著作物の管理・運用について

近年、世界的なインターネットの普及に伴う情報伝達の多様化と利用形態の変化には目を見張るものがあります。インターネットの普及と同時に発展した電子的情報処理技術は、印刷物を書店店頭で販売するだけでなく、電子媒体を通じてさまざまな方法で、日本のみならず世界中の読者に情報を伝達することを可能にしてきました。執筆者や読者の先生方もあらゆる媒体で情報が提供され、世界の情報を正確かつ迅速に入手することを求めています。

しかしながら、こういった情報提供を実現するためには、複雑化しているさまざまな権利と技術的処理に適切に対応しなければならず、相当の時間と手続が必要であることも事実です。また、これらの技術革新や環境の変化は著作物をデジタル情報として瞬時に送信することを可能にしてしまうため、受信者あるいはそれ以降の段階で送信されたデジタル情報が権利者の了解なく容易に再利用されることも可能となってしまいます。こうした問題に適切に対応し、著作権保護の啓蒙活動と著作物の不正利用に関する対策を講ずることが出版界の喫緊の課題となっています。

このような状況のもと、出版社には著作物の電子配信を含む様々な情報伝達、ならびにそれに伴う著作権保護の施策と運用に関しても時代に即応する必要性が生じてきました。ご執筆の先生方にとって重要な著作物が適正かつ広範に利用され、同時に違法複製あるいは不正利用を防ぐためには、欧米の学術専門出版社同様,わが国においても出版社が、著作物にかかる権利の適正な管理と運用をご執筆の先生方に代わって行うことが必要です。このことによって、雑誌論文や出版物が電子ジャーナル,電子配信,オンデマンド出版を含み、さまざまな媒体を通じて多くの読者に届けられ、かつ適正利用されることが可能になります。

つきましては、弊社発行物に掲載される著作物の複製権,翻訳権,上映権,譲渡権,貸与権,公衆送信権(送信可能化権を含む)は弊社に帰属することとし、それらの利用ならびに許諾等の管理は弊社が行い、様々な情報提供に対応させて頂きたく考えております。ご執筆者各位におかれましてはなにとぞご理解とご了解を賜りますようお願い申し上げます。

2017年4月
株式会社 医学書院