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回復期リハビリテーション病棟マニュアル


編集:角田 亘
編集協力:北原 崇真/佐藤 慎/岩戸 健一郎/中嶋 杏子

  • 判型 B6変
  • 頁 424
  • 発行 2020年08月
  • 定価 3,740円 (本体3,400円+税10%)
  • ISBN978-4-260-04247-5
「チーム医療」の共通言語と回復期リハビリテーション医療のコツがわかる
回復期リハビリテーション病棟のすべてがわかる実践書。多職種がかかわる回復期リハビリテーション病棟において必要な「チーム医療」のポイント―いつ、誰が、何を、どうすればよいのか―を理解するのに最適な構成。執筆陣の豊富な経験をもとに蓄積された数々のノウハウを公開。症例紹介や頻用スケールなど現場ですぐに役立つ情報も多数収載。回復期のリハビリテーション医療に携わるすべての職種必携の1冊となっている。
序 文


 回復期リハビリテーション病棟における医療は,チーム医療の最たるものであると私は思っている.回復期リハビリテーション病棟では,医師,リハビリテーション科療法士,看護師,栄養士,薬剤師,医療ソーシャルワーカーなど多職種から構成されるチームが,一丸となって個々の患者に包括的な医...


 回復期リハビリテーション病棟における医療は,チーム医療の最たるものであると私は思っている.回復期リハビリテーション病棟では,医師,リハビリテーション科療法士,看護師,栄養士,薬剤師,医療ソーシャルワーカーなど多職種から構成されるチームが,一丸となって個々の患者に包括的な医療を提供する.チームを構成するスタッフは,全員が医療のプロフェッショナルであるため,それぞれが「自分だけにしかできない仕事」を持っており,それを確実に遂行することで,高いレベルでのチーム医療が実現される.そうなると,回復期リハビリテーション病棟における教育も多職種によってなされるべきであり,そのためのテキストも当然ながら多職種によって執筆されることが望ましい.
 このたび発刊となった本書の執筆陣は,実に多職種にわたっている.主に国際医療福祉大学市川病院に勤務する臨床経験豊富な彼らが,自らの職種に関する知見をもとに丹念に執筆してくれた.リハビリテーション医療をチーム医療と称するのであれば,本書はまさに「チーム執筆」のそれである.わが国で回復期リハビリテーション病棟が産声をあげてから約20年が経過しているが,このような「チーム執筆」によるテキストは過去に例をみない.私が知る限りでは,本書こそがわが国で最初の「回復期リハビリテーション病棟のための,チーム執筆によるチーム医療のテキスト」となる.
 本書のタイトルは「マニュアル」と名が付けられている.一般的にマニュアルというと,月並みな記載が並び,単調な内容になりがちである.しかしながら,本書においてはすべての執筆者が,それぞれの分野のプロフェッショナルである彼らしか知り得ない知識を存分に披露してくれている.結果として,他の本にはない「回復期リハビリテーション医療のプライスレスなコツ」が散りばめられることとなった.本書は,サイズこそポケットに入るほどにコンパクトであるが,書かれている内容は実に豊富であり,まさに「小さな巨人」型のテキストと言えるであろう.本書に目を通すことで,回復期リハビリテーション医療に挑むにあたり,各職種が肝に銘じておくべきことを理解していただけると同時に,普段チームを組んでいる他の職種の考え方や素晴らしさも再認識していただけるはずである.そうすることで,チーム内の共通言語が確固たるものとなり,チーム医療の質がさらに研ぎ澄まされることを期待している.
 私が籍を置く国際医療福祉大学は,すでに定評のある医療福祉の総合大学であり,多職種連携を重視した教育を行ってきた.そして,2017年に医学部が設置されたことによって,世界でも数少ない「すべての医療職を養成できる大学」となった.そのような大学の附属病院に勤務する多くの医療専門職の方々に筆をとっていただき,その暁として本書が完成したことに私は人知れず感慨を覚える.国際医療福祉大学は,以前から国際的にもさまざまな取り組みを行ってきており,世界各国との距離が近い.よって私は,願わくばいつの日か,この「市川マニュアル」の英訳版を出版することで,本学の,そしてわが国のリハビリテーション医療の素晴らしさを世界中に発信したいと思っている.
 最後に,多忙ななかで時には夜を徹してまで本書の編集に尽力してくれた国際医療福祉大学市川病院の北原崇真先生,佐藤慎先生,岩戸健一郎先生,看護師長の中嶋杏子氏,図書室司書の中村真美氏に深甚なる謝意を表する.そして,本書の出版に労を惜しむことなく粘り強く助力してくださった医学書院医学書籍編集部の川村真貴子氏と北條立人氏に心から御礼を申し上げる.

 2020年7月
 国際医療福祉大学医学部リハビリテーション医学主任教授
 国際医療福祉大学市川病院院長
 角田 亘
目 次
1章 回復期リハビリテーション病棟の概略
 1 回復期リハビリテーション病棟の現状
  1 回復期リハビリテーション病棟の位置づけ
  2 回復期リハビリテーション病棟が目指すこと
  3 回復期リハビリテーション病棟の施設基準と診療報酬
  4 回復期リハビリテーション病棟の入院基準と退院時期決定
 2 回復期リハビリテーション病棟におけるチーム医療
  1 チーム医療のコンセプト
  2 リハビリテーション科医師の役割
  3 理学療法士の役割
  4 作業療法士の役割
  5 言語聴覚士の役割
  6 看護師の役割
  7 その他の職種の役割
 3 回復期リハビリテーション病棟の対象疾患
  1 脳卒中
  2 頭部外傷
  3 脊髄損傷
  4 脊椎疾患
  5 股関節疾患
  6 膝関節疾患
  7 切断
  8 廃用症候群
  9 その他の疾患

2章 回復期リハビリテーション病棟の入院時評価
  1 問診
  2 全身評価
  3 運動・歩行機能評価
  4 ADL・IADL評価
  5 QOL評価
  6 言語・認知機能評価
  7 嚥下機能評価
  8 心電図と胸部X線
  9 血液・尿検査
  10 脳画像検査
  11 骨関節の画像(脊椎脊髄を含む)
  12 その他の検査

3章 リハビリテーション処方とカンファレンス
  1 リハビリテーション処方
  2 回復期リハビリテーション病棟のカンファレンス
  3 リハビリテーション訓練の見送り基準と中止基準
  4 急変時対応

4章 回復期リハビリテーション病棟のリハビリテーション訓練
 1 運動障害に対する訓練
  1 ROM訓練と筋力増強訓練
  2 基本動作訓練
  3 移乗訓練
  4 車椅子訓練
  5 片麻痺に対する立位歩行訓練
  6 骨関節疾患に対する立位歩行訓練
  7 杖・歩行器・車椅子の選択
  8 短下肢装具
  9 脊椎病変に対する体幹装具
  10 義足作製と義足訓練
  11 上肢運動訓練
  12 病棟訓練
  13 物理療法
 2 ADL・IADLに対する訓練
  1 ADL訓練
  2 IADL訓練
  3 復職支援
  4 自動車運転再開のための訓練
 3 言語・認知障害に対する訓練
  1 失語症に対する訓練
  2 構音障害に対する訓練
  3 左半側空間無視に対する訓練
  4 記憶・注意・遂行機能障害に対する訓練
 4 摂食嚥下障害に対する訓練
  1 間接訓練
  2 直接訓練

5章 回復期リハビリテーション病棟の看護とケア
  1 看護師による観察と記録
  2 食事のケア
  3 排泄のケア
  4 入浴・清拭・整容・更衣のケア
  5 移乗のケア
  6 与薬
  7 点滴管理
  8 認知症への対応
  9 せん妄への対応
  10 問題行動(暴言・暴力・セクハラ)への対応
  11 酸素投与と喀痰吸引
  12 口腔ケア
  13 チューブの管理
  14 モニター管理
  15 感染対策
  16 転倒・転落対策
  17 抑制
  18 インシデント対策
  19 心理的サポート

6章 回復期リハビリテーション病棟の栄養管理
  1 栄養評価
  2 栄養投与
  3 経管栄養
  4 胃瘻造設

7章 回復期リハビリテーション病棟の薬剤管理
  1 内服薬管理
  2 副作用対策
  3 ポリファーマシー

8章 回復期リハビリテーション病棟の合併症管理
  1 高血圧・糖尿病・脂質異常症
  2 心疾患
  3 腎疾患
  4 呼吸器疾患
  5 消化器疾患
  6 疼痛・しびれ
  7 誤嚥性肺炎
  8 排尿障害
  9 スキンテアとじょく瘡
  10 痙攣(てんかん発作)
  11 脳卒中の再発予防
  12 脊髄損傷の合併症
  13 その他の合併症(不眠・うつ・アパシーなど)

9章 回復期リハビリテーション病棟からの退院準備
 1 環境調整
  1 家屋評価
  2 家屋改修
  3 介護力の評価と介護指導
 2 介護保険制度
  1 介護保険制度の概略
  2 ケアマネージャーとの連携
  3 訪問リハビリテーション
  4 通所リハビリテーション
  5 訪問診療・訪問看護
 3 在宅生活の準備
  1 看護師からの退院指導
  2 自宅での自主トレーニング指導
  3 かかりつけ医への紹介状の書き方
  4 外来リハビリテーション
  5 身体障害者手帳
  6 経済的支援
 4 退院患者の受け入れ先
  1 介護老人保健施設
  2 特別養護老人ホーム
  3 療養病棟
  4 その他の施設
  5 施設・他院への紹介状の書き方

10章 回復期リハビリテーション病棟の症例紹介
 1 訓練意欲が低い患者
 2 病識が欠如している患者
 3 全身状態が不安定な患者
 4 問題行動が目立つ患者
 5 自宅の環境調整が必要な患者
 6 経口摂取が少ない患者

付録 頻用スケール

略語一覧
索引