特集 「難治例」の臨床 治療に難渋する時の診断,治療,そして予防
ISSN | 0488-1281 |
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定価 | 3,080円 (本体2,800円+税) |
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特集にあたって
鈴木道雄(富山大学名誉教授/本誌編集委員)
精神科の診療において多くの患者さんと接すると,いわゆるファーストラインの治療によって,さしたる苦労もなく速やかに改善していく人は少なくない。しかしながら,標準的な治療が奏効しない,あるいは薬物療法に対する不耐性などのために治療が十分に行えないなど,期待するような治療効果が得られないこともしばしば経験する。時には,利用可能なあらゆる治療リソースを注ぎ込んでも改善せず,精神科医療の限界を感じるような症例に遭遇することもある。いわゆる「難治例」あるいは「治療抵抗性症例」の背景には,患者側の要因として,疾患自体の病態だけでなく,種々の併存症,あるいは発達特性やパーソナリティ傾向など診断には至らない程度の併存する特徴,家族関係,トラウマ体験など多くのものの関与がありうるだろう。また,その「難治性」が治療者側の要因に由来することも当然ありうる。さまざまな要因がもたらす「難治性」は,家庭生活や社会生活に長期的悪影響を及ぼし,時に長期入院の原因となる。「難治例」は診断カテゴリーにかかわらず経験されるが,なかには診断カテゴリー自体が「難治」という印象を与えるものもある。いずれにしても私たちは,治療に難渋した時に,その患者さんに対して,少しでも良い治療効果をもたらすために何を為すべきかという,困難かつ重大な選択を迫られる。
本特集では,私たちがいわゆる難治例に遭遇した時,難治化の要因として何を考える必要があるのか,何を振り返り,どのような観点から診断の再検討を行うべきなのか,どのような方針で治療を再構築すべきなのか,どのような治療選択肢が利用可能なのかなどを,各疾患についてそれぞれの専門家にご執筆いただいた。執筆者には,一般成書に書かれているような内容に限らず,見落としやすい要因も含めて,「難治性」の要因の分析とそれに基づく対処法を示していただくとともに,可能な範囲で,難治化の予防のためにできること・注意すべきことや,開発段階にある治療法による今後の難治例治療の可能性などにも触れていただいた。大変読み応えのある内容ばかりであり,執筆者のご尽力に衷心より感謝するとともに,それを読者と共有できることを喜びたい。
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特集 「難治例」の臨床──治療に難渋する時の診断,治療,そして予防
企画:鈴木 道雄
特集にあたって
鈴木 道雄
「難治例」をどう理解するのか
中込 和幸
治療抵抗性統合失調症の診断と治療
岡田 和樹・他
双極症における難治例
原田 舟・他
難治性うつをどう考えるか
渡邊 衡一郎・他
不安症群の「難治例」──治療に難渋する時の診断,治療,そして予防
塩入 俊樹
強迫症の標準的治療における難治化要因とその対応
向井 馨一郎・他
心的外傷後ストレス症(PTSD)難治例の臨床
堀 弘明
解離症──「難治例」の臨床
田中 究
身体症状症を難治化させる要因とその対処法
吉原 一文
摂食障害難治例に対する治療的介入とは
林 公輔・他
「ボーダーラインパターン」というシナリオを想定してみる
白波瀬 丈一郎
神経発達症の二次障害──強度行動障害の状態を呈する場合
會田 千重
認知症患者の行動・心理症状
赤川 美貴・他
せん妄あるいはせん妄様の難治例
八田 耕太郎
てんかんでみられる精神症状の難治例
西田 拓司
●短報
自閉スペクトラム症を併存し診断が困難であった右島皮質てんかんの1例
大竹 眞央・他
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