのも事実である(年齢のせいにしておこう)。それでも,結構手を入れたのも事実である。
たとえば,一番の目玉は巻末の付録である。ある学校(もちろん,高等学校卒業以降の学校)で本書を教科書として疫学の講義をしているときに,「どうも数式が理解できていないのではないか」という不安に駆られた。翌年,出席確認のためのミニテストで四則演算(+-×÷)付きの数式を示して「できるだけ記号を省略した形で示せ」という問題を出したところ3割程度の学生ができず,「y=f(x)の下部の面積を示す式を記せ」〔正解は∫f(x)〕は全滅だった。私の半世紀前の経験では,高等学校では文系・理系を問わず数学はIIB(当時)までは全員が履修していたので,微分積分の基礎中の基礎であるような問題ができないとは,予想はされていたとはいえ,衝撃的であり,これが付録の掲載につながった。一方で,統計に関してマルチレベル分析やプロペンシティー・スコアなど最近流行のものも簡単に説明した。さらに,文献は可能なかぎり日本語のものに改め,DOIやPMIDが付されているものにはこれらも付記した(しかし,相変わらず多くの例は英語の論文で,考えてみれば,ものになりそうな論文は日本語ではなく英語で書くものである)。
毎度のことだが,本書の改訂にあたり株式会社医学書院の関係諸氏,特に編集を担当していただいたテツ仲間の西村僚一氏と,制作を担当していただいた彼島瑞生氏に心から感謝申し上げます。
2025年11月
中村好一
目次
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第1章 疫学とは
人間集団における健康状態の頻度測定
第2章 疾病頻度の測定
1 曝露と疾病
2 疫学指標──理論的性質と表記の乖離に注意
3 相対危険と寄与危険──複数の集団の頻度の比較
第3章 既存のデータ
疾病頻度に関するデータは目の前にある
第4章 疫学研究方法
それぞれの利点と欠点
1 記述疫学,生態学的研究,横断研究──まずは比較的簡単なものから
2 コホート研究──観察疫学研究の中心となるもの
3 症例対照研究──もう1つの中心となるもの
4 介入研究──最も強力な研究デザイン
5 では,どの研究方法を採用するのか?──すべての研究デザインは利点と欠点を併せもつ
第5章 偏りと交絡
1 偶然誤差と系統誤差──バイアス=真の姿を歪めるもの
2 バイアスとその制御──(狭義の)バイアスは研究計画段階で制御すべし
3 交絡因子とその制御──交絡因子に配慮のない研究は,疫学研究ではない
4 標準化──直接法と間接法を使い分ける
第6章 因果関係
疫学研究における最後の詰め
第7章 スクリーニング
疫学の集大成
第8章 サーベイランスと疾病登録
恒常的に実施されている疾病頻度調査
第9章 臨床疫学
疫学の臨床応用
第10章 疫学に必要な統計
1 標本抽出と標本サイズ──研究計画で最も重要な部分
2 推定と検定──検定よりは推定を
3 推定の実際──点推定値±1.96×標準誤差
4 多変量解析──強力な武器,しかし安易な利用は要注意
第11章 疫学と倫理
避けて通ることのできない課題
第12章 疫学の社会への応用
最後のステップ
第13章 これからの疫学,疫学のこれから
A message from an old epidemiologist
付録
索引
疫学 デッドセクション
・ John Snow Pub
・ 「曝露」と「暴露」
・ 疫学者の養成
・ ウォルフ-ハルデイン補正 Woolf-Haldane correction
・ 英語と米語
・ オーバーマッチング
・ コホート研究の賞味期限
・ 必要条件と十分条件
・ 国際疫学会裏話
・ 統計学は数学ではない
・ 平均への回帰
・ 多重比較 multiple comparison
・ PDCAサイクル
・ プライバシー権
・ 疫学と統計学は異なる
付録・特典
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Webページリンク集
本書で紹介しているWebページのリンク一覧です。
本書発行後にURLが変更された際はアクセス不可となる場合もございますので,ご了承ください。
【第1章】
p.5
・International Epidemiological Association(国際疫学会)
https://ieaweb.org
p.6
・日本疫学会:機関誌「Journal of Epidemiology」
https://jeaweb.jp/journal/index.html
・日本疫学会:ニュースレター
https://jeaweb.jp/newsletters/index.html
・日本循環器予防学会
https://www.jacd.info/
・日本がん疫学・分子疫学研究会
https://jceme.jp/
p.7
・日本運動疫学会
https://jaee.jp/
【第2章】
p.11
・日本川崎病学会:川崎病診断の手引き(改訂第6版)
https://jskd.jp/wp-content/uploads/2022/10/tebiki201906.pdf
【第3章】
p.38, p.40
・政府統計の総合窓口(e-Stat)
https://www.e-stat.go.jp/
p.40
・警察庁:自殺者数の統計
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jisatsu.html
・国立がん研究センターがん対策研究所
https://www.ncc.go.jp/jp/icc/index.html
・結核予防会結核研究所:疫学情報センター
https://jata-ekigaku.jp
p.42
・死亡診断書(死体検案書)記入マニュアル
https://www.mhlw.go.jp/toukei/manual/
【第4章,第6章】
p.50, 122
・自治医科大学:川崎病の臨床疫学研究
https://www.jichi.ac.jp/dph/research/kawasaki/
【第6章】
p.124
・Smoking and Health: Report of the Advisory Committee to the Surgeon General of the Public Health Service
https://www.govinfo.gov/app/details/GPO-SMOKINGANDHEALTH
(1964年の米国公衆衛生局医務長官Surgeon Generalによる喫煙と肺癌に関するレポート)
【第8章】
p.144
・国立健康危機管理研究機構感染症疫学センター:感染症発生動向調査週報
https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/index.html
・厚生労働省:届出の対象となる感染症の種類https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/kekkaku-kansenshou11/01.html#list01
p.145
・自治医科大学:プリオン病サーベイランス
https://www.jichi.ac.jp/dph/research/prion/
p.147
・がん情報サービス:全国がん登録への届出
https://ganjoho.jp/med_pro/cancer_control/can_reg/national/hospital/e-rep/index.html
【第10章】
p.164
・本書の姉妹本『基礎から学ぶ楽しい保健統計』
https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/90857
【第11章】
p.195
・日本疫学会:疫学研究を実施するにあたっての倫理宣言
https://jeaweb.jp/ethical_reviews/static/sengen.html
p.196
・World Medical Association:WMA Declaration of Helsinki : Ethical Principles for Medical Research Involving Human Participants
https://www.wma.net/policies-post/wma-declaration-of-helsinki/
・日本医師会:世界医師会ヘルシンキ宣言
https://www.med.or.jp/doctor/international/wma/helsinki.html
・United Nations Education, Scientific and Cultural Organization(UNESCO):Universal Declaration on Bioethics and Human Rights
https://www.unesco.org/en/ethics-science-technology/bioethics-and-human-rights
・文部科学省:生命倫理と人権に関する世界宣言
https://www.mext.go.jp/unesco/009/1386605.htm
p.201
・文部科学省 研究活動の不正行為等の定義
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu12/houkoku/attach/1334660.htm
p.202
・電子政府の総合窓口(e-Gov):法令検索
https://laws.e-gov.go.jp
p.202, 203
・厚生労働省:人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/kenkyujigyou/i-kenkyu/index.html




