知っておきたい屈折矯正手術
すべての眼科医「必須の知識」、屈折矯正手術を徹底解説した新・定番書
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眼科診療のエキスパートを目指すための好評シリーズの1冊。近年安全性と有効性が向上した屈折矯正手術を徹底解説。屈折矯正に携わる医師に必要な最新情報はもちろん、各項目に「一般眼科医のための 患者説明のポイント」を掲載し、術前の適応アドバイスや術後ケアなど一般眼科医に役立つ内容。角膜屈折矯正・有水晶体眼内レンズ・白内障手術はもとより、オルソケラトロジーやモノビジョンなどまで網羅。すべての眼科医必携の書。
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序文
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眼科臨床エキスパートシリーズ 刊行にあたって/序
眼科臨床エキスパートシリーズ 刊行にあたって
近年,眼科学の進歩には瞠目すべきものがあり,医用工学や基礎研究の発展に伴って,新しい検査機器や手術器具,薬剤が日進月歩の勢いで開発されている.眼科医は元来それぞれの専門領域を深く究める傾向にあるが,昨今の専門分化・多様化傾向は著しく,専門外の最新知識をアップデートするのは容易なことではない.一方で,quality of vision(QOV)の観点から眼科医療に寄せられる市民の期待や要望はかつてないほどの高まりをみせており,眼科医の総合的な臨床技能には高い水準が求められている.最善の診療を行うためには常に知識や技能をブラッシュアップし続けることが必要であり,巷間に溢れる情報の中から信頼に足る知識を効率的に得るツールが常に求められている.
このような現状を踏まえ,我々は≪眼科臨床エキスパート≫という新シリーズを企画・刊行することになった.このシリーズの編集方針は,現在眼科診療の現場で知識・情報の更新が必要とされているテーマについて,その道のエキスパートが自らの経験・哲学とエビデンスに基づいた「新しいスタンダード」をわかりやすく解説し,明日からすぐに臨床の役に立つ書籍を目指すというものである.もちろんエビデンスは重要であるが,本シリーズで目指すのは,エビデンスを踏まえたエキスパートならではの臨床の知恵である.臨床家の多くが感じる日常診療の悩み・疑問へのヒントや,教科書やガイドラインには書ききれない現場でのノウハウがわかりやすく解説され,明日からすぐに臨床の役に立つ書籍シリーズを目指したい.
各巻では,その道で超一流の診療・研究をされている先生をゲストエディターとしてお招きし,我々シリーズ編集者とともに企画編集にあたっていただいた.各巻冒頭に掲載するゲストエディターの総説は,当該テーマの「骨太な診療概論」として,エビデンスを踏まえた診療哲学を惜しみなく披露していただいている.また,企画趣旨からすると当然のことではあるが,本シリーズの執筆を担うのは第一線で活躍する“エキスパート”の先生方である.日々ご多忙ななか,快くご編集,ご執筆を引き受けていただいた先生方に御礼申し上げる次第である.
本シリーズがエキスパートを目指す眼科医,眼科医療従事者にとって何らかの指針となり,目の前の患者さんのために役立てていただければ,シリーズ編者一同,これに勝る喜びはない.
2013年2月
シリーズ編集 吉村長久,後藤 浩,谷原秀信,天野史郎
序
『知っておきたい屈折矯正手術』をお届けいたします.
ご存知のように,屈折矯正手術はその安全性と有効性が向上し,今日では屈折異常の矯正手段の一つとして一般に広く認知されており,わが国でもすでに200万件以上の手術が施行されています.
屈折異常を有する人にとって屈折矯正は必須であり,屈折矯正の良否がその人のquality of lifeを大きく左右します.これは,初めて眼鏡やコンタクトレンズを装用した時の感激や,これらを破損,紛失した時の不自由さを考えれば明らかです.
それだけに,眼鏡やコンタクトレンズの装用に問題がある人や,これらの屈折矯正補助具を使用することがハンディキャップと感じる人にとって屈折矯正手術は必須の治療法であり,実際その治療に対する満足度は大変高いものがあります.その反面,屈折矯正手術で問題が生じると,眼鏡やコンタクトレンズと異なり不可逆であるだけに事態は深刻です.
わが国では,屈折矯正手術を行う眼科医とそうでない眼科医に二極化する傾向にあります.そのため,屈折矯正手術に積極的に関与していない眼科医が術前の適応のアドバイスや術後のケアで困ることも少なくないと考えられます.さらに近年,白内障手術における屈折矯正手術としての側面が益々重要になっており,トーリック眼内レンズや多焦点眼内レンズの適応や眼内レンズ度数の決定が,術後の満足度や苦情に大きく関与してきており,自分は屈折矯正手術に無関係と考えていた眼科医にとっても,屈折矯正手術の知識は必要になってきています.
屈折矯正手術の教科書は数多くありますが,一般眼科医向けのものはあまりありませんでした.そこで本書では,一般眼科医が屈折矯正手術の概論を理解し,実際の対処が容易になるようなテキストをめざしました.
執筆者には,ご自身が屈折矯正手術を行う場合に,一般眼科医からどのような症例を紹介してもらいたいか,あるいはご自身の症例が術後に一般眼科医を受診した場合に,どのように対応してもらいたいかを念頭において執筆していただきました.その結果,屈折矯正手術に関して,知っておきたい知識が簡潔にまとまって大変実践的な書に仕上がりました.
本書が,皆様の明日からの日常臨床の一助となれば望外の喜びです.
2014年10月
編集 前田直之,天野史郎
眼科臨床エキスパートシリーズ 刊行にあたって
近年,眼科学の進歩には瞠目すべきものがあり,医用工学や基礎研究の発展に伴って,新しい検査機器や手術器具,薬剤が日進月歩の勢いで開発されている.眼科医は元来それぞれの専門領域を深く究める傾向にあるが,昨今の専門分化・多様化傾向は著しく,専門外の最新知識をアップデートするのは容易なことではない.一方で,quality of vision(QOV)の観点から眼科医療に寄せられる市民の期待や要望はかつてないほどの高まりをみせており,眼科医の総合的な臨床技能には高い水準が求められている.最善の診療を行うためには常に知識や技能をブラッシュアップし続けることが必要であり,巷間に溢れる情報の中から信頼に足る知識を効率的に得るツールが常に求められている.
このような現状を踏まえ,我々は≪眼科臨床エキスパート≫という新シリーズを企画・刊行することになった.このシリーズの編集方針は,現在眼科診療の現場で知識・情報の更新が必要とされているテーマについて,その道のエキスパートが自らの経験・哲学とエビデンスに基づいた「新しいスタンダード」をわかりやすく解説し,明日からすぐに臨床の役に立つ書籍を目指すというものである.もちろんエビデンスは重要であるが,本シリーズで目指すのは,エビデンスを踏まえたエキスパートならではの臨床の知恵である.臨床家の多くが感じる日常診療の悩み・疑問へのヒントや,教科書やガイドラインには書ききれない現場でのノウハウがわかりやすく解説され,明日からすぐに臨床の役に立つ書籍シリーズを目指したい.
各巻では,その道で超一流の診療・研究をされている先生をゲストエディターとしてお招きし,我々シリーズ編集者とともに企画編集にあたっていただいた.各巻冒頭に掲載するゲストエディターの総説は,当該テーマの「骨太な診療概論」として,エビデンスを踏まえた診療哲学を惜しみなく披露していただいている.また,企画趣旨からすると当然のことではあるが,本シリーズの執筆を担うのは第一線で活躍する“エキスパート”の先生方である.日々ご多忙ななか,快くご編集,ご執筆を引き受けていただいた先生方に御礼申し上げる次第である.
本シリーズがエキスパートを目指す眼科医,眼科医療従事者にとって何らかの指針となり,目の前の患者さんのために役立てていただければ,シリーズ編者一同,これに勝る喜びはない.
2013年2月
シリーズ編集 吉村長久,後藤 浩,谷原秀信,天野史郎
序
『知っておきたい屈折矯正手術』をお届けいたします.
ご存知のように,屈折矯正手術はその安全性と有効性が向上し,今日では屈折異常の矯正手段の一つとして一般に広く認知されており,わが国でもすでに200万件以上の手術が施行されています.
屈折異常を有する人にとって屈折矯正は必須であり,屈折矯正の良否がその人のquality of lifeを大きく左右します.これは,初めて眼鏡やコンタクトレンズを装用した時の感激や,これらを破損,紛失した時の不自由さを考えれば明らかです.
それだけに,眼鏡やコンタクトレンズの装用に問題がある人や,これらの屈折矯正補助具を使用することがハンディキャップと感じる人にとって屈折矯正手術は必須の治療法であり,実際その治療に対する満足度は大変高いものがあります.その反面,屈折矯正手術で問題が生じると,眼鏡やコンタクトレンズと異なり不可逆であるだけに事態は深刻です.
わが国では,屈折矯正手術を行う眼科医とそうでない眼科医に二極化する傾向にあります.そのため,屈折矯正手術に積極的に関与していない眼科医が術前の適応のアドバイスや術後のケアで困ることも少なくないと考えられます.さらに近年,白内障手術における屈折矯正手術としての側面が益々重要になっており,トーリック眼内レンズや多焦点眼内レンズの適応や眼内レンズ度数の決定が,術後の満足度や苦情に大きく関与してきており,自分は屈折矯正手術に無関係と考えていた眼科医にとっても,屈折矯正手術の知識は必要になってきています.
屈折矯正手術の教科書は数多くありますが,一般眼科医向けのものはあまりありませんでした.そこで本書では,一般眼科医が屈折矯正手術の概論を理解し,実際の対処が容易になるようなテキストをめざしました.
執筆者には,ご自身が屈折矯正手術を行う場合に,一般眼科医からどのような症例を紹介してもらいたいか,あるいはご自身の症例が術後に一般眼科医を受診した場合に,どのように対応してもらいたいかを念頭において執筆していただきました.その結果,屈折矯正手術に関して,知っておきたい知識が簡潔にまとまって大変実践的な書に仕上がりました.
本書が,皆様の明日からの日常臨床の一助となれば望外の喜びです.
2014年10月
編集 前田直之,天野史郎
目次
開く
第1章 総説
屈折矯正手術の診療概論
1 屈折矯正の意義と重要性
2 屈折矯正手術の分類と術式の変遷
3 屈折矯正手術に必要な知識
4 屈折矯正法をどう選択するか
5 屈折矯正手術の手術成績
第2章 角膜屈折矯正手術
I エキシマレーザー手術
A LASIK
1 LASIKをめぐる現況と課題
2 手術適応の決定
3 手術の実際
4 術直後の様子
5 術後の対応
6 LASIKに関するQ&A
B サーフェスアブレーション
1 サーフェスアブレーション
2 手術適応の決定
3 手術の実際
4 術後の対応
5 術後長期経過
Topics
PTKの現況
touch upとしてのLASIK
topo-linked LASIKによる不正乱視治療
II フェムト秒レーザー手術
A FLEx
1 手術適応の決定
2 手術の実際
3 術後の対応
4 FLExの臨床成績
B SMILE
1 手術適応の決定
2 手術の実際
3 術後の対応
III 角膜切開術
A LRI
1 LRIをめぐる現況と課題
2 手術適応の決定
3 手術の実際
4 術後の対応
5 手術データ・症例提示
Topics
フェムト秒レーザーを用いたAK
IV 角膜形成術
A 円錐角膜への角膜クロスリンキング
1 角膜クロスリンキングの歴史と原理
2 手術適応の決定
3 手術の実際
4 術後の対応
5 近未来の角膜クロスリンキング
6 角膜クロスリンキングに関するQ&A
Topics
円錐角膜以外の角膜クロスリンキング
B conductive keratoplasty
1 手術適応の決定
2 手術方法
3 術式の変遷
4 手術成績
5 conductive keratoplasty(CK)の利点・欠点
V 角膜インレイ
A 角膜内リング
1 角膜内リング
2 手術適応の決定
3 手術の実際
4 術後の対応
5 角膜内リングに対するQ&A
B 老視用角膜インレイ
1 老眼治療という新しいカテゴリー
2 老視用角膜インレイの種類
3 KAMRA®
4 RainDrop®
5 術後経過観察とポイント
6 術後合併症とその対策
7 老視矯正手術における角膜インレイの立ち位置
第3章 有水晶体眼内レンズ手術
I 後房型有水晶体眼内レンズ
1 後房型有水晶体眼内レンズICL
2 ICLを行うためには
3 手術適応の決定
4 手術の実際
5 術後の対応
II 虹彩支持型有水晶体眼内レンズ
1 虹彩支持型有水晶体眼内レンズ
2 手術適応の決定
3 手術の実際
4 術後の対応
III 隅角支持型有水晶体眼内レンズ
1 隅角支持型有水晶体眼内レンズの歴史
2 隅角支持型有水晶体眼内レンズ(AcrySof®Cachet®)
3 手術適応の決定
4 手術の実際
5 術後の対応
第4章 プレミアム白内障手術
I トーリック眼内レンズ
1 手術適応の決定
2 手術の実際
3 術後の対応
4 今後の展望
II 多焦点眼内レンズ
1 手術適応の決定
2 手術の実際
3 術後の対応
Topics
セグメント型屈折型多焦点眼内レンズ
ピギーバック専用眼内レンズ(Add-Onレンズ)
III フェムト秒レーザー白内障手術
1 フェムト秒レーザー白内障手術の現状
2 手術適応の決定
3 手術の実際
4 術後診察と注意点
5 今後の課題と展望
第5章 屈折矯正手術後の白内障手術・眼鏡とコンタクトレンズの処方
I 屈折矯正手術後の白内障手術
1 LASIK後眼の見分け方
2 知っておきたい問題点
3 IOL度数計算方法
II 屈折矯正手術後の眼鏡処方
1 矯正不足に対する処方
2 過矯正に対する処方
3 眼精疲労に対する処方
4 屈折矯正手術後に不具合を訴えて来院した症例
5 屈折矯正手術の問題点
6 屈折矯正手術前に注意を要する症例
III 屈折矯正手術後のコンタクトレンズ処方
1 角膜不正乱視を伴わないケース
2 角膜不正乱視を伴うケース
3 屈折矯正手術後に対するハードコンタクトレンズ処方
第6章 オルソケラトロジーレンズ・近視進行予防
I オルソケラトロジーレンズの適応
1 他の屈折矯正法との違い
2 オルソケラトロジーの適応
3 実践における重要ポイント
4 成否のカギを握る患者背景
5 処方者の条件
6 費用
II オルソケラトロジーレンズの処方
1 日本のオルソケラトロジーの現状
2 オルソケラトロジーによる屈折矯正原理
3 レンズ処方の実際
4 チェックポイントとその対処法
III 近視予防の現況
1 近視の現況
2 近視進行予防の現況
3 薬物治療
4 光学的理論による近視進行抑制法
第7章 屈折矯正手術以外での老視矯正
I 白内障手術におけるモノビジョン
1 眼内レンズによるモノビジョン法
2 手術前の検査
3 モノビジョン法の適応
4 手術
5 術後検査と臨床成績
II コンタクトレンズにおけるモノビジョン
1 コンタクトレンズを用いたモノビジョン
2 モノビジョンに使用するコンタクトレンズ
3 モノビジョンの実際
4 モノビジョンの処方例
5 コンタクトレンズによるモノビジョンの利点と問題
III 多焦点コンタクトレンズ処方のコツ
1 さまざまな多焦点コンタクトレンズ
2 処方のポイント
IV 近用眼鏡処方のコツ
1 近用眼鏡処方の難しさ
2 近用眼鏡処方の手順とポイント
第8章 眼鏡・コンタクトレンズの不満と解決法
I 眼鏡の不満と解決法
II ハードコンタクトレンズの不満と解決法
1 ハードコンタクトレンズの現状
2 ハードコンタクトレンズの処方に影響を与える諸因子
3 ハードコンタクトレンズに対する不満と解決法
III ソフトコンタクトレンズの不満と解決法
1 ソフトコンタクトレンズの現状
2 ソフトコンタクトレンズに対する不満と解決法
和文索引
欧文・数字索引
屈折矯正手術の診療概論
1 屈折矯正の意義と重要性
2 屈折矯正手術の分類と術式の変遷
3 屈折矯正手術に必要な知識
4 屈折矯正法をどう選択するか
5 屈折矯正手術の手術成績
第2章 角膜屈折矯正手術
I エキシマレーザー手術
A LASIK
1 LASIKをめぐる現況と課題
2 手術適応の決定
3 手術の実際
4 術直後の様子
5 術後の対応
6 LASIKに関するQ&A
B サーフェスアブレーション
1 サーフェスアブレーション
2 手術適応の決定
3 手術の実際
4 術後の対応
5 術後長期経過
Topics
PTKの現況
touch upとしてのLASIK
topo-linked LASIKによる不正乱視治療
II フェムト秒レーザー手術
A FLEx
1 手術適応の決定
2 手術の実際
3 術後の対応
4 FLExの臨床成績
B SMILE
1 手術適応の決定
2 手術の実際
3 術後の対応
III 角膜切開術
A LRI
1 LRIをめぐる現況と課題
2 手術適応の決定
3 手術の実際
4 術後の対応
5 手術データ・症例提示
Topics
フェムト秒レーザーを用いたAK
IV 角膜形成術
A 円錐角膜への角膜クロスリンキング
1 角膜クロスリンキングの歴史と原理
2 手術適応の決定
3 手術の実際
4 術後の対応
5 近未来の角膜クロスリンキング
6 角膜クロスリンキングに関するQ&A
Topics
円錐角膜以外の角膜クロスリンキング
B conductive keratoplasty
1 手術適応の決定
2 手術方法
3 術式の変遷
4 手術成績
5 conductive keratoplasty(CK)の利点・欠点
V 角膜インレイ
A 角膜内リング
1 角膜内リング
2 手術適応の決定
3 手術の実際
4 術後の対応
5 角膜内リングに対するQ&A
B 老視用角膜インレイ
1 老眼治療という新しいカテゴリー
2 老視用角膜インレイの種類
3 KAMRA®
4 RainDrop®
5 術後経過観察とポイント
6 術後合併症とその対策
7 老視矯正手術における角膜インレイの立ち位置
第3章 有水晶体眼内レンズ手術
I 後房型有水晶体眼内レンズ
1 後房型有水晶体眼内レンズICL
2 ICLを行うためには
3 手術適応の決定
4 手術の実際
5 術後の対応
II 虹彩支持型有水晶体眼内レンズ
1 虹彩支持型有水晶体眼内レンズ
2 手術適応の決定
3 手術の実際
4 術後の対応
III 隅角支持型有水晶体眼内レンズ
1 隅角支持型有水晶体眼内レンズの歴史
2 隅角支持型有水晶体眼内レンズ(AcrySof®Cachet®)
3 手術適応の決定
4 手術の実際
5 術後の対応
第4章 プレミアム白内障手術
I トーリック眼内レンズ
1 手術適応の決定
2 手術の実際
3 術後の対応
4 今後の展望
II 多焦点眼内レンズ
1 手術適応の決定
2 手術の実際
3 術後の対応
Topics
セグメント型屈折型多焦点眼内レンズ
ピギーバック専用眼内レンズ(Add-Onレンズ)
III フェムト秒レーザー白内障手術
1 フェムト秒レーザー白内障手術の現状
2 手術適応の決定
3 手術の実際
4 術後診察と注意点
5 今後の課題と展望
第5章 屈折矯正手術後の白内障手術・眼鏡とコンタクトレンズの処方
I 屈折矯正手術後の白内障手術
1 LASIK後眼の見分け方
2 知っておきたい問題点
3 IOL度数計算方法
II 屈折矯正手術後の眼鏡処方
1 矯正不足に対する処方
2 過矯正に対する処方
3 眼精疲労に対する処方
4 屈折矯正手術後に不具合を訴えて来院した症例
5 屈折矯正手術の問題点
6 屈折矯正手術前に注意を要する症例
III 屈折矯正手術後のコンタクトレンズ処方
1 角膜不正乱視を伴わないケース
2 角膜不正乱視を伴うケース
3 屈折矯正手術後に対するハードコンタクトレンズ処方
第6章 オルソケラトロジーレンズ・近視進行予防
I オルソケラトロジーレンズの適応
1 他の屈折矯正法との違い
2 オルソケラトロジーの適応
3 実践における重要ポイント
4 成否のカギを握る患者背景
5 処方者の条件
6 費用
II オルソケラトロジーレンズの処方
1 日本のオルソケラトロジーの現状
2 オルソケラトロジーによる屈折矯正原理
3 レンズ処方の実際
4 チェックポイントとその対処法
III 近視予防の現況
1 近視の現況
2 近視進行予防の現況
3 薬物治療
4 光学的理論による近視進行抑制法
第7章 屈折矯正手術以外での老視矯正
I 白内障手術におけるモノビジョン
1 眼内レンズによるモノビジョン法
2 手術前の検査
3 モノビジョン法の適応
4 手術
5 術後検査と臨床成績
II コンタクトレンズにおけるモノビジョン
1 コンタクトレンズを用いたモノビジョン
2 モノビジョンに使用するコンタクトレンズ
3 モノビジョンの実際
4 モノビジョンの処方例
5 コンタクトレンズによるモノビジョンの利点と問題
III 多焦点コンタクトレンズ処方のコツ
1 さまざまな多焦点コンタクトレンズ
2 処方のポイント
IV 近用眼鏡処方のコツ
1 近用眼鏡処方の難しさ
2 近用眼鏡処方の手順とポイント
第8章 眼鏡・コンタクトレンズの不満と解決法
I 眼鏡の不満と解決法
II ハードコンタクトレンズの不満と解決法
1 ハードコンタクトレンズの現状
2 ハードコンタクトレンズの処方に影響を与える諸因子
3 ハードコンタクトレンズに対する不満と解決法
III ソフトコンタクトレンズの不満と解決法
1 ソフトコンタクトレンズの現状
2 ソフトコンタクトレンズに対する不満と解決法
和文索引
欧文・数字索引
書評
開く
屈折矯正手術の重要性から実践までを丁寧に解説
書評者: 坪田 一男 (慶大教授・眼科学)
《眼科臨床エキスパート》シリーズの一冊として発刊された前田直之先生,天野史郎先生編集の『知っておきたい屈折矯正手術』は,現代の屈折矯正手術の最先端が詳しく解説された大変勉強になる本である。
先般,LASIKに関して消費者庁より非科学的なネガティブな報道がなされ,現在,わが国においては屈折矯正手術に関する正しい理解が得られていないことに大変危惧を感じている。欧米では屈折矯正手術が眼科診療の25%以上の重要度を持っており,患者のニーズに応え満足度の高い診療を提供するためには屈折矯正手術は欠かせない分野である。この本は,屈折矯正手術の重要性から実践までが丁寧に解説された素晴らしいテキストブックである。
本の構成だが,まず第1章が総説から始まり,第2章に角膜屈折矯正手術についてエキシマレーザーによるLASIK,そして最近実用化されたフェムト秒レーザーによるFLExやSMILE,そして従来からの角膜切開術や角膜形成術についても詳しく述べられている。さらに,角膜内リングや老視用角膜インレイなど,まだ導入されたばかりの新しい技術についてもしっかりと解説されており,これほどアップデートな教科書は今他に例がないであろう。
第3章では,有水晶体眼内レンズについて,後房型,虹彩支持型,隅角支持型と全てのレンズをカバーしており,それぞれの効果と合併症についてもしっかりと網羅している。
第4章としてプレミアム白内障手術を取り上げており,トーリック眼内レンズ,多焦点眼内レンズについて現在のアップデートが良く書かれている。また,今後新しい技術として普及していくであろうフェムト秒レーザーによる白内障手術についても詳しく述べられているのが興味深い。
第5章では,屈折矯正手術後の眼鏡とコンタクトレンズの処方について書かれている。通常の屈折矯正手術の教科書ではあまり触れられない分野であるが,本書の大変ユニークな点である。一般の開業医は屈折矯正手術を行うというより,屈折矯正手術後の患者を診ることが多いと思われるが,そのような診療の実際において大変役立つ内容となっている。
第6章は,現在注目されているオルソケラトロジーの近視進行予防についての議論が取り上げられている。現在オルソケラトロジーが単に日中の裸眼視力の実現のみならず,近視進行の予防に寄与しているという興味深い点について詳しく書かれている。
第7章は,屈折矯正手術以外での老視矯正,そして第8章で眼鏡およびコンタクトレンズの不満と解決法など,屈折矯正手術ばかりでなく,屈折矯正手術の周辺の技術や動向についても触れられているのが興味深い。
この本は白内障前後の屈折矯正の問題から,LASIK,そして最先端のフェイキックIOLなど,全ての屈折矯正手術を網羅していると言える。レジデントから角膜専門医はもとより,実地医家の先生方にとっても大変役に立つと思われる。また,手術という名前の本であるが,オルソケラトロジーやコンタクトレンズについても屈折矯正という視点から最先端の情報を提供しており,この一冊で屈折矯正における最先端の情報を全て網羅しているといっても過言ではないほどに優れた本である。
“知らない”では済まされない必須知識がまとまった実践書
書評者: 井上 幸次 (鳥取大教授・視覚病態学)
屈折矯正手術は眼科の中で極めて特異な位置を占めており,外から見ると眼科を象徴するような手術であるにもかかわらず,一般の眼科医からは非常に遠い手術である。何より自分で屈折矯正手術を行っている医師が圧倒的に少ない。それにもかかわらず,LASIKをはじめとした手術の広がりによって,日常臨床の場で一般の眼科医が屈折矯正手術に関連した患者さんに接する機会がどんどん増えており,術後の患者さんの経過観察や,手術を希望する患者さんの相談に応じなければならない。そういう状況の中で,本書のような屈折矯正手術を網羅的にまとめた本が出版されたことは大変時宜にかなうものである。
本書は,極めて実践的に,屈折矯正手術の現状をまとめた本であり,書いてある通り行えば,明日にでもできるのではないかと思われるほど具体的に実際のやり方をまとめてある。屈折矯正手術を現在行っている人にも,これから始める人にも大きな指針となるのではないか。手術の場合,つい手術そのものにだけ注意が行きがちだが,本書では,術前の適応や術後の処方・経過観察についても多くのページが割かれている。例えば,サーフェスアブレーションやクロスリンキングのパートは際立ってわかりやすい。また,オルソケラトロジーではレンズごとに解説が成されている。一部に詳し過ぎるがために,あまりに専門的だったり(トーリック眼内レンズでの波面センサー使用など),たくさんの方法が列挙されていてかえって迷わされたり(LAISK眼のIOL計算など)するところがあるものの,実践書として非常に高いレベルにある。
また,屈折矯正手術には欠点もあり,それも十分に記載されているところが,本書の信頼性を高めている。よく読むと,Epi-LASIKやLASEKにはあまり意味がない(結局はPRKと同じ)ことがよくわかる。最新の方法であるSMILEにも種々の知られざる欠点があることも述べられており,クロスリンキングの屈折矯正効果は期待できないこと,さまざまなタイプの角膜混濁を生じることもわかる。「多焦点レンズは,利点と欠点を有するレンズ」との記載があるが,これは非常にニュートラルな表現で,本書の特徴をよく表したフレーズである。
また,屈折矯正手術と関連した眼鏡処方,コンタクトレンズ処方,近視予防などについても網羅されており,ところどころにはさまれた「一般眼科医のための 患者説明のポイント」とともに,一般眼科医のことも十分考慮された内容となっている。
本書によって,「もう“知らない”では済まされない屈折矯正手術」の「必須の知識」が多くの眼科医に伝わればと思う。ただ,非常に実践的で先進的な内容であるだけに,出版された瞬間からどんどん古くなっていくうらみがあるので,これだけの充実した内容だけに何年かごとに改訂されていけばと思う。言い換えれば,改訂版を求めさせるだけのクオリティのある本ということになるのである。
要点が網羅された手元に置いておきたい一冊
書評者: 所 敬 (東京医歯大名誉教授)
一昔前の屈折異常矯正法は眼鏡とコンタクトレンズであったが,近年,屈折矯正手術やオルソケラトロジーが加わり選択の範囲が広くなった。このうち,屈折矯正手術の進歩は著しく,初期の角膜前面放射状切開術は影をひそめて,エキシマレーザーを使用したLASIKが主流になってきている。さらに,この術式はフェムトセカンドレーザーを使用したり,老視手術にも使われたりしている。以前には強度近視の矯正は分厚い眼鏡レンズやコンタクトレンズで矯正されたが,十分に視力を出すことができなかった。しかし,有水晶体眼内レンズで良好な矯正視力を出すことができるようになった。さらに,白内障手術後に挿入する眼内レンズの度数によって,屈折度を自由に決めることが可能になった。このように屈折異常矯正法のオプションが増えてきたことは,屈折異常者への福音である。しかし,その進歩は著しくその詳細を知ることは困難を極める。
本書は8章からなる。第1章は屈折矯正手術の現状を知るためにぜひとも読んでいただきたい章である。第2章は現在使用されている角膜屈折矯正手術の詳細が記載されている。第3章と第4章は眼内レンズによる屈折矯正手術であるが,第3章では強度近視などに行う有水晶体眼内レンズ,第4章は白内障手術後に使用する特殊レンズであるトーリック眼内レンズや多焦点眼内レンズの適応などについて記載されている。第5章は屈折矯正手術後の白内障手術前の眼内レンズの度数の決め方と屈折矯正手術後の眼鏡とコンタクトレンズの処方法の記載があるが,後者は通常の処方と違うので大いに役立つ。第6章は,もう一つの屈折矯正法としてのオルソケラトロジーについてで,この方法は近視進行防止に役立つとの報告もあり注目されている。また,この章では近視進行予防としての眼鏡やコンタクトレンズ処方についても記載されている。第7章では屈折矯正手術と違い,老視の眼鏡やコンタクトレンズによる矯正,また白内障手術後のモノビジョン法の記載がある。第8章では眼鏡・コンタクトレンズ矯正の不満とその解決法があり,この章は日常臨床で困ったときにひもとくとよい。
どの章も図表を用いてわかりやすく要点が示されている。執筆者は多数の屈折矯正手術を経験された方々,また,眼鏡,コンタクトレンズの処方に精通された方々で,題名のごとく「知っておきたい」要点が網羅されている。
本書は屈折矯正手術を軸としてその周辺領域をとらえた書であり,また,各章も独立して必要なときに必要な個所を読むのにも適した書である。
書評者: 坪田 一男 (慶大教授・眼科学)
《眼科臨床エキスパート》シリーズの一冊として発刊された前田直之先生,天野史郎先生編集の『知っておきたい屈折矯正手術』は,現代の屈折矯正手術の最先端が詳しく解説された大変勉強になる本である。
先般,LASIKに関して消費者庁より非科学的なネガティブな報道がなされ,現在,わが国においては屈折矯正手術に関する正しい理解が得られていないことに大変危惧を感じている。欧米では屈折矯正手術が眼科診療の25%以上の重要度を持っており,患者のニーズに応え満足度の高い診療を提供するためには屈折矯正手術は欠かせない分野である。この本は,屈折矯正手術の重要性から実践までが丁寧に解説された素晴らしいテキストブックである。
本の構成だが,まず第1章が総説から始まり,第2章に角膜屈折矯正手術についてエキシマレーザーによるLASIK,そして最近実用化されたフェムト秒レーザーによるFLExやSMILE,そして従来からの角膜切開術や角膜形成術についても詳しく述べられている。さらに,角膜内リングや老視用角膜インレイなど,まだ導入されたばかりの新しい技術についてもしっかりと解説されており,これほどアップデートな教科書は今他に例がないであろう。
第3章では,有水晶体眼内レンズについて,後房型,虹彩支持型,隅角支持型と全てのレンズをカバーしており,それぞれの効果と合併症についてもしっかりと網羅している。
第4章としてプレミアム白内障手術を取り上げており,トーリック眼内レンズ,多焦点眼内レンズについて現在のアップデートが良く書かれている。また,今後新しい技術として普及していくであろうフェムト秒レーザーによる白内障手術についても詳しく述べられているのが興味深い。
第5章では,屈折矯正手術後の眼鏡とコンタクトレンズの処方について書かれている。通常の屈折矯正手術の教科書ではあまり触れられない分野であるが,本書の大変ユニークな点である。一般の開業医は屈折矯正手術を行うというより,屈折矯正手術後の患者を診ることが多いと思われるが,そのような診療の実際において大変役立つ内容となっている。
第6章は,現在注目されているオルソケラトロジーの近視進行予防についての議論が取り上げられている。現在オルソケラトロジーが単に日中の裸眼視力の実現のみならず,近視進行の予防に寄与しているという興味深い点について詳しく書かれている。
第7章は,屈折矯正手術以外での老視矯正,そして第8章で眼鏡およびコンタクトレンズの不満と解決法など,屈折矯正手術ばかりでなく,屈折矯正手術の周辺の技術や動向についても触れられているのが興味深い。
この本は白内障前後の屈折矯正の問題から,LASIK,そして最先端のフェイキックIOLなど,全ての屈折矯正手術を網羅していると言える。レジデントから角膜専門医はもとより,実地医家の先生方にとっても大変役に立つと思われる。また,手術という名前の本であるが,オルソケラトロジーやコンタクトレンズについても屈折矯正という視点から最先端の情報を提供しており,この一冊で屈折矯正における最先端の情報を全て網羅しているといっても過言ではないほどに優れた本である。
“知らない”では済まされない必須知識がまとまった実践書
書評者: 井上 幸次 (鳥取大教授・視覚病態学)
屈折矯正手術は眼科の中で極めて特異な位置を占めており,外から見ると眼科を象徴するような手術であるにもかかわらず,一般の眼科医からは非常に遠い手術である。何より自分で屈折矯正手術を行っている医師が圧倒的に少ない。それにもかかわらず,LASIKをはじめとした手術の広がりによって,日常臨床の場で一般の眼科医が屈折矯正手術に関連した患者さんに接する機会がどんどん増えており,術後の患者さんの経過観察や,手術を希望する患者さんの相談に応じなければならない。そういう状況の中で,本書のような屈折矯正手術を網羅的にまとめた本が出版されたことは大変時宜にかなうものである。
本書は,極めて実践的に,屈折矯正手術の現状をまとめた本であり,書いてある通り行えば,明日にでもできるのではないかと思われるほど具体的に実際のやり方をまとめてある。屈折矯正手術を現在行っている人にも,これから始める人にも大きな指針となるのではないか。手術の場合,つい手術そのものにだけ注意が行きがちだが,本書では,術前の適応や術後の処方・経過観察についても多くのページが割かれている。例えば,サーフェスアブレーションやクロスリンキングのパートは際立ってわかりやすい。また,オルソケラトロジーではレンズごとに解説が成されている。一部に詳し過ぎるがために,あまりに専門的だったり(トーリック眼内レンズでの波面センサー使用など),たくさんの方法が列挙されていてかえって迷わされたり(LAISK眼のIOL計算など)するところがあるものの,実践書として非常に高いレベルにある。
また,屈折矯正手術には欠点もあり,それも十分に記載されているところが,本書の信頼性を高めている。よく読むと,Epi-LASIKやLASEKにはあまり意味がない(結局はPRKと同じ)ことがよくわかる。最新の方法であるSMILEにも種々の知られざる欠点があることも述べられており,クロスリンキングの屈折矯正効果は期待できないこと,さまざまなタイプの角膜混濁を生じることもわかる。「多焦点レンズは,利点と欠点を有するレンズ」との記載があるが,これは非常にニュートラルな表現で,本書の特徴をよく表したフレーズである。
また,屈折矯正手術と関連した眼鏡処方,コンタクトレンズ処方,近視予防などについても網羅されており,ところどころにはさまれた「一般眼科医のための 患者説明のポイント」とともに,一般眼科医のことも十分考慮された内容となっている。
本書によって,「もう“知らない”では済まされない屈折矯正手術」の「必須の知識」が多くの眼科医に伝わればと思う。ただ,非常に実践的で先進的な内容であるだけに,出版された瞬間からどんどん古くなっていくうらみがあるので,これだけの充実した内容だけに何年かごとに改訂されていけばと思う。言い換えれば,改訂版を求めさせるだけのクオリティのある本ということになるのである。
要点が網羅された手元に置いておきたい一冊
書評者: 所 敬 (東京医歯大名誉教授)
一昔前の屈折異常矯正法は眼鏡とコンタクトレンズであったが,近年,屈折矯正手術やオルソケラトロジーが加わり選択の範囲が広くなった。このうち,屈折矯正手術の進歩は著しく,初期の角膜前面放射状切開術は影をひそめて,エキシマレーザーを使用したLASIKが主流になってきている。さらに,この術式はフェムトセカンドレーザーを使用したり,老視手術にも使われたりしている。以前には強度近視の矯正は分厚い眼鏡レンズやコンタクトレンズで矯正されたが,十分に視力を出すことができなかった。しかし,有水晶体眼内レンズで良好な矯正視力を出すことができるようになった。さらに,白内障手術後に挿入する眼内レンズの度数によって,屈折度を自由に決めることが可能になった。このように屈折異常矯正法のオプションが増えてきたことは,屈折異常者への福音である。しかし,その進歩は著しくその詳細を知ることは困難を極める。
本書は8章からなる。第1章は屈折矯正手術の現状を知るためにぜひとも読んでいただきたい章である。第2章は現在使用されている角膜屈折矯正手術の詳細が記載されている。第3章と第4章は眼内レンズによる屈折矯正手術であるが,第3章では強度近視などに行う有水晶体眼内レンズ,第4章は白内障手術後に使用する特殊レンズであるトーリック眼内レンズや多焦点眼内レンズの適応などについて記載されている。第5章は屈折矯正手術後の白内障手術前の眼内レンズの度数の決め方と屈折矯正手術後の眼鏡とコンタクトレンズの処方法の記載があるが,後者は通常の処方と違うので大いに役立つ。第6章は,もう一つの屈折矯正法としてのオルソケラトロジーについてで,この方法は近視進行防止に役立つとの報告もあり注目されている。また,この章では近視進行予防としての眼鏡やコンタクトレンズ処方についても記載されている。第7章では屈折矯正手術と違い,老視の眼鏡やコンタクトレンズによる矯正,また白内障手術後のモノビジョン法の記載がある。第8章では眼鏡・コンタクトレンズ矯正の不満とその解決法があり,この章は日常臨床で困ったときにひもとくとよい。
どの章も図表を用いてわかりやすく要点が示されている。執筆者は多数の屈折矯正手術を経験された方々,また,眼鏡,コンタクトレンズの処方に精通された方々で,題名のごとく「知っておきたい」要点が網羅されている。
本書は屈折矯正手術を軸としてその周辺領域をとらえた書であり,また,各章も独立して必要なときに必要な個所を読むのにも適した書である。