発声発語障害学 第3版

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第3版では新たな取り組みとして、冒頭に「発声発語障害学の基礎知識」と題する章を設け、本書で取り扱う分野の基盤となる知識をわかりやすくまとめます。また、各項目の冒頭に設けた“学修の到達目標”は、日本言語聴覚士協会作成の「言語聴覚士養成教育ガイドライン」(2018年)の内容を踏まえており、学生が学びを進めるうえでの指針となります。

*「標準言語聴覚障害学」は株式会社医学書院の登録商標です。

シリーズ 標準言語聴覚障害学
シリーズ監修 藤田 郁代
編集 城本 修 / 原 由紀
発行 2021年02月判型:B5頁:344
ISBN 978-4-260-04289-5
定価 5,500円 (本体5,000円+税)

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冒頭の第1章で発声発語障害学に必要な解剖生理学的知識および音声学的知識について解説することで,本書全体を通じて常に解剖生理学的基盤や音声学的基盤に立ち返りながら学習を進められるように工夫しました。また,脳性麻痺や発語失行,クラタリングなどについても新たに項目を設け,解説を充実させています。

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第3版の序

 早いもので,本書第2版の刊行から6年が,初版からは10年が経過した.この間に多くの編者や執筆者が勇退された.そこで,この10年を契機に,第3版では執筆体制を思い切って刷新し,内容も体裁も一新することにした.
 その大きな特徴は,まず第1章で発声発語障害学に必要な解剖生理学的知識と音声学的知識について頁を割いて解説し,音声障害などの各発声発語障害について新しく学修しながらも,常に解剖生理学的基盤や音声学的基盤に立ち返ることができるように構成を工夫したことである.さらに各章や節ごとに学修の到達目標を掲げたので,重要なポイントもおわかりいただけると思う.
 また,この10年の間に発声発語障害の評価法や治療法も飛躍的な発展を遂げた.したがって,この新しい評価法や治療法を実際に展開している第一線の臨床家と指導者にこの第3版では執筆をお願いした.どの章でもこれまでよりも頁数を割いて具体的な手順を加筆していただいており,少しでも臨床に役立つように心がけた.
 そして,すべてが新しく難しい知識ばかりではなく,最低限,覚えておいてほしい基礎知識についてもしっかり理解したうえで学んでいけるように,各執筆者には丁寧な解説をお願いした.このように編者が欲張ったせいか,各執筆者にはかなりご負担をおかけすることとなった.しかしその分,基礎知識と最新知識をバランスよくコンパクトにまとめていただけたと自負している.
 さらに各章の末尾には,障害ごとの事例報告の執筆をお願いした.学生諸君には,実物大の発声発語障害の事例を活き活きとイメージしてもらいたいと考えている.また,臨床実習などで事例報告を作成する際にもぜひ参考にしてもらいたいと思う.
 また第3版では,これまであまり取り上げられていなかった脳性麻痺や発語失行,クラタリングなどについても新しく項目を設けることにした.新しい知識にぜひとも触れてもらいたい.
 以上のように,わかりやすく丁寧な解説というだけでなく,各執筆者の臨床や研究にかける熱き思いも汲み取っていただける内容にもなったのではないかと期待している.編者の自画自賛といわれるかもしれないが,何度も編集会議や執筆者とのやりとりを重ねることで,学生の視点で理解できるか,検討を重ねたつもりである.学生諸君の忌憚のないご意見をうかがえれば望外の喜びである.

 2020年12月
 編集
 城本 修
 原 由紀

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第1章 発声発語障害学の基礎知識
 1 発声発語器官の基本構造と機能
  A 呼吸器の基本構造と機能
  B 基本的な呼吸機能検査(肺気量と呼吸調節)
  C 喉頭の基本構造と機能
  D 基本的な喉頭の検査
  E 鼻腔・咽頭の基本構造と機能
  F 基本的な鼻腔・咽頭の検査
  G 口腔の基本構造と機能
  H 基本的な口腔の検査
 2 発声発語器官の病態と医学的診断
  A 呼吸器の病態と医学的診断
  B 喉頭の病態と医学的診断
  C 鼻腔・咽頭の病態と医学的診断
  D 口腔の病態と医学的診断
  E 発声発語器官に関与する先天性疾患とがん
 3 発声発語器官に関与する神経系の基本構造と機能
  A 発声発語器官に関与する神経系の基本構造と機能
  B 発声発語器官に関与する基本的な神経学的検査
  C 発声発語器官に関与する神経疾患の病態
 4 音声の産生と知覚
  A 音声の産生と知覚,加齢変化
  B 日本語の音韻・構音と音声知覚
  C 音韻発達と構音発達および加齢変化

第2章 音声障害
 1 音声障害の症状とその原因(発症メカニズム)
  A 声の高さ,強さ,質,持続の異常
  B 声の特殊な異常(二重声,声のふるえ)
  C 声帯組織の器質的病変
  D 声帯運動の異常
  E 声帯組織の著変のない音声障害
  F その他の音声障害
 2 音声障害の病態
  A 声帯組織の器質的病変
  B 声帯運動の異常
  C 声帯組織の著変のない音声障害
 3 音声障害の関連障害
  A 発話障害
  B 呼吸障害
  C 聴覚障害
  D 内分泌異常
  E 精神疾患など
 4 音声障害の評価診断
  A 評価診断の原則と流れ
  B 医師が行う音声障害の評価診断とその意味
  C 言語聴覚士が行う音声障害の評価診断
  D 音声障害の評価診断の解釈
 5 音声障害の治療
  A 音声障害の治療(医学的治療と行動学的治療)
  B 行動学的治療
  C 事例報告と報告書の作成

第3章 発話障害(構音障害と発語失行)
 1 発話障害の概念と分類
  A 発話障害の基本概念
  B 小児の発話障害の原因と分類
  C 成人の発話障害の原因と分類
 2 発話障害の評価と訓練
  A 小児の発話障害の評価と訓練
  B 成人の発話障害の評価と訓練
  C 歯科補綴装置の利用
  D 拡大・代替コミュニケーション
  E 脳性麻痺による発話障害
  F 事例報告と報告書の作成

第4章 流暢性障害(吃音)
 1 流暢性障害(吃音)の概念と分類
  A 流暢性障害の基本概念
  B 吃音の発症と進展のメカニズム
 2 流暢性障害の評価診断
  A 評価診断の原則と流れ
  B 評価の実際
 3 流暢性障害の治療
  A 治療の原則と流れ
  B 幼・小児期の発達性吃音の治療
  C 思春期・成人期の吃音の治療
  D セルフヘルプグループなどとの連携
  E クラタリングの評価と治療
  F 事例報告と報告書の作成

参考図書
索引

Note 一覧
 1.食道入口部
 2.音声
 3.喉頭麻痺
 4.頭頸部がん切除後の再建
 5.「音」の記録
 6.知覚バイアス
 7.音声障害診療ガイドライン2018年版
 8.胃食道逆流症
 9.心因性(音声)発声障害,心因性失声症,ヒステリー性失声症の違い
 10.音声治療のエビデンス
 11.messa di voce
 12.リハビリテーション職種による気道吸引
 13.カフ圧によるトラブル
 14.喉頭摘出者の会
 15.笛式人工喉頭
 16.構音障害と音韻障害の英語圏における経緯
 17.発話運動のプランニングと発話運動のプログラミング
 18.口蓋裂児の構音発達
 19.22q11.2 欠失症候群
 20.口蓋形成術の一期法と二期法
 21.鼻咽腔閉鎖機能不全の分類
 22.口唇口蓋裂の多職種連携における言語聴覚士の役割
 23.省略,置換,歪みの記載方法
 24.口腔内圧
 25.標準的口蓋裂言語評価
 26.口腔筋機能療法(oral myofunctional therapy;MFT)
 27.患者側からの評価
 28.ICFと運動障害性構音障害
 29.PD Café
 30.言語聴覚士のための講習会
 31.患者会(友の会)
 32.最近の発語失行研究――脳血管障害と神経変性疾患における発語失行の相違
 33.脳性麻痺のタイプ
 34.脳性麻痺児の機能評価
 35.口腔運動の随意性と分離性
 36.吃音の最新研究(脳研究)
 37.吃音の最新研究(遺伝)
 38.併存する問題の評価

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