BRAIN and NERVE Vol.76 No.4
2024年 04月号

ISSN 1881-6096
定価 3,080円 (本体2,800円+税)

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昨今,神経病理剖検例が全国的に減少している。COVID-19パンデミックの影響もさることながら,何より神経病理を志向する若い研究者の減少が大きな原因の1つであろうと考えられる。しかし,確実な診断,病態の解明という面で神経病理の果たす役割は何ら変わっていないものと思われる。本特集は,神経病理の現在地を総括するとともに,未来への展望を俯瞰するという趣旨で企画した。鼎談では神経病理学を取り巻く現状と課題を踏まえ,今後のあるべき姿を議論した。各論文では神経病理領域におけるホットトピックスを多数の豊富なカラー写真とともに解説している。本特集を通じて,神経病理の世界をより身近に感じていただくことを願ってやまない。            

【鼎談】神経病理学に未来はあるか 柿田明美 , 髙尾昌樹 , 神田 隆

認知症疾患の神経病理 坂井健二 , 山田正仁
認知症とは一度正常に発達した認知機能が後天的な脳の障害によって進行性・不可逆性に低下し,日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態である。中枢神経系を障害するさまざまな疾患(神経変性疾患,血管障害,感染症や炎症性疾患,脱髄性疾患,中毒・代謝性疾患,腫瘍や外傷など)により生じる。多くの神経疾患は神経病理学的に確定診断されるため,症例の病態の理解や高い精度の臨床診断には神経病理学的な理解が必須である。

神経変性疾患の神経病理 岩崎 靖
神経変性疾患の確定診断には病理学的検索が必須である。疾患ごとに障害される部位や系統は異なり,神経細胞脱落やグリオーシスなどの退行性変化,異常蛋白の蓄積,特徴的な凝集体の形成を認める。蓄積蛋白による分類では,タウ蛋白,α-シヌクレイン,TDP-43(TAR DNA-binding protein of 43kDa)が蓄積する疾患を,それぞれタウオパチー,α-シヌクレイノパチー,TDP-43プロテイノパチーと呼ぶ。

炎症性・自己免疫性中枢神経疾患の神経病理 髙尾昌樹
炎症性・自己免疫性中枢神経疾患の神経病理について,その基本的な所見をまとめた。特に感染症,脱髄疾患,自己免疫性疾患を記載した。感染症として髄膜炎,脳炎,膿瘍,脱髄疾患では多発性硬化症,視神経脊髄炎,自己免疫性疾患として血管炎,傍腫瘍性神経症候群,膠原病の基本的理解が必要である。

末梢神経疾患の神経病理 小池春樹
近年,ニューロパチー研究の分野では,電気生理や自己抗体探索などの非侵襲的な手法が多く用いられるようになり,さまざまなニューロパチーの病態が明らかになっている。これに対して,末梢神経の標本を用いた病理学的検討が行われる機会は少なくなっているが,現代の視点から末梢神経病理所見を検討すると,以前には同じものを見ていてもわからなかったことが理解できるようになることも多い。本論ではこのような観点から,末梢神経の病理所見に関する最新の知見について概説する。

筋病理の現状と今後—今後の筋病理診断の立ち位置 斎藤良彦 , 西野一三
筋疾患名の多くは多少なりとも筋病理所見に基づく。したがって,筋疾患の診断には筋病理診断が重要である。近年では広範な遺伝学的解析や筋炎自己抗体検索が臨床応用され,筋生検が限定的に実施される傾向にある。しかし,1つの遺伝子が複数の表現型を呈する場合や,病的意義不明のバリアントが検出された場合,筋ジストロフィーと誤診される可能性のある自己免疫性筋炎の場合には,筋病理診断を積極的に実施すべきである。

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特集 神経病理最前線

【鼎談】神経病理学に未来はあるか
柿田明美×髙尾昌樹×神田 隆

認知症疾患の神経病理
坂井健二,山田正仁

神経変性疾患の神経病理
岩崎 靖

炎症性・自己免疫性中枢神経疾患の神経病理
髙尾昌樹

末梢神経疾患の神経病理
小池春樹

筋病理の現状と今後──今後の筋病理診断の立ち位置
斎藤良彦,西野一三


■総説
過飽和に基づくアミロイドーシス研究の新展開──アミロイド線維形成を促進・抑制する生体因子
山口圭一,他

アルツハイマー病におけるアミロイドβの役割──最新の知見を踏まえて
小野賢二郎,他


●スーパー臨床神経病理カンファレンス
第3回 歩行障害・易転倒性で発症し,小脳症状とパーキンソニズムのある60歳男性例
齋藤理恵,他

●原著・過去の論文から学ぶ
第2回 Jerk-locked back averaging, Non-invasive brain stimulation──チャールズ・デビッド・マースデン教授・柴﨑浩教授の後を追って
宇川義一

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