オキュラーサーフェス疾患
目で見る鑑別診断
これがエキスパートの「見極める力」 決定版オキュラーサーフェス疾患診断アトラス
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眼科診療のエキスパートを目指すための新シリーズの1冊。オキュラーサーフェス疾患の診断に欠かせない細隙灯顕微鏡所見の読み方、理論的な裏づけを詳述し、所見から鑑別診断への思考過程を病変別の切り口で徹底解説。前眼部OCT、コンフォーカルマイクロスコピー、角膜形状解析、multiplex PCR、マイボグラフィー、遺伝子診断など関連検査のトピックスも網羅。眼科医必携の最新ビジュアルテキスト。
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序文
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眼科臨床エキスパートシリーズ 刊行にあたって/序
眼科臨床エキスパートシリーズ 刊行にあたって
近年,眼科学の進歩には瞠目すべきものがあり,医用工学や基礎研究の発展に伴って,新しい検査機器や手術器具,薬剤が日進月歩の勢いで開発されている.眼科医は元来それぞれの専門領域を深く究める傾向にあるが,昨今の専門分化・多様化傾向は著しく,専門外の最新知識をアップデートするのは容易なことではない.一方で,quality of vision(QOV)の観点から眼科医療に寄せられる市民の期待や要望はかつてないほどの高まりをみせており,眼科医の総合的な臨床技能には高い水準が求められている.最善の診療を行うためには常に知識や技能をブラッシュアップし続けることが必要であり,巷間に溢れる情報の中から信頼に足る知識を効率的に得るツールが常に求められている.
このような現状を踏まえ,我々は≪眼科臨床エキスパート≫という新シリーズを企画・刊行することになった.このシリーズの編集方針は,現在眼科診療の現場で知識・情報の更新が必要とされているテーマについて,その道のエキスパートが自らの経験・哲学とエビデンスに基づいた「新しいスタンダード」をわかりやすく解説し,明日からすぐに臨床の役に立つ書籍を目指すというものである.もちろんエビデンスは重要であるが,本シリーズで目指すのは,エビデンスを踏まえたエキスパートならではの臨床の知恵である.臨床家の多くが感じる日常診療の悩み・疑問へのヒントや,教科書やガイドラインには書ききれない現場でのノウハウがわかりやすく解説され,明日からすぐに臨床の役に立つ書籍シリーズを目指したい.
各巻では,その道で超一流の診療・研究をされている先生をゲストエディターとしてお招きし,我々シリーズ編集者とともに企画編集にあたっていただいた.各巻冒頭に掲載するゲストエディターの総説は,当該テーマの「骨太な診療概論」として,エビデンスを踏まえた診療哲学を惜しみなく披露していただいている.また,企画趣旨からすると当然のことではあるが,本シリーズの執筆を担うのは第一線で活躍する“エキスパート”の先生方である.日々ご多忙ななか,快くご編集,ご執筆を引き受けていただいた先生方に御礼申し上げる次第である.
本シリーズがエキスパートを目指す眼科医,眼科医療従事者にとって何らかの指針となり,目の前の患者さんのために役立てていただければ,シリーズ編者一同,これに勝る喜びはない.
2013年2月
シリーズ編集 吉村長久,後藤 浩,谷原秀信,天野史郎
序
『オキュラーサーフェス疾患-目で見る鑑別診断』をお届けいたします.≪眼科臨床エキスパート≫シリーズの中の前眼部編としては最初の本となります.≪眼科臨床エキスパート≫シリーズは最近はやりの眼科関連本とは一線を画し,編者や執筆者の診療philosophyを伝えられるような骨太な眼科教科書シリーズを目ざして刊行されています.今回の『オキュラーサーフェス疾患-目で見る鑑別診断』においても,大阪大学眼科と東京大学眼科の角膜グループのドクターにほぼ執筆者を絞り,2つのグループにおける日々の診療エッセンスをふんだんに盛り込んだ内容になっています.
オキュラーサーフェス疾患の診断においては細隙灯顕微鏡所見が何と言っても重要な位置を占めます.そこで今回は,「目で見る鑑別診断」と題して,角膜疾患,結膜疾患,眼瞼疾患,涙液関連疾患について,さまざまな細隙灯顕微鏡所見の実際,その解釈の仕方,その理論的な裏付けなどを中心に詳述しています.もちろん確定診断のためには,細隙灯顕微鏡検査所見にもとづいてさまざまな検査が必要になることが多くあります.それぞれの章において,また別立てとしたTopicsにおいて,角膜形状解析,角膜内皮スペキュラー,涙液検査,微生物検査(顕微鏡,培養,PCRなど),前眼部OCT,遺伝子検査,コンフォーカルマイクロスコピーなど,種々の関連検査についても詳しく述べられています.細隙灯顕微鏡を中心としこれら各種の検査を駆使して,オキュラーサーフェス疾患をいかに鑑別診断していくか,そのphilosophyが熱く語られています.
角膜の教科書としては,海外からの物ではGrayson’s Diseases of the Cornea,Smolin and Thoft’s The Cornea,KrachmerらのCornea,国内からの物では『角膜クリニック』などが,多く読まれてきたと思います.これらの偉大な教科書に今回の本がどれだけ迫れるかは,今後の評価を待たないといけませんが,多くの先生方が『オキュラーサーフェス疾患-目で見る鑑別診断』を読まれ,オキュラーサーフェス疾患診療の神髄に触れていただくことを希望しています.
2013年9月
編集 西田幸二,天野史郎
眼科臨床エキスパートシリーズ 刊行にあたって
近年,眼科学の進歩には瞠目すべきものがあり,医用工学や基礎研究の発展に伴って,新しい検査機器や手術器具,薬剤が日進月歩の勢いで開発されている.眼科医は元来それぞれの専門領域を深く究める傾向にあるが,昨今の専門分化・多様化傾向は著しく,専門外の最新知識をアップデートするのは容易なことではない.一方で,quality of vision(QOV)の観点から眼科医療に寄せられる市民の期待や要望はかつてないほどの高まりをみせており,眼科医の総合的な臨床技能には高い水準が求められている.最善の診療を行うためには常に知識や技能をブラッシュアップし続けることが必要であり,巷間に溢れる情報の中から信頼に足る知識を効率的に得るツールが常に求められている.
このような現状を踏まえ,我々は≪眼科臨床エキスパート≫という新シリーズを企画・刊行することになった.このシリーズの編集方針は,現在眼科診療の現場で知識・情報の更新が必要とされているテーマについて,その道のエキスパートが自らの経験・哲学とエビデンスに基づいた「新しいスタンダード」をわかりやすく解説し,明日からすぐに臨床の役に立つ書籍を目指すというものである.もちろんエビデンスは重要であるが,本シリーズで目指すのは,エビデンスを踏まえたエキスパートならではの臨床の知恵である.臨床家の多くが感じる日常診療の悩み・疑問へのヒントや,教科書やガイドラインには書ききれない現場でのノウハウがわかりやすく解説され,明日からすぐに臨床の役に立つ書籍シリーズを目指したい.
各巻では,その道で超一流の診療・研究をされている先生をゲストエディターとしてお招きし,我々シリーズ編集者とともに企画編集にあたっていただいた.各巻冒頭に掲載するゲストエディターの総説は,当該テーマの「骨太な診療概論」として,エビデンスを踏まえた診療哲学を惜しみなく披露していただいている.また,企画趣旨からすると当然のことではあるが,本シリーズの執筆を担うのは第一線で活躍する“エキスパート”の先生方である.日々ご多忙ななか,快くご編集,ご執筆を引き受けていただいた先生方に御礼申し上げる次第である.
本シリーズがエキスパートを目指す眼科医,眼科医療従事者にとって何らかの指針となり,目の前の患者さんのために役立てていただければ,シリーズ編者一同,これに勝る喜びはない.
2013年2月
シリーズ編集 吉村長久,後藤 浩,谷原秀信,天野史郎
序
『オキュラーサーフェス疾患-目で見る鑑別診断』をお届けいたします.≪眼科臨床エキスパート≫シリーズの中の前眼部編としては最初の本となります.≪眼科臨床エキスパート≫シリーズは最近はやりの眼科関連本とは一線を画し,編者や執筆者の診療philosophyを伝えられるような骨太な眼科教科書シリーズを目ざして刊行されています.今回の『オキュラーサーフェス疾患-目で見る鑑別診断』においても,大阪大学眼科と東京大学眼科の角膜グループのドクターにほぼ執筆者を絞り,2つのグループにおける日々の診療エッセンスをふんだんに盛り込んだ内容になっています.
オキュラーサーフェス疾患の診断においては細隙灯顕微鏡所見が何と言っても重要な位置を占めます.そこで今回は,「目で見る鑑別診断」と題して,角膜疾患,結膜疾患,眼瞼疾患,涙液関連疾患について,さまざまな細隙灯顕微鏡所見の実際,その解釈の仕方,その理論的な裏付けなどを中心に詳述しています.もちろん確定診断のためには,細隙灯顕微鏡検査所見にもとづいてさまざまな検査が必要になることが多くあります.それぞれの章において,また別立てとしたTopicsにおいて,角膜形状解析,角膜内皮スペキュラー,涙液検査,微生物検査(顕微鏡,培養,PCRなど),前眼部OCT,遺伝子検査,コンフォーカルマイクロスコピーなど,種々の関連検査についても詳しく述べられています.細隙灯顕微鏡を中心としこれら各種の検査を駆使して,オキュラーサーフェス疾患をいかに鑑別診断していくか,そのphilosophyが熱く語られています.
角膜の教科書としては,海外からの物ではGrayson’s Diseases of the Cornea,Smolin and Thoft’s The Cornea,KrachmerらのCornea,国内からの物では『角膜クリニック』などが,多く読まれてきたと思います.これらの偉大な教科書に今回の本がどれだけ迫れるかは,今後の評価を待たないといけませんが,多くの先生方が『オキュラーサーフェス疾患-目で見る鑑別診断』を読まれ,オキュラーサーフェス疾患診療の神髄に触れていただくことを希望しています.
2013年9月
編集 西田幸二,天野史郎
目次
開く
第1章 総説
I オキュラーサーフェス疾患の診断概論
I.角膜上皮幹細胞の異常を伴う角膜上皮障害
II.角膜上皮幹細胞の異常を伴わない角膜上皮障害
III.眼表面のバリアー機能の傷害
IV.角膜混濁
V.角膜浮腫
II オキュラーサーフェス疾患における細隙灯顕微鏡の使い方
I.細隙灯顕微鏡を用いた診察における照明法
II.細隙灯顕微鏡を用いた前眼部診察の手順
第2章 角膜疾患の鑑別診断
I 点状表層角膜症の鑑別
I.点状表層角膜症の鑑別のポイント
II.角膜上方の点状表層角膜症
III.角膜中央の点状表層角膜症
IV.角膜下方の点状表層角膜症
V.びまん性の点状表層角膜症
II 角膜上皮欠損の鑑別
I.角膜上皮の生理
II.原因別にみる角膜上皮欠損の鑑別のポイント
III 角膜潰瘍の鑑別
I.感染性か? 非感染性か?
II.感染性角膜潰瘍の鑑別
III.非感染性角膜潰瘍(周辺部角膜潰瘍)の鑑別
Topics
前眼部OCT
IV 角膜浸潤の鑑別
I.角膜浸潤の原因
II.角膜浸潤の鑑別のポイント
III.周辺部角膜浸潤をきたす疾患
IV.中央部角膜浸潤をきたす疾患
Topics
multiplex PCR
V 角膜沈着病巣の鑑別
I.角膜沈着病巣の鑑別のポイント
II.角膜上皮層のみの沈着
III.角膜上皮層から実質層および実質浅層の沈着
IV.角膜実質層の沈着
V.Descemet膜近傍の角膜実質層の沈着
VI.Descemet膜から角膜内皮面の沈着
Topics
角膜疾患の遺伝子診断
VI 角結膜瘢痕の鑑別
I.角結膜瘢痕の鑑別のポイント
II.角膜上皮幹細胞
III.先天性の原因疾患
IV.原発性の原因疾患
V.続発性の原因疾患
VI.特発性角膜上皮幹細胞疲弊症
VII.培養細胞シート移植
Topics
コンフォーカルマイクロスコピー
VII 角膜浮腫の鑑別
I.角膜浮腫の鑑別のために必要な生理学
II.角膜浮腫の鑑別のポイント
III.角膜上皮浮腫
IV.角膜実質浮腫,水疱性角膜症
VIII 角膜内皮異常,角膜後面沈着物の鑑別
A 角膜内皮異常
I.角膜内皮異常の観察のポイント
II.滴状角膜
III.Fuchs角膜内皮ジストロフィ
IV.後部多形性角膜ジストロフィ
V.先天性遺伝性角膜内皮ジストロフィ
VI.X連鎖性角膜内皮ジストロフィ
VII.posterior corneal vesicle(PCV)
VIII.虹彩角膜内皮症候群
IX.後部円錐角膜
X.分娩時外傷
B 角膜後面沈着物
I.Posner-Schlossman症候群
II.Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎
III.特発性角膜内皮炎
IV.偽落屑症候群
V.内皮型拒絶反応
IX 角膜形状異常の鑑別
I.角膜形状異常の鑑別のポイント
II.非炎症性角膜菲薄化疾患
III.角膜の大きさの異常
IV.続発性角膜形状異常
X 角膜移植後変化の鑑別
A 全層角膜移植後変化
I.全層角膜移植後変化の鑑別のポイント
II.角膜上皮細胞層の変化
III.角膜実質細胞層の変化
IV.角膜内皮細胞層の変化
B 角膜内皮移植後変化
I.角膜内皮移植後変化の鑑別のポイント
II.術直後の変化
III.術後拒絶反応
XI 屈折矯正手術後変化の鑑別
I.屈折矯正手術後変化の鑑別のポイント
II.エキシマレーザーを使った屈折矯正手術後変化の鑑別
III.メスを使った屈折矯正手術後変化の鑑別
Topics
角膜生体力学特性解析装置
XII 先天性角膜混濁の鑑別
I.問診のポイント
II.検査
III.前眼部発生異常
IV.ジストロフィ
V.強膜化角膜
VI.Descemet膜の破裂による混濁
VII.感染性疾患
VIII.代謝性疾患
IX.デルモイド
第3章 結膜疾患の鑑別診断
I 結膜充血,眼脂の鑑別
A 結膜充血
I.充血の定義と分類
II.結膜の血管系
III.部位による分類
IV.結膜充血の病因別分類
V.充血の評価
B 眼脂
I.眼脂の定義
II.眼脂の性状による分類
III.眼脂の原因疾患
IV.眼脂の評価
Topics
感染症顕微鏡検査
II 結膜・輪部腫瘍性病変の鑑別
I.結膜腫瘍の診断
II.結膜の良性腫瘍
III.結膜の悪性腫瘍
第4章 眼瞼疾患の鑑別診断
I 眼瞼腫瘍性病変の鑑別
I.良性腫瘍と悪性腫瘍の鑑別
II.眼瞼の良性腫瘍
III.眼瞼の悪性腫瘍
II 眼瞼炎症性疾患の鑑別
I.眼瞼炎の分類
II.眼瞼縁炎
III.眼瞼皮膚炎
第5章 涙液関連疾患の鑑別診断
I ドライアイの鑑別
I.涙液の3層構造
II.ドライアイの定義と疾患概念
III.ドライアイの診断
IV.ドライアイ層別診断の考え方
V.後部眼瞼炎,マイボーム腺機能不全,ドライアイの鑑別
VI.眼瞼けいれんとの鑑別
Topics
マイボグラフィー
II 流涙症の鑑別
I.涙道の仕組み
II.流涙の他覚的検査
III.分泌性流涙
IV.導涙性流涙
V.分泌性流涙と導涙性流涙が混在しているもの
VI.その他
Topics
涙液と視機能検査
和文索引
欧文索引
I オキュラーサーフェス疾患の診断概論
I.角膜上皮幹細胞の異常を伴う角膜上皮障害
II.角膜上皮幹細胞の異常を伴わない角膜上皮障害
III.眼表面のバリアー機能の傷害
IV.角膜混濁
V.角膜浮腫
II オキュラーサーフェス疾患における細隙灯顕微鏡の使い方
I.細隙灯顕微鏡を用いた診察における照明法
II.細隙灯顕微鏡を用いた前眼部診察の手順
第2章 角膜疾患の鑑別診断
I 点状表層角膜症の鑑別
I.点状表層角膜症の鑑別のポイント
II.角膜上方の点状表層角膜症
III.角膜中央の点状表層角膜症
IV.角膜下方の点状表層角膜症
V.びまん性の点状表層角膜症
II 角膜上皮欠損の鑑別
I.角膜上皮の生理
II.原因別にみる角膜上皮欠損の鑑別のポイント
III 角膜潰瘍の鑑別
I.感染性か? 非感染性か?
II.感染性角膜潰瘍の鑑別
III.非感染性角膜潰瘍(周辺部角膜潰瘍)の鑑別
Topics
前眼部OCT
IV 角膜浸潤の鑑別
I.角膜浸潤の原因
II.角膜浸潤の鑑別のポイント
III.周辺部角膜浸潤をきたす疾患
IV.中央部角膜浸潤をきたす疾患
Topics
multiplex PCR
V 角膜沈着病巣の鑑別
I.角膜沈着病巣の鑑別のポイント
II.角膜上皮層のみの沈着
III.角膜上皮層から実質層および実質浅層の沈着
IV.角膜実質層の沈着
V.Descemet膜近傍の角膜実質層の沈着
VI.Descemet膜から角膜内皮面の沈着
Topics
角膜疾患の遺伝子診断
VI 角結膜瘢痕の鑑別
I.角結膜瘢痕の鑑別のポイント
II.角膜上皮幹細胞
III.先天性の原因疾患
IV.原発性の原因疾患
V.続発性の原因疾患
VI.特発性角膜上皮幹細胞疲弊症
VII.培養細胞シート移植
Topics
コンフォーカルマイクロスコピー
VII 角膜浮腫の鑑別
I.角膜浮腫の鑑別のために必要な生理学
II.角膜浮腫の鑑別のポイント
III.角膜上皮浮腫
IV.角膜実質浮腫,水疱性角膜症
VIII 角膜内皮異常,角膜後面沈着物の鑑別
A 角膜内皮異常
I.角膜内皮異常の観察のポイント
II.滴状角膜
III.Fuchs角膜内皮ジストロフィ
IV.後部多形性角膜ジストロフィ
V.先天性遺伝性角膜内皮ジストロフィ
VI.X連鎖性角膜内皮ジストロフィ
VII.posterior corneal vesicle(PCV)
VIII.虹彩角膜内皮症候群
IX.後部円錐角膜
X.分娩時外傷
B 角膜後面沈着物
I.Posner-Schlossman症候群
II.Fuchs虹彩異色性虹彩毛様体炎
III.特発性角膜内皮炎
IV.偽落屑症候群
V.内皮型拒絶反応
IX 角膜形状異常の鑑別
I.角膜形状異常の鑑別のポイント
II.非炎症性角膜菲薄化疾患
III.角膜の大きさの異常
IV.続発性角膜形状異常
X 角膜移植後変化の鑑別
A 全層角膜移植後変化
I.全層角膜移植後変化の鑑別のポイント
II.角膜上皮細胞層の変化
III.角膜実質細胞層の変化
IV.角膜内皮細胞層の変化
B 角膜内皮移植後変化
I.角膜内皮移植後変化の鑑別のポイント
II.術直後の変化
III.術後拒絶反応
XI 屈折矯正手術後変化の鑑別
I.屈折矯正手術後変化の鑑別のポイント
II.エキシマレーザーを使った屈折矯正手術後変化の鑑別
III.メスを使った屈折矯正手術後変化の鑑別
Topics
角膜生体力学特性解析装置
XII 先天性角膜混濁の鑑別
I.問診のポイント
II.検査
III.前眼部発生異常
IV.ジストロフィ
V.強膜化角膜
VI.Descemet膜の破裂による混濁
VII.感染性疾患
VIII.代謝性疾患
IX.デルモイド
第3章 結膜疾患の鑑別診断
I 結膜充血,眼脂の鑑別
A 結膜充血
I.充血の定義と分類
II.結膜の血管系
III.部位による分類
IV.結膜充血の病因別分類
V.充血の評価
B 眼脂
I.眼脂の定義
II.眼脂の性状による分類
III.眼脂の原因疾患
IV.眼脂の評価
Topics
感染症顕微鏡検査
II 結膜・輪部腫瘍性病変の鑑別
I.結膜腫瘍の診断
II.結膜の良性腫瘍
III.結膜の悪性腫瘍
第4章 眼瞼疾患の鑑別診断
I 眼瞼腫瘍性病変の鑑別
I.良性腫瘍と悪性腫瘍の鑑別
II.眼瞼の良性腫瘍
III.眼瞼の悪性腫瘍
II 眼瞼炎症性疾患の鑑別
I.眼瞼炎の分類
II.眼瞼縁炎
III.眼瞼皮膚炎
第5章 涙液関連疾患の鑑別診断
I ドライアイの鑑別
I.涙液の3層構造
II.ドライアイの定義と疾患概念
III.ドライアイの診断
IV.ドライアイ層別診断の考え方
V.後部眼瞼炎,マイボーム腺機能不全,ドライアイの鑑別
VI.眼瞼けいれんとの鑑別
Topics
マイボグラフィー
II 流涙症の鑑別
I.涙道の仕組み
II.流涙の他覚的検査
III.分泌性流涙
IV.導涙性流涙
V.分泌性流涙と導涙性流涙が混在しているもの
VI.その他
Topics
涙液と視機能検査
和文索引
欧文索引
書評
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角膜疾患診療に自信を持てるようになる教科書
書評者: 坪田 一男 (慶大教授・眼科学)
本書は角膜分野の診療を切り拓いてきた阪大眼科と,東大眼科が総力を挙げて作った「オキュラーサーフェス疾患」の教科書である。西田幸二教授,天野史郎教授の情熱が伝わる力の入った書となっている。タイトルに「目で見る鑑別」とあるように,鮮明な写真が豊富に使われており,ひと目で疾患が理解できるように構成されている。また内容も具体的な鑑別に加えて,実際の治療まで懇切丁寧に書かれているので,日々の臨床に大いに役立つこと間違いない。
従来は「角膜疾患」としてひとくくりにされていた眼表面疾患だが,最近では「オキュラーサーフェス疾患」として一つの独立した分野として認識されるようになった。涙腺から涙液が分泌され,眼瞼による正常な瞬目によって涙液が眼表面に供給され,そして涙道から排出されるダイナミックな側面も重要な一つの概念になっている。そして角膜および結膜上皮とそれを定常的にサポートするそれぞれのステムセルに,ゴブレットセルなどの機能細胞群が互いに助け合ってオキュラーサーフェスの健常性を維持しているのである。それぞれの機能の一つでも破綻するといわゆる“病態”となるわけだが,オキュラーサーフェスの診断においては,どの部分が破綻しているのかをしっかりと把握する必要がある。
本書では西田教授,天野教授のしっかりとした診療への哲学の下に考え方も整理されており非常にわかりやすい。また本教科書では最新のオキュラーサーフェスの概念をいち早く取り入れており,現在最も臨床に役立つテキストと言えるだろう。例えばドライアイの領域では,涙液の層別診断,層別治療の概念が既に記されており,非常にアップデートな内容となっている。
以上のように,オキュラーサーフェス疾患の教科書として素晴らしいものだが,さらには「角膜」の教科書としても成り立つほど,実質,内皮疾患の記載まで丁寧に記載されている。本教科書一冊があれば,オキュラーサーフェス疾患ばかりでなく,角膜疾患全般に対して自信を持って診療にあたれるようになると思う。研修医の先生方から実地臨床医家の先生方,そして角膜を専門とする先生にもお薦めの一冊である。
オキュラーサーフェス専門医の頭の中がのぞける一冊
書評者: 島崎 潤 (東歯大市川総合病院眼科部長)
眼科の魅力の一つに「直接目で見ることができる」というのがあると思う。ラボデータや画像を介しての診断が主体となる他科と異なり,眼科疾患の多くはスリットランプや眼底鏡などで直接見て診断を下し,治療効果の判定を行うことができる。特にオキュラーサーフェスは,そのすべてをスリットランプで観察することができる。眼科医ならば誰でも,オキュラーサーフェスの観察は日常的に行っており,施設や器械によってできたりできなかったりということはない。
すると以下のような疑問が生じる。「誰にでも見ることができるのであれば,誰でも同じように診断できるのではないか?」答えは当然「ノー」である。同じ症例を前にしても,レジデントと専門医ではその診断技術に大きな差がある。ではその差は,接したことのある症例数,いわゆる「経験の差」に由来するのであろうか? これは半分は正解だが,半分はそうとも言えない。確かにスリットランプという単純な器械でもその使い方は奥が深い。しかし専門医の診断技術の神髄は,その頭の中にあると思う。オキュラーサーフェスは診断や治療に頭を使う分野である。眼で見た所見と病歴を元に,頭の中で病態のストーリーを組み立て,それを元に治療計画を立てる。その過程こそが経験の差であり,単なるデータ量の問題ではない。
ここに紹介する『オキュラーサーフェス疾患—目で見る鑑別疾患』を読むと,オキュラーサーフェス専門医の頭の中をのぞくことができる。単なる疾患写真の羅列ではなく,どのように診断を下していくかが丁寧に書かれている。総説Iの「オキュラーサーフェス疾患の診断概論」(西田幸二先生担当)は,オキュラーサーフェス疾患をその病態から分類して俯瞰しているし,総説II「オキュラーサーフェス疾患における細隙灯顕微鏡の使い方」(天野史郎先生担当)は,スリットランプの使い方の極意を懇切丁寧に書いている。
各論も,角膜では「点状表層角膜症」「角膜上皮欠損」「角膜潰瘍」「角膜沈着病巣」「角結膜瘢痕」「角膜浮腫」と,所見別にその鑑別のポイントがわかりやすく書かれており,角膜以外の結膜,眼瞼,涙液と同様の構成となっている。あたかも症例を前にした眼科医に直接指導しているような趣がある。加えて,角膜形状解析や前眼部OCT,マイボグラフィーやその他の細胞生物学的・遺伝子診断などにも触れられていて,オキュラーサーフェス専門医にも有用な内容となっている。
本書は,通読して頭の中を整理するにも適しているし,日常診療で診断に迷った際に開くにも適している実用的な好著である。
成書との併用で縦横の知識が網羅できる外来必携の一冊
書評者: 妹尾 正 (獨協医大教授・眼科学)
本書は,「眼科臨床エキスパート」シリーズの角膜疾患編である。本書籍はこれまでの成書として確立された定番の説明だけにとどまらず,最先端の知見・技術を含む基礎知識や臨床応用,トピックスが盛り込まれている。角膜形状解析,PCRなどの遺伝子検査,前眼部OCT,電子顕微鏡,共焦点顕微鏡といった現状でも新たな利用価値や開発が進み続けている機器の解説や実際の所見がふんだんに盛り込まれている,頼もしい一冊である。
なによりも本書に魅力を感じる点は,その読みやすさ(使いやすさ)にあると思う。一般診療でわれわれ臨床医がとる診断・治療の過程のなかで成書や文献は,問診・診察より得られる情報から臨床経験を通して想起される診断・治療の確認や確定診断にむけたさらなる検査,ベストチョイスであろう治療法の選択を確立するための一手段として用いられている。しかし実際には日常診療のなかで素早く診断・治療を決めてゆくためには,ゆるぎない知識が要求されるうえ,必ずしも自分が専門とする疾患を患う患者のみが選択的に自分のもとに来るわけではない。中には典型的な所見を呈する患者だけではなく,専門分野であっても診断がつきにくい疾患もあまたある。このような現状で,多くの成書は疾患について詳細にまとめあげたものが多い。例えば「角膜上皮欠損」→「異物」「CL障害」「アレルギー」「感染症」「薬物障害」などなど多くの原因を想起し診断・治療へと進んでゆくわけだが,鑑別が困難な場合(または治療効果が得られない場合)成書をひも解くのはやや手間がかかる。(もっともこれらを繰り返してゆくことが,医師としての知識につながってゆくのだが——)この点で本書はまとめ方がユニークで他の成書と併用し得る興味ある一冊となっている。われわれ眼科医が診療上最も得られやすい臨床所見,例えば「点状表層角膜症の鑑別」「角膜上皮欠損の鑑別」といったようにまとめあげられているのである。これまで本書のようなまとめ方は,ありそうでなかった。なぜならば,このようなまとめ方を求めると疾患や診断・治療法が大きく重複してしまい複雑かつ膨大になってしまうからである。本書はこの点をきれいに整理し非常に理解しやすくまとめ上げている。また基礎知識,所見,疾患概念,検査を先端技術や治療法を含めて段落ごとに整理されており,大変使いやすい。疾患ごとに整理された大きな成書も一冊必要とは思われるが,本書と併用することによって縦横の知識の網羅ができる外来必携の一冊である。
書評者: 坪田 一男 (慶大教授・眼科学)
本書は角膜分野の診療を切り拓いてきた阪大眼科と,東大眼科が総力を挙げて作った「オキュラーサーフェス疾患」の教科書である。西田幸二教授,天野史郎教授の情熱が伝わる力の入った書となっている。タイトルに「目で見る鑑別」とあるように,鮮明な写真が豊富に使われており,ひと目で疾患が理解できるように構成されている。また内容も具体的な鑑別に加えて,実際の治療まで懇切丁寧に書かれているので,日々の臨床に大いに役立つこと間違いない。
従来は「角膜疾患」としてひとくくりにされていた眼表面疾患だが,最近では「オキュラーサーフェス疾患」として一つの独立した分野として認識されるようになった。涙腺から涙液が分泌され,眼瞼による正常な瞬目によって涙液が眼表面に供給され,そして涙道から排出されるダイナミックな側面も重要な一つの概念になっている。そして角膜および結膜上皮とそれを定常的にサポートするそれぞれのステムセルに,ゴブレットセルなどの機能細胞群が互いに助け合ってオキュラーサーフェスの健常性を維持しているのである。それぞれの機能の一つでも破綻するといわゆる“病態”となるわけだが,オキュラーサーフェスの診断においては,どの部分が破綻しているのかをしっかりと把握する必要がある。
本書では西田教授,天野教授のしっかりとした診療への哲学の下に考え方も整理されており非常にわかりやすい。また本教科書では最新のオキュラーサーフェスの概念をいち早く取り入れており,現在最も臨床に役立つテキストと言えるだろう。例えばドライアイの領域では,涙液の層別診断,層別治療の概念が既に記されており,非常にアップデートな内容となっている。
以上のように,オキュラーサーフェス疾患の教科書として素晴らしいものだが,さらには「角膜」の教科書としても成り立つほど,実質,内皮疾患の記載まで丁寧に記載されている。本教科書一冊があれば,オキュラーサーフェス疾患ばかりでなく,角膜疾患全般に対して自信を持って診療にあたれるようになると思う。研修医の先生方から実地臨床医家の先生方,そして角膜を専門とする先生にもお薦めの一冊である。
オキュラーサーフェス専門医の頭の中がのぞける一冊
書評者: 島崎 潤 (東歯大市川総合病院眼科部長)
眼科の魅力の一つに「直接目で見ることができる」というのがあると思う。ラボデータや画像を介しての診断が主体となる他科と異なり,眼科疾患の多くはスリットランプや眼底鏡などで直接見て診断を下し,治療効果の判定を行うことができる。特にオキュラーサーフェスは,そのすべてをスリットランプで観察することができる。眼科医ならば誰でも,オキュラーサーフェスの観察は日常的に行っており,施設や器械によってできたりできなかったりということはない。
すると以下のような疑問が生じる。「誰にでも見ることができるのであれば,誰でも同じように診断できるのではないか?」答えは当然「ノー」である。同じ症例を前にしても,レジデントと専門医ではその診断技術に大きな差がある。ではその差は,接したことのある症例数,いわゆる「経験の差」に由来するのであろうか? これは半分は正解だが,半分はそうとも言えない。確かにスリットランプという単純な器械でもその使い方は奥が深い。しかし専門医の診断技術の神髄は,その頭の中にあると思う。オキュラーサーフェスは診断や治療に頭を使う分野である。眼で見た所見と病歴を元に,頭の中で病態のストーリーを組み立て,それを元に治療計画を立てる。その過程こそが経験の差であり,単なるデータ量の問題ではない。
ここに紹介する『オキュラーサーフェス疾患—目で見る鑑別疾患』を読むと,オキュラーサーフェス専門医の頭の中をのぞくことができる。単なる疾患写真の羅列ではなく,どのように診断を下していくかが丁寧に書かれている。総説Iの「オキュラーサーフェス疾患の診断概論」(西田幸二先生担当)は,オキュラーサーフェス疾患をその病態から分類して俯瞰しているし,総説II「オキュラーサーフェス疾患における細隙灯顕微鏡の使い方」(天野史郎先生担当)は,スリットランプの使い方の極意を懇切丁寧に書いている。
各論も,角膜では「点状表層角膜症」「角膜上皮欠損」「角膜潰瘍」「角膜沈着病巣」「角結膜瘢痕」「角膜浮腫」と,所見別にその鑑別のポイントがわかりやすく書かれており,角膜以外の結膜,眼瞼,涙液と同様の構成となっている。あたかも症例を前にした眼科医に直接指導しているような趣がある。加えて,角膜形状解析や前眼部OCT,マイボグラフィーやその他の細胞生物学的・遺伝子診断などにも触れられていて,オキュラーサーフェス専門医にも有用な内容となっている。
本書は,通読して頭の中を整理するにも適しているし,日常診療で診断に迷った際に開くにも適している実用的な好著である。
成書との併用で縦横の知識が網羅できる外来必携の一冊
書評者: 妹尾 正 (獨協医大教授・眼科学)
本書は,「眼科臨床エキスパート」シリーズの角膜疾患編である。本書籍はこれまでの成書として確立された定番の説明だけにとどまらず,最先端の知見・技術を含む基礎知識や臨床応用,トピックスが盛り込まれている。角膜形状解析,PCRなどの遺伝子検査,前眼部OCT,電子顕微鏡,共焦点顕微鏡といった現状でも新たな利用価値や開発が進み続けている機器の解説や実際の所見がふんだんに盛り込まれている,頼もしい一冊である。
なによりも本書に魅力を感じる点は,その読みやすさ(使いやすさ)にあると思う。一般診療でわれわれ臨床医がとる診断・治療の過程のなかで成書や文献は,問診・診察より得られる情報から臨床経験を通して想起される診断・治療の確認や確定診断にむけたさらなる検査,ベストチョイスであろう治療法の選択を確立するための一手段として用いられている。しかし実際には日常診療のなかで素早く診断・治療を決めてゆくためには,ゆるぎない知識が要求されるうえ,必ずしも自分が専門とする疾患を患う患者のみが選択的に自分のもとに来るわけではない。中には典型的な所見を呈する患者だけではなく,専門分野であっても診断がつきにくい疾患もあまたある。このような現状で,多くの成書は疾患について詳細にまとめあげたものが多い。例えば「角膜上皮欠損」→「異物」「CL障害」「アレルギー」「感染症」「薬物障害」などなど多くの原因を想起し診断・治療へと進んでゆくわけだが,鑑別が困難な場合(または治療効果が得られない場合)成書をひも解くのはやや手間がかかる。(もっともこれらを繰り返してゆくことが,医師としての知識につながってゆくのだが——)この点で本書はまとめ方がユニークで他の成書と併用し得る興味ある一冊となっている。われわれ眼科医が診療上最も得られやすい臨床所見,例えば「点状表層角膜症の鑑別」「角膜上皮欠損の鑑別」といったようにまとめあげられているのである。これまで本書のようなまとめ方は,ありそうでなかった。なぜならば,このようなまとめ方を求めると疾患や診断・治療法が大きく重複してしまい複雑かつ膨大になってしまうからである。本書はこの点をきれいに整理し非常に理解しやすくまとめ上げている。また基礎知識,所見,疾患概念,検査を先端技術や治療法を含めて段落ごとに整理されており,大変使いやすい。疾患ごとに整理された大きな成書も一冊必要とは思われるが,本書と併用することによって縦横の知識の網羅ができる外来必携の一冊である。