言語聴覚士のための基礎知識
耳鼻咽喉科学 第3版

もっと見る

言語聴覚士養成施設で学生が学ぶ専門基礎分野の1つである「耳鼻咽喉科学」のテキスト。15年ぶりの改訂となる第3版は現行の「言語聴覚士国家試験出題基準」に準拠した内容とし、全面的に刷新した。また本書は言語聴覚領域の各専門科目への橋渡しも意図し、耳鼻咽喉科学の各領域の中でも特に言語聴覚士が深く関わることになる聴覚障害や構音障害、音声障害、嚥下障害などの各分野により重きをおいた構成となっている。動画付録付。

シリーズ 言語聴覚士のための基礎知識
編集 田山 二朗
発行 2023年02月判型:B5頁:304
ISBN 978-4-260-05046-3
定価 4,400円 (本体4,000円+税)

お近くの取り扱い書店を探す

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。

  • 序文
  • 目次
  • 付録・特典

開く

第3版 序にかえて

 本書の初版は2002年に鳥山稔先生の編集により出版された.さらに2007年に鳥山稔先生と田内光先生の編集による第2版が刊行され,その後しばらくは改訂作業が行われなかったが,その間に言語聴覚士を取り巻く環境は大きく変貌を遂げ,今日に至っている.
 言語聴覚士は1997年に国家資格として制定され,1998年に最初の国家試験が行われて以後,毎年1,600~2,000名程度が合格している.言語聴覚士の有資格者数は,2018年3月には30,000名を超え,2022年3月では約38,000名となっている.言語聴覚士の職務内容もかなり変化してきており,今日では成人言語・認知障害,発声・発語障害,摂食・嚥下障害を取り扱う割合が非常に大きくなってきている.さらに各疾患の診断基準や手術基準の変更,法律面での改正も行われている.このような状況を踏まえ,このたび本書を16年ぶりに大幅に改訂することとなった.
 改訂に当たっては,言語聴覚士国家試験出題基準や過去の国家試験の出題内容を参考にしつつ,第2版に引き続き,耳鼻咽喉科医と言語聴覚士の専門分野の先生方に執筆をお願いした.また,解剖などの基礎的知識を序章として加え,平衡機能に関しては今後の業務拡大の可能性も考えて充実させた.一方,法律関係の記載は,今後の法改正により現実との齟齬が生じる可能性があることから掲載を見合わせた.また第2版で採用された付録動画も今回大幅に変更した.インターネット環境はスマートフォンの普及もあり充実してきている.ぜひ,目次の後に載せているQRコードなどからアクセスしてご覧いただきたい.
 さて,言語聴覚士と耳鼻咽喉科医の関わり合いは,臨床の現場ではまだ十分とは言えないが,耳鼻咽喉科医のリハビリテーション分野への参加は徐々に増加してきている.今後,言語聴覚士と耳鼻咽喉科医が共働する機会が増えることを願っている.
 言語聴覚士を目指す学生,および言語聴覚士としてスタートを切った方々のために,耳鼻咽喉科学のエッセンスを本書に詰め込んだつもりである.本書を基礎として,さらに耳鼻咽喉科学に興味を持ってさまざまな書籍で知識を吸収されんことを願うものである.

 2022年12月
 田山二朗

開く

序章 耳鼻咽喉科学の発生・解剖の基礎
  A 臓器の発生
  B 脳神経と脊髄神経
  C 血管
  D 咀嚼
  E 舌筋(舌下神経支配)
  F 軟口蓋の筋肉と神経支配

第1章 耳科学
 1 聴覚前庭系の解剖と生理
  A 音について
  B 聴器と前庭系の構造
  C 聴覚・前庭・平衡系の中枢の構造
  D 聴器と平衡器の機能
 2 聴覚の発達と加齢変化
  A 発達
  B 加齢変化
 3 耳科学的検査
  A 耳鏡検査
  B 聴力検査
  C 耳管機能検査
  D インピーダンス・オージオメトリー
  E 平衡機能検査
  F 耳の画像診断
  G 顔面神経麻痺の検査
 4 聴覚障害の検査
  A 自覚的聴力検査
  B 他覚的聴力検査
  C 乳幼児聴力検査
  D その他の検査
 5 耳科領域の疾患と症候,診断,治療
  A 耳介の疾患
  B 外耳道の疾患
  C 中耳の疾患
  D 内耳の疾患
  E 聴器の腫瘍
 6 補聴器と人工内耳の基礎
  A 補聴器
  B 人工内耳
  C 聴覚補償・情報保障支援システム
 7 小児聴覚障害への対応
  A 小児聴覚障害
  B 言語聴覚士の対応
 8 成人聴覚障害への対応
  A 難聴の鑑別診断
  B 成人聴覚障害の疾患
  C 成人聴覚障害に対する治療
  D 成人聴覚障害の多様性の原因となる要素
  E 成人聴覚障害の評価
  F 補聴器・人工聴覚器の選択・評価
  G 成人聴覚障害の指導
  H 環境調整
 9 平衡障害
  A 身体平衡機能とは
  B 平衡機能検査
  C めまいの臨床
  D めまいの臨床──各論
  E 前庭リハビリテーション・平衡訓練
 10 耳鳴
  A 定義と有症率
  B 原因
  C 質問紙による評価
  D 耳鳴検査
  E 治療

第2章 鼻科学
 1 鼻・副鼻腔の構造と機能
  A 外鼻の構造
  B 鼻腔の構造
  C 副鼻腔の構造
  D 鼻・副鼻腔の血管
  E 鼻腔の機能
  F 副鼻腔の機能
 2 鼻科学的検査
  A 前鼻鏡検査
  B 後鼻鏡検査
  C 画像検査
  D 嗅覚検査
  E 通気度検査
 3 鼻・副鼻腔の疾患と症候,診断,治療
  A 形態異常
  B 外傷
  C 炎症
  D 囊胞性疾患
  E 腫瘍
  F 鼻出血
  G 鼻腔異物
  H 嗅覚障害

第3章 口腔・咽頭科学
 1 口腔・咽頭の構造と機能
  A 口腔の構造・機能と神経支配
  B 咽頭の構造・機能と神経支配
 2 口腔・咽頭の検査
  A 視診,触診
  B 味覚検査
  C 唾液腺の検査
 3 口腔・咽頭の疾患と症候,診断,治療
  A 口腔の疾患
  B 咽頭の疾患
  C 唾液腺疾患
  D 先天性疾患
 4 構音障害
  A 構音と構音器官
  B 構音のメカニズム
  C 構音の発達
  D 構音障害とは
  E 構音障害の診断と評価
  F 構音障害各論──発症のメカニズムと特徴
  G 構音障害の治療

第4章 喉頭科学
 1 呼吸発声発語系の構造
  A 呼吸器系の基本構造・機能
  B 喉頭の基本構造・機能
 2 喉頭科学的検査
  A 内視鏡検査
  B 喉頭ストロボスコープ検査
  C その他の画像検査
  D 呼吸機能検査
 3 喉頭の疾患と症候,診断,治療
  A 先天性疾患
  B 喉頭外傷
  C 炎症
  D 腫瘤性病変
  E 腫瘍性病変
  F 運動知覚障害
  G 萎縮性病変
 4 音声障害
  A 声の特徴と機能および調節
  B 音声障害の発生メカニズム
  C 音声の検査
  D 音声障害の分類,評価と治療
  E 音声障害の治療とリハビリテーション
  F 言語聴覚士の対応

第5章 気管・食道科学
 1 気管・気管支・食道の構造と機能
  A 気管・気管支の解剖と生理
  B 食道の解剖と生理
 2 気管・気管支・食道の検査
  A 画像検査法
  B 内視鏡検査
 3 気管・気管支の疾患
  A 形態異常
  B 炎症性疾患
  C 気管・気管支狭窄
  D 外傷・熱傷
  E 気管・気管支異物
  F 腫瘍
 4 食道疾患
  A 形態異常(先天性・後天性)
  B 食道狭窄症
  C 外傷
  D 炎症性疾患
  E 機能異常
  F 食道異物
  G 腫瘍性疾患
 5 気管切開術と気管カニューレ
  A 気管切開術
  B 気管切開の管理と気管カニューレ
 6 嚥下障害
  A 摂食と嚥下
  B 嚥下関連器官の構造と機能
  C 摂食・嚥下の生理
  D 摂食嚥下の発達と退行
  E 嚥下障害の原因疾患と病態
  F 嚥下障害の徴候と合併症
  G 摂食・嚥下障害の診断
  H 摂食・嚥下障害の治療指針
  I 嚥下障害に対する保存的治療
  J 嚥下障害の外科治療
  K 摂食・嚥下障害のチーム医療
  L 言語聴覚士の対応

索引

Note 一覧
 1.音波
 2.内耳の有毛細胞
 3.平衡機能系の検査
 4.音の方向覚
 5.耳小骨筋反射
 6.補充現象
 7.音響外傷
 8.加齢性難聴
 9.ミトコンドリア遺伝子と難聴
 10.ワクチン接種で予防できる難聴
 11.聴力障害の身体障害者認定
 12.姿勢反射
 13.声道と鼻声
 14.アレルギーの定義と分類
 15.職種による用語の違い
 16.発話特徴抽出検査
 17.器質的構音障害における再建手術とプロテーゼ
 18.発声の生理
 19.反回神経麻痺
 20.音声治療の適応
 21.音声・言語障害の身体障害者認定
 22.嚥下中枢:嚥下パターン形成器
 23.小児の摂食機能の発達
 24.嚥下内視鏡検査(VE)と嚥下造影検査(VF)の違い
 25.嚥下改善手術と合併症
 26.咀嚼・嚥下機能障害の身体障害者認定

開く

付録Web動画のご案内

本書に関連した付録Web動画をご覧いただけます。

  • 更新情報はありません。
    お気に入り商品に追加すると、この商品の更新情報や関連情報などをマイページでお知らせいたします。