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うし先生と学ぶ「循環器×臨床推論」が身につくケースカンファ

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「循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。」で好評を博したうし先生の第2弾。今回は珠玉の24症例を扱う白熱カンファレンス! ST上昇+胸部絞扼感などのザ・循環器症例から、喘息患者での突然の喘鳴など一見これ循環器?な症例まで、「循環器×臨床推論」が身につく症例を集めました。

上原 拓樹
監修 佐藤 宏行
発行 2025年03月判型:B5頁:196
ISBN 978-4-260-05785-1
定価 5,500円 (本体5,000円+税)

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はじめに

 こんにちは,うしです.この度は本書を手に取っていただきありがとうございます.

 2024年5月に出版した「循環器病棟の業務が全然わからないので、うし先生に聞いてみた。」は,おかげさまで研修医だけでなく循環器に関わる多くの方に読んでいただくことができました.この本は日常で研修医の先生に指導をするにあたり,私はこう教えたらわかりやすいと思う(あるいは,私が研修医や専攻医のときにこう教えてほしかった)という循環器のコツを1冊で表現したものです.中には「苦手な指導医の対処法を教えて(泣)」など,あまり大きな声では言えないような(でも実臨床ではとっても大事!?)循環器以外の内容も混ぜています.

 私は前職の市中病院(札幌市東区にある勤医協中央病院)に研修医から医師9年目まで勤めており,2024年4月から現在の大学病院に異動になりました.勤医協中央病院で研修医への循環器の指導以外にもう1つ力を入れていたことが,臨床推論のレクチャーです.当時は2週間に1回,私が経験した症例をもとに「ヒヤリハットカンファレンス」という名前で参加型の臨床推論の学習会を開催していました.ヒヤリハットとは,「危ないことが起こったが,幸い事故には至らなかった事象」を指します.実際のカンファレンスでは,ヒヤリハットに限らず,教訓的な症例を臨床推論(診断学)の形式で研修医の先生と一緒に学びました.この「教訓的」というのは,必ずしも病態だけでなく,患者さん個人の考えや施設などの社会的な事情も含みます.例えば,「尿路感染症疑いの発熱」症例を1つとっても,症状やバイタルサインだけでなく,患者さんの希望(「できれば外来通院をしたい」など)や施設の状況(急性期病院か慢性期病院か,エコーやCTは夜間施行可能かなど)で方針は大きく変わります.また,私は初期研修以降は循環器内科に所属していたため,循環器に関係する症例が多いですが,その中身は必ずしも循環器疾患とは限りません.言い方を変えると,循環器内科の視点だからこそ診断できた非循環器疾患もあれば,循環器内科が初期診療にあたったが実際は非循環器疾患であった症例も多数あるということです.
 これらの経験から,今回は「循環器×臨床推論」をテーマに,実際の症例(一部は私の執筆したCase report)をもとに,日中と夜間に分けて24症例をカンファレンス形式で提示しました.能動的に読み進められるように途中で設問を付けていますが,診断がやや不明瞭であったり,解答(回答)が1つではないものもあるかもしれません.ただ,実際の循環器診療をもとに,総合的な思考をしていただくため,あえて「臨床のリアルな感じ」を残すことにいたしました.

 本書を執筆するにあたり,佐藤宏行先生(東北大学病院 循環器内科)にご監修いただきました.また各症例のアドバイザーとして,湯野暁子先生(勤医協中央病院 糖尿病内分泌内科),松本巧先生(勤医協苫小牧病院 膠原病科),井上智之先生(脳神経センター大田記念病院 脳神経内科),市川貴也先生(北海道大学病院 血液内科),上杉淳先生(製鉄記念室蘭病院 消化器内科)には,各専門科の視点でご指導いただきました.先生方にはこの場を借りて深く御礼を申し上げます.
 また前回同様,うし先生に加えてかわいらしい動物(先生)のイラストを,ば太郎さんに描いていただきました.このような執筆の機会をくださった医学書院の方にも大変感謝しております.

最後に,ぜひ本書を通して「循環器×臨床推論」の考え方を養っていただき,少しでも皆さまの日常診療に役立てていただけることを願っております.

 2025年2月
 「うし先生」こと
 上原 拓樹

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はじめに
本書の使い方・登場人物(動物)紹介

1章 ケースカンファレンス(日中編)
 Case1 ST上昇を伴う胸部絞扼感──カテ室まで何分ですか?
 Case2 心不全を伴う大動脈弁狭窄症──手術? TAVI? それとも……
 Case3 心膜液を伴う心不全──ドレナージしますか?
  (column) ゴロを覚えて効率よく病歴聴取しよう
 Case4 足が黒いんです──緊急EVTは要りますか?
  (column) ヒヤリハットはいつ発生するか?
 Case5 SLEに合併した感染性心内膜炎──準緊急手術ですか?
 Case6 無症状の心電図異常──それでもカテ室に行きますか?
 Case7 循環器内科から紹介の全身性浮腫──心不全ではないですか?
 Case8 難治性胸水を伴う息切れ──利尿薬? 胸水穿刺? それとも……
 Case9 心不全で通院中の腰痛──ACPはどうですか?
  (column) 検査の目的と方針を明確にしよう
 Case10 脳外科から紹介の肝障害──うっ血肝ですよね?
 Case11 急性の心窩部痛──学会発表しませんか?

2章 ケースカンファレンス(夜間編)
 Case12 心不全の心膜液,どう考えますか?
 Case13 QT延長を伴う肺水腫──全然心不全に見えません……
 Case14 少し変わった虚血性心疾患──論文投稿しませんか?
 Case15 入院中の心肺停止──V-A ECMO入れましたが……
 Case16 ST上昇を伴う胸部絞扼感──冠動脈はキレイなのですが……
 Case17 循環器病棟のちょっと不明熱──のぼせただけですよね?
  (column) 疾患を診断したら,その原因を考える
 Case18 VT vs SVT──その背景には……
 Case19 再発性の下腹部痛──消化器内科紹介でいいですよね?
  (column) 症例報告のススメ
 Case20 尿路感染症入院中の胸痛──念のため緊急カテしますか?
  (column) 循環器内科の魅力──内科医としての臨床推論
 Case21 肺炎入院中の胸痛──カテすれば良いですよね?
 Case22 徐脈を伴う一過性意識消失──ペースメーカで良いですよね?
 Case23 喘息既往の突然の喘鳴──何かヒヤリとすることありましたか?
 Case24 突然発症の下腹部痛──まさか繰り返さないですよね?

症例リスト
索引

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This is 循環器!~うし先生と学ぶリアル症例カンファ
書評者:齋藤 秀輝(聖隷浜松病院循環器科医長)

 心不全なのか,不整脈なのか,虚血なのか,循環器内科医はついつい“疾患”と向き合ってしまう。それぞれの疾患には疾患ごとのガイドラインが日本循環器学会などから発表されており,勉強することで理解が深まる。だが,現実の患者さんはそんな単純ではない。患者さんの社会的背景,経済的背景,多併存疾患(マルチモビディティ),リアルな現場では考慮すべき問題が山積みであり,臨床医としてそのような問題を1症例ごとに向き合うことで,机上の空論で学ぶだけでは得られない経験を得ることができる。

 本書は“目の前の患者さんと真摯に向き合う”という,うし先生の姿勢が溢れるほど詰まった一冊である。全部で24症例,リアルな現場で経験する流れをそのままに,うし先生と後輩のぺん先生・いぬ先生による臨床推論カンファレンスがリズミカルに繰り広げられ,読み始めるとすぐにうし先生ワールドへの仲間入りだ。

 循環器内科医は状態の悪い患者さんの初期対応を行うことも多く,スピード感を持った診断が救命への第一歩につながる。現実の診療に即してうし先生が順を追って解説してくれることで,そんなスピード感も本書では感じさせてくれる。第1章が日中編,第2章が夜間編と経験する場面ごとに分かれており,症例によっては最初に心電図だけ提示されたり,他科外来で相談された時点でのスタートであったり,よりリアルな現場感を感じさせる症例ばかりだ。

 循環器内科をこれから回る研修医,循環器研修をまさにこれから開始する専攻医,循環器をもっと学びたいジェネラリストや実地医家の皆様にぜひオススメしたい一冊。うし先生と一緒に『循環器×臨床推論』ケースカンファレンスで循環器の知識を深めましょう!

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