理学療法ジャーナル Vol.58 No.6
2024年 06月号

ISSN 0915-0552
定価 2,090円 (本体1,900円+税)

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特集 足病──あしを救って機能も救うために

 高齢化に伴い,理学療法対象者の多くが,基礎疾患としてなんらかの足病リスクをもつ状況になるおそれがある.足病以外の症状で理学療法を始めたケースであっても,あしとその機能に留意し,足病リスクに気づき回避することが重要である.加えてあしに負荷をかけ歩行にかかわる専門職として,あしを救って機能も救う足病治療に参画することが求められる.本特集では,あしを救って機能も救うために重要な知識,理学療法士に必要なあしを診る基本を解説する.

足病の症状と診断,医学的治療 寺師浩人
 超高齢社会を迎え,さまざまな「足病」が増加している.足病患者に対して,その重症化予防を図ることが肝要である.足病診療最終目標のなかで,患者の「歩行を守り,生活を護る」ことが根幹であるため,理学療法士は「足病」を理解することから始める必要がある.「足病医」不在の東洋社会において,本邦の理学療法士の役割が問われている.

足病につながる徴候をみる──裸足をみる,歩行をみる 林 久恵
 重篤な足病に至る前には機能的・形態的側面においてさまざまな徴候がみられる.これらの徴候は見過ごされることや経過観察となることが多いが,確認された時点で適切な対応がなされれば,重症化を防ぎ歩行機能を維持できる可能性が高い.本稿では足の部位ごとに徴候の見方と歩行への影響について説明し,履物の確認事項を示す.また,歩行時リスクを確認するための足底負荷量の計測方法を提示し,実施状況とその課題について述べる.

足病の免荷療法の実際 前重伯壮,他
 足病患者の創傷部や創傷リスク部の免荷や圧分散のためにプラスタゾートなどの圧分散素材が用いられ,創傷が発生している場合には創傷部に応じて適切にトリミングを行う必要がある.また,より確実に創傷部を免荷することを目的に,total contact cast(TCC)などの固定性の高い足部管理手段が適用される.それぞれの免荷・圧分散手段の効果と限界を理解することと,患者の動作レベルを考慮することが,適切な装具・デバイス選択のために重要である.

糖尿病足患者の合併症と増悪要因と理学療法 大関直也
 糖尿病に由来する足病変患者の合併症は重複することが多く,重篤化しやすいのが特徴である.合併症によって創傷治癒は阻害され下肢慢性創傷へと進展することも少なくない.足病変の主なリスクは糖尿病性神経障害と下肢閉塞性動脈硬化症,足変形,腎機能障害,感染である.これらの重症化や併存により足病変の症状は増悪する.足病変患者の理学療法に悩む場面が多く,本稿では手順の標準化の一助となるべく理学療法事例を紹介する.

足病患者の活動と足関節機能の維持 榊 聡子
 糖尿病足病変や包括的高度慢性下肢虚血(chronic limb.threatening ischemia:CLTI)は創傷を有する状態であり,創傷治療期間中は免荷管理が中心となる.そのため,筋力低下や関節拘縮につながりやすく歩行機能が低下しやすい.そこで,早期からの筋力トレーニングや関節運動が重要だが,同時に創傷悪化をさせないように実施する工夫が必要となる.関節運動のなかで,足関節の機能は歩行やバランス機能のうえでも重要な役割があるため,本稿では足関節の機能を中心として創傷治療期の運動療法について説明を行う.

足病による足趾・前足切断後の理学療法 今岡信介
 足趾・前足部切断患者は,術後に著しく歩行能力を喪失する可能性は低い.一方で,足趾切断に伴う筋機能の低下や特有の足部アライメントの変化に起因して,創傷再発の危険性が高まることが課題の一つである.そのため,足部の関節可動域やアライメントを十分に評価したうえで歩行や動作指導につなげることが望ましい.本稿では,足趾・前足切断患者の身体機能の特徴や評価および再発予防のポイントを概説する.

在宅足病患者の訪問リハビリテーションにおける理学療法士の役割──在宅環境での評価と治療,生活管理 松本純一
 在宅において理学療法士が行うべき足病患者とのかかわりは,多職種と連携し,足病の疾病管理を行いながら在宅生活維持のためのリハビリテーションを行うことである.理学療法士が足部・創傷の観察を行うことが重症化予防や再発予防につながり,また,治療中もしくは治癒後の足部の状態,装具などを使用した状態での歩行能力に応じて在宅環境の調整を行う必要がある.在宅においても病院内と同様に,経過をみていくなかで免荷デバイスや装具を評価しながら適宜調整を行うことで,足病患者の在宅生活を守ることができると考える.

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特集 足病──あしを救って機能も救うために

エディトリアル 足病──あしを救って機能も救うために
永冨史子

足病の症状と診断,医学的治療
寺師浩人

足病につながる徴候をみる──裸足をみる,歩行をみる
林 久恵

足病の免荷療法の実際
前重伯壮,他

糖尿病足患者の合併症と増悪要因と理学療法
大関直也

足病患者の活動と足関節機能の維持
榊 聡子

足病による足趾・前足切断後の理学療法
今岡信介

在宅足病患者の訪問リハビリテーションにおける理学療法士の役割──在宅環境での評価と治療,生活管理
松本純一


■Close-up 指定規制
看護師の指定規則
山田雅子

言語聴覚士の指定規則
立石雅子

理学療法士の指定規則
大西秀明,他


●とびら
理学療法士だからできる予防医学を確立しよう
中村尚人

●視覚ベースの動作分析・評価 2
股関節──人工股関節全置換術後の歩行
豊田裕司

●今月の深めたい理学療法周辺用語 6
プレゼンティーズム(presenteeism)
吉本隆彦

●中間管理職の悩み 12
他部署との折衝が大変です
[回答者]今村純平

●理学療法士のための「money」講座 6
なんでこんなに引かれてんだ?──給与明細の読み方
細川智也

●臨床実習サブノート
「どれくらい運動させていいかわからない」をどう克服するか 3
人工膝関節全置換術後の歩行練習
田中友也

●報告
女子大学生における月経前症候群の重症度と月経随伴症状との関連
片桐優奈,他

●症例報告
側頸部,側胸部痛に対して長胸神経の走行を意識した神経周辺組織への理学療法が有効であった車椅子バスケットボール選手の1症例
二村 涼,他

●My Current Favorite 26
ウィメンズヘルス領域での臨床活動
山本綾子

●学会印象記
第10回日本地域理学療法学会学術大会──変貌する地域社会のなかで理学療法士の新たな役割を考える
勝又瑞葵

第10回スポーツ理学療法学会学術大会──スポーツ理学療法の過去,現在,未来
岡村 俊

●私のターニングポイント
飛び込んでみることで変わる景色
飯田 祥

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