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特集にあたって
數井裕光(高知大学医学部神経精神科学講座/本誌編集委員)
近年,情報通信技術(ICT)の発展に伴い,アプリケーションなどのデジタルツールの開発が進み,医療分野にも取り入れられつつある。精神科診療分野にも徐々に利用されつつあるが,特にデジタルツールを活用した非薬物療法が考案されるようになってきた。このようなデジタルツールの活用には以下のような効果や利点が得られる可能性がある。
- 専門的で高度なスキルを要する非薬物療法を,専門家が不在の地域や施設でも受けられる。
- 患者が非薬物療法を受けるために医療施設に出向かなくてもよくなり,時間的・経済的な負担を軽減させることができる。これにより非薬物療法の継続性が向上し,効果が増す。
- 個々人の興味や関心,志向,嗜好に応じた個別化した非薬物療法を実施しやすくなる。たとえば回想療法においては,個人的に思い出深い写真や特定の出来事に関連する写真をタブレットPCに保存したり,好みの音楽を保存したりした回想療法資材を容易に作成することができる。このような資材を用いることで非薬物療法の効果が増す。
- ヘッドマウントディスプレイや仮想現実(VR)技術を用いることで,没入性が増し,効果が増す可能性がある。解説動画をPCなどに保存することで非薬物療法の実施法を患者が理解しやすくなり,これによって非薬物療法の効果が増す。
- 治療における患者の能動性を支援する。治療を「受ける」のではなく,患者自身が行動を起こすことで治療が進むという仕組みを作ることができる。患者中心の医療を促進する契機となる。
- 患者への心理的侵襲性を低められる。従来のさまざまな精神科治療には,患者に不足していること,できていないこと,評価が低いことについて,医療者という「人」から指摘されるという面を持つ。そのため心理的な侵襲性が高いと言える。これに比して,デジタルツールでこのようなことが表示されても,患者の傷つきが少なく,受け入れられやすくなる可能性がある。
本特集では,まだ実施し始めた段階のものや,エビデンスとしては確立されていない非薬物療法についても紹介していただいた。また効果についてだけでなく,予想に反して生じた有害事象,今後改善が必要な点などについても言及していただいた。本特集が今後さらなるデジタルツールを用いた非薬物療法の開発や普及,啓発の契機になれば幸いである。
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価格については医書.jpをご覧ください。
特集 精神疾患診療へのデジタルツールの活用
企画:數井 裕光
特集にあたって
數井 裕光
精神疾患患者に対する非薬物療法におけるデジタルツールの開発の流れと展望
古川 渉太・他
サイコオンコロジー領域におけるスマートフォン精神療法
明智 龍男
摂食障害治療を支援する食生活管理アプリケーション
山内 常生・他
依存症治療のためのデジタルツールの活用
宋 龍平
自閉スペクトラム症児と家族,支援者をつなぐ感覚特性サポートアプリケーション
森戸 雅子・他
自閉スペクトラム症者に対するヒューマノイドロボットを用いた支援
熊﨑 博一
社会的ひきこもりに対するVR・メタバースによる支援法の開発
久保 太聖・他
virtual reality(VR)を用いたうつ病に対する認知行動療法
松村 雅代
プログラム医療機器を用いた不眠症治療としての認知行動療法
上野 太郎
タブレット端末を活用した回想療法の開発
水野 純平・他
情報通信技術(ICT)を用いた遠隔音楽療法
小杉 尚子
高齢者に対する「オンライン通いの場アプリ」
片山 脩・他
軽度認知機能障害・初期認知症患者を対象としたコンピューターゲームを用いた複合プログラム
中村 直子・他
認知症ちえのわnet
數井 裕光
●研究と報告
臺式簡易客観的精神指標テスト(UBOM-4)の健常者を対象とした検者間一致度の検討
吉田 久美・他