総合診療 Vol.36 No.11
2026年 11月号

ISSN 2188-8051
定価 2,860円 (本体2,600円+税)

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心不全パンデミック時代における総合診療医の挑戦
小和瀬桂子(群馬大学副学長/群馬大学大学院医学系研究科総合医療学講座/群馬大学医学部附属病院総合診療科)

 わが国において超高齢社会の進展に伴い、「心不全パンデミック」の到来が現実のものとなり、総合診療医が心不全に対応する機会が急増しています。2025年に改訂された心不全診療ガイドラインでは、早期介入や Fantastic4をはじめとする薬物治療の重要性が提示されましたが、高齢心不全患者の多くは高血圧、CKD、糖尿病、認知症、フレイルなどの「多疾患併存」を有しています。心臓という一臓器にとどまらず、併存疾患や生活背景を含めた「心臓から全身を診る」総合診療医の視点こそが、現代の心不全診療において不可欠となっています。
 高齢者の心不全診療は、ガイドラインをそのまま適用するだけでは完結しません。多角的な併存疾患管理やフレイル評価、さらにはポリファーマシーの調整や併存する「病い」に対する漢方医学的アプローチなど、患者一人ひとりの病態に応じた個別化医療が求められます。また、心不全療養指導士をはじめとする多職種と密に連携し、セルフケアや ACP(アドバンス・ケア・プランニング)をチーム全体で支える視点も欠かせません。
 一方で、救急現場や外来における「急性非代償性心不全への適切な初期対応」も重要です。迅速な病態・血行動態の評価を行って安定化させ、必要なタイミングで循環器専門医へ安全につなぐ能力は、患者の予後を大きく左右します。初期対応から循環器専門医との連携、そして地域・在宅へのシームレスな移行まで、医療連携のハブとしての役割を果たすことが総合診療医の腕の見せ所です。
 本特集において特筆すべきは、極めて豪華で多面的な執筆陣です。2025年改訂版『心不全診療ガイドライン』班員の北井豪先生、『心アミロイドーシス診療ガイドライン』班長の北岡裕章先生、2021年改訂版『循環器疾患における緩和ケアについての提言』班長の安斉俊久先生、各方面でご活躍されている循環器領域の第一人者に加え、循環器領域を special Interestとして第一線で総合診療を牽引する医師、さらには患者教育やセルフケア支援の要である心不全療養指導士の看護師にもご執筆いただきました。最高峰の専門知、総合診療医の実践知、そして看護・ケアの臨床知が結集した、これまでにない立体的な特集となっています。
 外来5分でうっ血を捉える POCUSの活用から、早期診断、二次性心不全の鑑別、急性期トリアージ、薬物調整、患者教育・多職種連携、緩和ケア、臨床倫理に至るまで、本特集は明日からの診療に直結する知見に満ちています。心不全を多角的に診る総合診療医の皆様にとって、本特集が頼れる実践的な道標となれば幸いです。

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価格については医書.jpをご覧ください。

特集 心不全パンデミックに立ち向かう──症状・生活・検査・治療をつなぐ総合診療アプローチ
企画:小和瀬桂子

■総論
『2025年改訂版 心不全診療ガイドライン』の要点──総合診療医が押さえるべきポイント
北井 豪

■各論
① 外来・在宅で拾う “心不全の兆し”──非特異的症状を“心不全の言葉”に翻訳し早期に心不全の兆候を発見する
佐藤直樹

② -1  心不全患者の実生活に根差したセルフケア支援
松村恵子

② -2  心不全発症のリスク因子の管理──心不全のリスクに向き合う
小保方 優

② -3  心不全を増悪させる併存疾患──外来で実践する早期把握と管理のポイント
岩崎壮史|猪又孝元

② -4  POCUSで心不全を見逃さない──外来5分で“うっ血”を可視化する
吉田くに子

③ 治療可能な二次性心筋症を見逃すな!──Approach to differential diagnosis in secondary cardiomyopathies
北岡裕章

④ 急性非代償性心不全に対する初期対応──専門医につなぐ前に総合診療医は何をすべきか
伊藤亮太|近藤 徹

⑤ -1  Fantastic 4(ARNI、β遮断薬、MRA、SGLT2阻害薬)のリアル
上原拓樹

⑤ -2  心不全×漢方──疾患(disease)と病い(illness)をつなぐ漢方医学
佐藤浩子

⑥ -1  フレイルと心不全──フレイルの評価と介入
新村 健

⑥ -2  多職種連携・病診連携で高齢者心不全に挑む
塚田(哲翁)弥生

⑦ -1  在宅における心不全緩和ケア
田中宏和

⑦ -2  ACP、臨床倫理(治療の中止や差し控えをどう考えるか)
安斉俊久


●Editorial
心不全パンデミック時代における総合診療医の挑戦
小和瀬桂子

●臨床教育お悩み相談室|どうする!?サロン|32
参加者はどこへ消えた?~続く勉強会の作り方~
長野広之|佐田竜一|木村武司

●地域に根ざす泌尿器科医が贈る|新発想! 超プライマリ・ケア目線からの泌尿器疾患診療|11
プライマリ診療での性感染症診療の心得は?
松木孝和

●構造式で語る医学|薬物の交差反応や意外な副作用を学ぼう!|23
香る抗てんかん薬
上田剛士

●医学生のアトリエ2025作品紹介|4
【音楽】 長岡 望

●What’s your diagnosis?|287
逆もまた真なり…と見えたな
酒見英太

●臨床に役立つ 東洋医学のパール&ピットフォール|8
【パール】 難渋する疼痛には鍼灸を検討してみよう!──禁忌と適応を知る
【ピットフォール】 誤った鍼灸の適応と埋没鍼には要注意
寺澤佳洋(著)|吉野鉄大・鈴木雅雄・寺澤佳洋(監修)

●総合診療医、病院を診る|経営も“一診入魂”|5
地域という「生態系」での生存戦略
~SDH(社会的決定要因)の視点を経営に実装せよ~
高田史門

●アスクレピオスの杖|想い出の診療録|79
守破離の「破」
新保卓郎

●CKD診療の新しい潮流|“腹膜透析”という選択肢|8
【意思決定支援③】 高齢者PDの適応と現実──腎臓内科専門医の視点から
小林 竜(コメント:森本耕吉)

●オスラーに学ぶ“平静の心”|医師と医学生に贈ることば|16
医師が修得すべき4つの要素
森島祐子|仁木久恵

●投稿 Empirical EYE
ITP治療抵抗例で、まず見るべき“周期性”──周期性血小板減少症を見逃さないために
石川 清

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