臨床外科 Vol.78 No.12
2023年 11月号

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 Conversion surgeryについては様々な臓器でトピックとなっているが,臓器によって事情は少しずつ異なるようである.胃癌においては,術前化学療法(NAC)後の手術に対し,原則として切除の適応がない転移性胃癌において化学療法が奏効したことで手術の適応が出てくるという形での治療モダリティーの変更を表現しconversion surgeryと呼称するのが一般的である.
 転移性胃癌という概念の幅は広く,多数の遠隔転移を有する文字通り切除不能な胃癌から,単発の肝転移など技術的に切除は可能な遠隔転移を有する場合,さらには所属リンパ節転移であっても腫大・融合して技術的に切除が困難な場合が想定される.いずれも化学療法の奏効により手術にconvertされうるものであるとはいえ,その場合の切除範囲を当初確認されていた病巣のすべてとする場合と,消失した遠隔転移は放置して胃の切除にとどめる場合がある.前者は限りなくNAC後の外科治療に近い考え方になることから,NAC症例とconversion症例は学会等でもしばしば混同して発表されているのが胃癌における実情である.本特集では,この点を整理するとともに,現在のconversionの真の姿に迫りたい.

ISSN 0386-9857
定価 2,970円 (本体2,700円+税)

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特集 胃癌に対するconversion surgery──Stage IVでも治したい!

■総論
Conversion surgeryの定義──術前補助化学療法(NAC)後の切除術とどう異なるのか
小寺泰弘

吉田分類ごとにみたconversion surgery
石田道拡・他

Conversion surgery──適応とタイミング(術前薬物療法の期間)
藤谷和正・他

Conversion surgeryを誘導するための化学療法レジメンとは
大沼啓之

海外におけるconversion surgeryの考え方
服部 卓・他

化学療法を開始した症例の何%がconversion surgeryの対象となるのか
河口賀彦・他

腫瘍内科医からみたconversion surgery
中山厳馬

■各論
高度リンパ節転移を有する胃癌に対する集学的治療──NACかconversionか
伊藤誠二

腹腔洗浄細胞診陽性(CY1)胃癌に対するconversion surgery
安福 至・他

腹膜播種を有する胃癌に対するconversion surgery
齋藤 心・他

肝転移を有する胃癌の治療方針──NACかconversionか?
野呂拓史・他

遠隔転移を有する胃癌治癒切除後に対する術後化学療法
小倉 望・他

免疫チェックポイント阻害薬投与後のconversion surgery症例の特徴
中西香企・他

■Topic
Conversion surgeryは本当に必要か?──MSI-H/dMMR症例における臓器温存の可能性
榊田智喜・他


●同心円状モデルで読み解く新しい食道外科解剖・9
気管気管支角領域の各論──No.106tbLはどこ?
藤原尚志

●FOCUS
マルチロボット時代に向けて──異なる手術支援ロボットシステムの導入を経験して
花井恒一・他

●手術器具・手術材料──私のこだわり ㉑
エンドミニリトラクトTM圧排子
本田五郎

●病院めぐり
福島労災病院外科
武藤 淳

●臨床研究
歯科標榜のない急性期病院での歯科衛生士による周術期予定外介入症例の検討
中山良子・他

●臨床報告
SOX療法による化学療法中に肝膿瘍を発症した進行胃癌の1例
今西謙太郎・他

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