聴覚障害学 第3版

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言語聴覚士養成校で学ぶ「聴覚障害学」のテキストとして最適な1冊。日本言語聴覚士協会が2018年に発表した「言語聴覚士養成教育ガイドライン」を踏まえた目次建てとし、前版の内容をベースにしながら全面的に改訂している。今版より成人、小児ごとに評価から指導・訓練に至る流れを明確にし、また事例の記載を増やすことで学生の理解がより進む構成とする。加えて各章の冒頭で「学修の到達目標」を設け、学びの指針とする。

*「標準言語聴覚障害学」は株式会社医学書院の登録商標です。

シリーズ 標準言語聴覚障害学
シリーズ監修 藤田 郁代
編集 城間 将江 / 鈴木 恵子 / 小渕 千絵
発行 2021年03月判型:B5頁:424
ISBN 978-4-260-04350-2
定価 5,720円 (本体5,200円+税)

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    2021.03.04

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平衡機能検査の一部が2018年に言語聴覚士法に追加されたことに伴い,耳鳴りやめまいに関する理論や検査を加えました。また,非典型的あるいは特殊な難聴については「特異的な聴覚障害」として新規に章立てをし,内容も更新しました。そして,非典型を含む実際の事例について,評価サマリーと指導サマリーを新たに加えることで,臨床における実践的な学習・指導に役立つ内容としています。

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第3版の序

 本書は標準言語聴覚障害学シリーズ「聴覚障害学」の第3版である.初版は2010年,第2版は2015年に,故中村公枝先生を中心に編集・刊行された.
 中村先生は約半世紀にわたり日本の言語聴覚士養成教育を牽引され,また臨床家としても難聴児のハビリテーションの発展に大きく寄与された.先生は,「人は他者との関係,物や環境との関係,時間的・歴史的関係の中で育ち生かされる」との考えから,聞こえない・聞こえにくい方々がそれらの関係性を構築しやすいように「足場掛け」をして支援することこそ,言語聴覚士に求められる役割であるととらえておられた.この臨床観は,聴覚臨床に携わる言語聴覚士にとって普遍性があり貴重だと考え,先生が執筆された初版と第2版の第1章を今版でも一部活かすこととした.

 第3版では,聴覚学および聴覚臨床を取り巻く社会情勢の変化に鑑みて新規情報を加え,さらに学びの段階性や使いやすさも考慮して次の点を重点的に改訂した.
・平衡機能検査の一部が2018年に言語聴覚士法に追加されたため,耳鳴やめまいに関する理論と検査を加えた.
・非典型的あるいは特殊な難聴については「特異的な聴覚障害」として新規に章立てし,内容も更新した.
・臨床における実践的な学習・指導に有用となるよう,非典型例を含む実際の事例について,評価サマリーと指導サマリーを加えた.
・用語の記載については執筆者の考えを尊重し,前版と同様にあえて統一しなかった.
・今版の執筆者として,言語聴覚士養成校や臨床現場で活躍されている中堅の方々に加わっていただいた.

 初版と第2版の執筆にご尽力いただいた先生方には心より感謝申し上げる.長年,聴覚障害領域の学問的礎を築き,言語聴覚士を目指す方々の模範であられたことに改めて敬意を表したい.また新たに執筆に加わってくださった方々には,お力添えに感謝申し上げるとともに,今後のご活躍を祈念する.
 最後に,編集企画から校正・出版に至るまで,忍耐強くご尽力をいただいた医学書院編集部の皆さまに深く感謝申し上げる.

 2021年1月
 編集
 城間将江
 鈴木恵子
 小渕千絵

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第1章 聴覚と聴覚障害
 1 聴覚の機能
  A 感覚のもつ意味
  B 聴覚のはたらき
  C 聞こえとことば
  D 聴覚の発達
 2 聴覚障害とは何か
  A 用語の定義
  B 難聴の発症率と分類
  C 「聞こえる世界」と「聞こえにくい世界」
  D 聴覚障害とライフステージ
 3 聴覚障害のリハビリテーションの歴史と現状
  A 歴史
  B 聴覚障害のリハビリテーションの現状と課題
 4 聴覚障害のリハビリテーションの概要
  A 聴覚障害のリハビリテーションの流れと言語聴覚士の役割
  B 聴覚障害のリハビリテーション/ハビリテーションの内容と構成

第2章 音と聴覚
 1 音の物理的特性
  A 音波の性質
  B 音の波形
  C 音圧とデシベル尺度
  D 音の周波数とスペクトル
 2 聴覚の心理的特性
  A 聴覚閾値と聴野
  B 音の大きさ(ラウドネス)
  C 音の高さ
  D 音の弁別
  E マスキング
  F 音色
  G 騒音
  H 両耳聴
  I ことばの知覚・認知

第3章 聴覚と平衡機能の医学
 1 聴覚の発生
  A 聴覚器官の発生
  B 聴覚野の形成
 2 聴覚器官の解剖と生理
  A 解剖
  B 聴覚生理と語音聴取
  C 両耳聴
 3 聴覚の病理
  A 末梢感覚器官の疾患
  B 中枢聴覚伝導路の疾患
  C 遺伝性難聴
  D 聴力の変動
  E 耳鳴
 4 平衡器
  A 発生と解剖
  B 平衡の生理と機能
  C 平衡障害(めまい)疾患

第4章 聴覚・平衡機能検査
 1 聴覚・平衡機能検査の概要
  A 聴覚・平衡機能検査と言語聴覚士
  B 聴覚機能検査の種類
  C 検査の心得
 2 自覚的聴覚検査
  A 純音による聴覚機能検査
  B 語音による聴覚検査
 3 他覚的聴覚検査
  A インピーダンスオージオメトリー
  B 耳管機能検査
  C 耳音響放射(OAE)
  D 電気生理学的検査
 4 平衡機能検査
  A 平衡機能検査とは
  B 平衡機能検査の種類
  C 体平衡機能検査(前庭-脊髄反射)
  D 眼振検査(前庭-眼反射)
  E 迷路刺激検査
 5 乳幼児聴力検査
  A 検査の意義
  B 検査の特殊性と留意点
  C 乳幼児聴力検査の実際

第5章 聴覚補償機器
 1 補聴器
  A 構造と機能
  B 適合の理論と実際
 2 人工聴覚機器
  A 種類
  B 構造と機能,適合の理論と実際
  C 幼児期の人工内耳マッピング
 3 補聴援助システム
  A 音響環境と音響知覚
  B 補聴援助システムとは何か
  C 聴覚を活用した補聴援助システム
  D 感覚代行機器として便利な日常生活用具

第6章 成人難聴のリハビリテーション
 1 成人難聴のリハビリテーションの概要
  A 成人期の聴覚障害の特徴
  B 言語聴覚士の専門性と成人難聴のリハビリテーション
 2 成人難聴の評価
  A 評価の方法と内容
  B 聴覚機能にかかわる評価
  C 障害認識にかかわる評価
  D コミュニケーションにかかわる評価
  E 評価のまとめ
  [事例1]成人難聴 評価サマリー
 3 成人難聴の指導・支援
  A 指導・支援の観点
  B 中途難聴における補聴の課題
  C 補聴器適合の進展と障害認識の変容
  D 語音聴取改善のための聴取訓練
  E 語音聴取における視覚情報の活用
  F コミュニケーションにかかわる支援
  G 中途難聴の聴覚リハビリテーションが目指すもの
  H 難聴発症時期別の対応
  [事例2]成人難聴 指導サマリー

第7章 小児難聴のハビリテーション
 1 小児難聴のハビリテーションの概要
  A 難聴児のハビリテーションの目的と考え方
  B 小児難聴のハビリテーションの流れと構成
  C 小児期の発達と難聴の影響
 2 小児難聴の評価
  A 聴覚評価
  B コミュニケーション発達評価
  C 言語評価
  D 発声発語評価
  E 認知発達検査
  F 情緒・社会・精神衛生の評価
  G 書記言語力評価
  H まとめと展望
  [事例3]小児難聴 評価サマリー
 3 小児難聴の指導・支援
  A 指導・支援の観点
  B 聴覚活用と聴覚学習
  C 小児期における選択の内容と条件
  D 難聴児の音声言語習得上の課題
  E ハビリテーションプログラムの立案
  F 小児の発達段階と学習方法
  G 言語指導段階
  H 障害認識へのアプローチ
  I 軽度・中等度難聴児の課題
  J 人工内耳装用児の課題
 4 学校教育における指導と課題
  A 聴覚障害児教育の歴史
  B 指導体制
  C 学校教育における聴覚障害児指導の課題
  D 学校教育における言語聴覚士の役割と課題
  [事例4]小児難聴(乳児期) 指導サマリー
  [事例5]小児難聴(幼児期) 指導サマリー
  [事例6]小児難聴(学童期) 指導サマリー

第8章 特異的な聴覚障害
 1 一側性難聴
  A 概要
  B 原因
  C 対策
 2 中枢性難聴
  A 概要
  B 原因と病態
  C 原因疾患
  D 検査と対応
 3 オーディトリー・ニューロパチー(ANSD)
  A 概要
  B 原因と病態
  C 診断
  D 対策
 4 聴覚情報処理障害(APD)
  A 概要
  B 症状
  C 対策
 5 機能性難聴
  A 概要
  B 検査
  C 診断
  D 対策
 6 視覚聴覚二重障害
  A 概要
  B 支援の留意点
 7 難聴を伴う重複障害
  A 概要
  B 検査・評価
  C 補聴器装用指導とコミュニケーション発達の援助
  [事例7]重複障害(難聴・発達障害) 指導サマリー
  [事例8]重複障害(難聴・脳性麻痺) 指導サマリー

第9章 情報保障と社会資源
 1 情報保障
  A 情報保障とは何か
  B 情報保障の実際
 2 聴覚障害と社会資源
  A 障害者施策の背景
  B 聴覚障害にかかわる社会福祉制度
  C 聴覚障害にかかわる健診制度

参考図書
索引

Note一覧
 1.speech(話しことば)とlanguage(言語)
 2.反応閾値
 3.リハビリテーションとハビリテーション
 4.キュードスピーチ
 5.音圧と音圧レベル
 6.デシベル尺度
 7.騒音計
 8.周波数選択性
 9.時間分解能
 10.鼓室形成術
 11.6cm3カプラ
 12.音場検査
 13.マスキングに用いる雑音の種類
 14.TRT(耳鳴順応療法)
 15.前庭眼反射
 16.眼振計
 17.先天性眼振
 18.カロリックテストの刺激条件
 19.人工聴覚機器とMRI撮影
 20.人工内耳の歴史
 21.プロモントリーテスト
 22.人工内耳施設基準
 23.蝸牛の骨化・線維化
 24.神経線維腫症2型(NF2)
 25.三項的相互行為フレーム
 26.インクルーシブ教育
 27.合理的配慮
 28.特別支援教育コーディネーター
 29.hidden hearing loss
 30.障害者権利条約における「盲ろう」
 31.制度運用上の「盲ろう」
 32.弱視
 33.盲ろう者向け通訳・介助者
 34.盲ろう者に使用可能な機器
 35.ノーマライゼーションの理念
 36.電話リレーサービス/遠隔手話サービス
 37.乳幼児期の健康診査

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本書の記述の正確性につきましては最善の努力を払っておりますが、この度弊社の責任におきまして、下記のような誤りがございました。お詫び申し上げますとともに訂正させていただきます。

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    2021.03.04