総合リハビリテーション Vol.49 No.5
2021年 05月号

ISSN 0386-9822
定価 2,530円 (本体2,300円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 今月のハイライト
  • 収録内容

開く

新しい整形外科手術とリハビリテーション診療

 整形外科では多くの疾患で確立された術式が存在し,それと関係したリハビリテーション診療も多く報告されています.一方で確立された術式の欠点を補う新しい術式が次々と開発され臨床へ導入されていますが,そのコンセプトは必ずしもリハビリテーション関連職種に十分理解されていない可能性があります.本特集では,近年臨床に導入されてきている新しい整形外科手術について,個々の分野で活躍している整形外科医に,術式のコンセプトと周術期のリハビリテーション診療の考え方を従来法と比較する形で解説していただきました.

肩腱板損傷に対する手術 茂山幸雄氏
 肩腱板損傷について,症状・経過と治療法の選択(保存療法,腱板修復術,腱移植術・腱移行術,リバース型人工肩関節置換術)を解説し,特にリバース型人工肩関節置換術の特徴と周術期リハビリテーションについて詳しく述べる.リバース型人工肩関節置換術には,肩甲上腕関節の回旋中心の内方化による三角筋効率の増大,上腕骨の遠位化による三角筋線維の伸長,半拘束性による支点の安定化という3つの生体力学的特徴があり,これらを理解したうえで周術期リハビリテーションに臨み,本術式の特徴である早期の機能回復と良好な臨床成績を目指す必要がある.

変形性股関節症に対する手術――MIS-THAと術後リハビリテーション 森田充浩氏
 変形性股関節症に対する人工関節置換術について,最小侵襲手術に用いる各種アプローチと術後リハビリテーションを解説する.一切の筋切離が不要で術後回復が早いダイレクトアンテリオールアプローチは近年注目され,筆者は術後肢位の制限を設けず,正座や深屈曲姿勢を禁忌としていないが,術後脱臼を発生させていない.術後リハビリテーションプログラムをクリニカルパスとしておおむね定めており,術翌日に全荷重立位訓練,術後2日で歩行器歩行,術後1~2週で退院としている.

変形性膝関節症に対する手術 乾 洋氏
 変形性膝関節症に対する全人工膝関節置換術(total knee arthroplasty;TKA)について,両十字靱帯温存型TKA,人工膝関節単顆置換術,両十字靱帯機能をインプラント形状が代償するTKAについて解説する.十字靱帯は,膝関節の生理的な安定性,生理的な動き,固有深部知覚を司っており,従来のTKAにおいてこれらを失うことによる問題点を,新しいインプラントや術式がどこまで解決できるのかを理解し,それぞれの術後リハビリテーションを考える必要がある.今後のリハビリテーションは日常生活動作レベルでなく,レクリエーション,スポーツといった高いレベルが目標になり得ると考えられる.

新しい頸椎の手術――頸椎人工椎間板置換術 吉井俊貴氏
 頸椎症に対する人工椎間板について,開発経過と術式,成績,術後リハビリテーションを解説する.従来の前方固定術では隣接椎間障害の発生が多く,罹患椎間の可動性を温存して隣接椎間障害を予防する目的で人工椎間板が開発された.中長期の成績は良好であるが,手術手技の難易度が高い.術後の外固定は不要,もしくは短期間のソフトカラー装着にとどまり,日常生活動作の回復や社会復帰は早いが,頸椎アライメント維持のために,頸椎後方筋群を強化するリハビリテーションを術後に行う.

小児脊柱変形に対する手術 宇野耕吉氏
 小児脊柱変形に対する成長温存手術について,その種類,概念を解説する.成長温存手術はdistraction based system,growth guidance system,compression based systemに大別され,それぞれコンセプトや適応が異なっている.合併症の発生も少なくないことから,それぞれの特徴を理解して慎重に導入する必要がある.

開く

医書.jpにて、収録内容の記事単位で購入することも可能です。
価格については医書.jpをご覧ください。

肩腱板損傷に対する手術
茂山幸雄

変形性股関節症に対する手術――MIS‒THAと術後リハビリテーション
森田充浩

変形性膝関節症に対する手術
乾  洋

新しい頸椎の手術――頸椎人工椎間板置換術
吉井俊貴

小児脊柱変形に対する手術
宇野耕吉


●巻頭言
セラピストの教育とコロナの影響
玉垣 努

●入門講座
認知行動療法③ 高次脳機能障害者に対する認知行動療法の適応
大嶋伸雄

●実践講座
治療効果判定に役立つ病的歩行の診かた① 脳卒中痙性片麻痺
菊地尚久

●研究と報告
外来化学療法を施行する血液腫瘍患者の身体活動量と身体機能および生活の質に関する調査
尾崎圭一,他

●紹介
地域在住高齢者の買い物の楽しみをバーチャルリアリティで支援する取り組み
野口佑太,他

●集中講座
評価法の使い方 シリーズ2 各論⑤
脊髄損傷
久賀えみか,他

●リハビリテーション関連職種のキャリアサポート⑦
大学院における実践
吉畑博代

●Sweet Spot 文学に見るリハビリテーション
世阿弥の『風姿花伝』――中世の精神障害観
高橋正雄

●Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
「瞽女GOZE」――最後の瞽女・小林ハルから今を生きる者たちへのメッセージ
二通 諭

●リハビリテーション論文の正しい書き方 第2回
「総合リハビリテーション」編集委員会

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。