看護のアジェンダ2

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「医学界新聞」の大人気連載「看護のアジェンダ」の書籍化第2弾。私たちの看護はかくも表現できるのか! 読むとつい、誰かと議論したくなる新たな112のアジェンダ(検討課題)を提示しました。

井部 俊子
発行 2026年05月判型:A5頁:384
ISBN 978-4-260-06581-8
定価 2,750円 (本体2,500円+税)

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※第1弾となる前作『看護のアジェンダ』はこちら

134.感情のメカニズム
135.感情表現としての“からだことば”
136.不道徳というカクテル
137.看護部長はどのようにして最期を迎えたか
138.「いかがですか」の含意
139.医療の質と安全のあいだ
140.オーサーシップ(著者資格)
141.大学院生との四季
142.シンガポールの病院から学ぶ
143.成果を挙げるリーダー研修とは
144.本当の看護を求めて
145.意思決定支援とは何か
146.看護管理ものがたり
147.追悼
148.『浮浪(はぐれ)雲』に学ぶ
149.長寿化時代の新しいステージ
150.辞め方の美学
151.身体抑制ゼロへの道のり
152.ものごとの頼み方の作法──三顧の礼
153.家族付添許可申請書をめぐって
154.再考「身体拘束」
155.人生の最終段階における意思決定
156.看護学速習プログラム(学士3年次編入)報告
157.「いいね♡看護研究会」の魅力
158.考察『本当の看護を求めて』
159.自動精算機は最後の難関
160.看護職のキャリアと人材ビジネス
161.学ぶことの恍惚と不安
162.武弘道のメッセージ
163.セル看護提供方式🄬というカイゼン
164.「コンパクト・プラス・ネットワーク」構想
165.トランプ大統領の成績表
166.「こげんところに行きよったら,な~んもできんごとなる」
167.哲学を学ぶ興奮
168.それぞれの春が始まる
169.AI技術と人間の読解力
170.「入学前教育プログラム」と高大接続
171.組織の精神的支柱
172.授業がもたらす不思議な感覚
173.予測と不測──ナースコールの進化と看護
174.続 AI技術と人間の読解力
175.看護管理者教育の在り方
176.息子の手術と父親の経験
177.バーガンディチームとピーコックグリーンチームの効用
178.臨地実習ことはじめ
179.2つの要諦
180.学長はかく語りき
181.不要不急について
182.ジヒキシャ
183.看護のスキル 父の足浴
184.Yの病気退治の旅
185.キャリアから抽出したエキス
186.バーチャル・ユーラシア紀行
187.聖路加の看護教育100周年
188.当番のあいさつ
189.2021年静寂の船出
190.談論風発
191.時と時間と不精な多忙
192.コロナ禍の現場レポート
193.「役に立たない」ことが役に立つ
194.真夜中のハプニング
195.看護師の寡黙と断絶
196.読書と小道具
197.世間話の値打ち
198.看護提供方式を再考する
199.「お困りごとは何ですか」
200.任務を遂行するということ
201.哀しみがたまる
202.管理者が試される時
203.ウクライナ大統領の演説
204.たいていのみちは,はじめての みち
205.犬ぞりとリードドッグ
206.職場におけるこぜり合い
207.看護師長会議の議長は誰がすべきか
208.初々しい看護管理者との出会い
209.「行いてその責をとる」
210.本をつくる・売る
211.看護部長の剣幕
212.2022年の暮れに
213.松谷美和子さんの贈り物
214.夜勤者のキャビン
215.国試支援活動に学ぶ
216.なぜ「退屈なので退職」するのか
217.看護のアントレプレナーたち
218.デカルトの『方法序説』がよみがえる時
219.うごめく感情
220.なぜ「させていただく」のか
221.管理者研修での出会い
222.エドモンドソンを読む
223.居残る前任者
224.Everyday ethics(日常倫理)
225.2024年の始動 認定看護管理者制度構想
226.米国ハワイ州カピオラニ病院の看護師ストライキ
227.業務からケアへの転換
228.マティス「ロザリオ礼拝堂」の旅
229.天使の終焉
230.「関心領域」の無関心
231.孤独について
232.看護師と教師
233.看護の知の普及
234.ある日,看護師長になる。
235.小さな学会の魅力
236.ブラウジングのすすめ
237.「議事録事件」とやる気
238.申し送りの価値
239.名前のない重要な作業
240.丸腰で向き合う
241.「リーダーが本当に語るべきこと」から
242.続 看護と哲学のコラボ
243.旭川で「看護診断」を考える
244.狂言「川上」を観る
245.「社会性」を身につけよう
246.『透析を止めた日』をめぐって──看護職の省察

おわりに

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共に在り,看護を語り合うための道標
書評者:阿部 玲子(東北公済病院看護部長)

 本書は,2005年1月から2025年12月までの20年間にわたり医学界新聞に連載された「看護のアジェンダ」251編の後半部分を収録したものである。本書のタイトルでもある「看護のアジェンダ(検討課題)」について,臨床と教育のそれぞれで多くの経験を持つ著者が,看護の課題のうち自身のアンテナに触れたものを取り上げ,さまざまな角度から論じている。

 月に一度,医学界新聞が届くと,私は真っ先に「看護のアジェンダ」のページを開く。私が勝手に師と仰ぐ著者の看護を吸い込むためだ。著者の言葉は,時に私の背中を押し,またある時は立ち止まらせて正しい道を示してくれた。

 たとえば「看護師長会議の議長は誰がすべきか」(p.237,本紙第3483号)を読んだときには,はっとさせられた。というのも,当院の看護部でもいつの頃からか,師長が持ち回りで「司会」を行うようになっていたからである。師長会議の前には司会と議題を確認し,司会が会議を進行する。しかし司会は時間通りに進行することに重きを置いているため,ここはもっと深く議論したいと思っても,時間で切り上げられてしまう。私はその状況にもやもやを感じていたものの,自分が師長会議の議長をするという決断はできずにいた。そんな折,著者から背中を押していただき,ようやく変化への一歩を踏み出すことができたのである。

 また,「本当の看護を求めて」(p.33,本紙第3225号)は,私の迷いを払拭してくれた。この回は,著者が「看護の危機という悪魔がひたひたと近づいていて」と危機感を述べるところから始まる。そして,その危機の四つ目として,「看護管理者は経営に貢献すべきであるという風潮があり」と指摘している。確かに私自身,看護部長として病院経営に参画しているため,多くの時間を診療報酬改定への対応などに費やしている。そのことに,自分の仕事は看護師ではなかったのかと自問することが何度もあった。これに対して著者は,「看護管理者の最も大きな使命は,自分の組織において提供される看護サービスの質に注目し,患者の尊厳や安楽が脅かされていないかに腐心することである」と力強く訴えていた。「本当の看護を求めて」を再読した私は,病棟に赴く時間を増やし,スタッフと看護を語る時間を増やすことを始めたのである。

 新型コロナウイルスの感染拡大を背景に,人との接触が厳格に制限される中での看護師の在り方,看護の本質を説いた「世間話の値打ち」(p.205,本紙第3442号)は,私にとって看護の原点となる体験と重なった回であった。共にその場にあることで,お互いを認め合い,尊いと思える。そして,そのことが人を人として生きることを支えるのではないかと私は思っている。そのため私は,新任の師長・主任にオリエンテーションを行う際,「世間話の値打ち」を読んだ感想と今後の課題をまとめることを課している。

 新任管理職たちは,「世間話の値打ち」を読むことでこれまでの自身の看護を振り返り,看護観とこれから磨きをかけていきたいことを書いて提出する。提出された課題の一部をここでは紹介したい。「常々,患者の思いに寄り添うことを大切にしてきた。(中略)がん末期の患者とのかかわりで,これから残された時間をどう生きていくのかの選択をする必要があった。患者のつらく,悲しく,どうしようもないという思いを,ただ一緒に過ごす。何も言わずただ寄り添う,それしかできなかったが,その時間があったからこそ,患者が自分に心を開いてくれたのだと思う」。「看護のアジェンダ」の力を借りながら,このように新しい管理職のこれからの実践を言語化してもらうことが,毎年の私の楽しみである。

 このほかにもたくさんのストーリーがあり,著者の描く人物は,温かみがあり色がある。いずれも愛情をもって描かれているのを感じる。

 これからもこの本が,アジェンダと向き合う私たち看護職のそばで伴走してくれる一冊であり続け,広く読まれることを期待している。

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