言語聴覚療法 評価・診断学 第2版
言語聴覚士をめざす学生が評価・診断学を学ぶ最初の教科書
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言語聴覚障害学の理論・技術を網羅かつ体系化した標準的な教科書シリーズ。本書では読者が診断・評価の基本概念を体系的に理解し、評価・診断のプロセスと思考過程を領域横断的に学ぶ。構成を刷新、各領域の評価・診断の実際を成人と小児で分け、より学びやすい作りになった。評価プランの作成、検査の読み取り方、得られた情報の統合の仕方を事例を含めて解説する。
*「標準言語聴覚障害学」は株式会社医学書院の登録商標です。
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序文
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第2版の序
『言語聴覚療法 評価・診断学』は2020年の初版発行から6年が経過して,このたび第2版を発行することになった.評価・診断は,言語聴覚士国家試験出題基準では言語聴覚障害学総論の中の大項目である言語聴覚障害診断学に該当する内容である.また,日本言語聴覚士協会が作成した言語聴覚士養成教育モデル・コア・カリキュラムでは,障害領域の枠を超えて共通に学修する領域とし位置づけられ,「各種言語聴覚障害に共通する評価診断の理念,臨床推論などの基本的な知識・技能・態度に関する基礎的学修と,言語聴覚障害を総合的に評価し各種障害をスクリーニングする知識・技能の応用的学修からなる」とされている.
評価・診断は,情報収集,スクリーニング検査,精密検査(総合的検査,特定検査)によって対象者の全体像を把握し,その結果を根拠に訓練・指導・助言の方針を立案するという過程である.言語聴覚療法は,言語聴覚障害がある方の心身機能の回復と生活機能の回復を通して自立生活を支援すると同時に,評価・診断による障害の発現機序と回復に関する仮説の設定と訓練などを通した仮説の証明を行うという過程である.評価・診断は言語聴覚療法の核心であり,言語聴覚士を目指す学生時代から臨床の場で言語聴覚臨床に携わるようになっても重要な過程である.特に,超高齢社会となり加齢による諸機能の低下やさまざまな基礎疾患を有する対象者が多彩な障害像を示すようになり,評価・診断過程の重要性は大きくなっている.
初版から第2版の大きな変更点は,第4章と第5章を障害の種類ごとではなく,成人と小児の領域に分けた点である.この構成は,実際の臨床の流れに沿って,初診時からさまざまな可能性を考えながら臨床推論を重ね,評価・診断を進めていく一連の過程をより理解しやすくすることを目的としている.その他の章は,初版にならって第1章では言語聴覚障害の種類と特徴,評価・診断の基本概念,評価の技法,臨床データの解釈,第2章は評価・診断の過程,第3章では各領域において必要とされる評価法を解説した.第6章で重複障害における実際を学修してもらうために評価・診断の各過程を具体的に記述している.第7章では評価・診断結果の報告書について学修してもらう.また,第8章には初版と同じく研究法を取り上げたが,別体裁としている.これは,研究法が,言語聴覚士養成教育モデル・コア・カリキュラムの枠組みで,「言語聴覚研究法」が学修すべき項目とされており,多くの養成所でも講義や演習の中に設定されているからである.
第2版では,多くの項目で執筆者の交代をお願いした.初版で執筆いただいた先生方には心から感謝申し上げたい.今回も言語聴覚障害の各領域において臨床・研究の第一人者として活躍している言語聴覚士の方々に執筆をご担当いただいた.言語聴覚士を目指す学生や若き言語聴覚士にとって理解しやすく,実際的な内容となったと考えている.
最後に,このように熱意をこめてご執筆くださった先生方に心から感謝申し上げたい.また,本書の出版にあたり,忍耐強い励まし,ご尽力をいただいた医学書院編集部の皆様に深く感謝申し上げる.
2026年1月
編集
深浦順一
植田 恵
目次
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第1章 言語聴覚療法における評価・診断とは
1 言語聴覚障害の種類と特徴
A 聴覚障害
B 言語発達障害
C 失語症
D 構音障害
E 吃音・流暢性障害
F 音声障害
G 高次脳機能障害に伴う認知・コミュニケーション障害
H 摂食嚥下障害
2 評価・診断の基本概念
A 言語聴覚療法における評価・診断
B 評価・診断の目的
C 評価・診断で求められること
D 評価・診断における留意点
3 評価の技法
A 面接法
B 観察法
C 検査法
D 質問紙法
4 臨床データの解釈
A 妥当性と信頼性
B 数値化と尺度水準
C データの特性
D 測定値の解釈(正常値と異常値の見方)
E 検査実施時および結果の解釈における留意点
第2章 評価・診断の過程
1 評価・診断の流れ
2 評価・診断の枠組み
A スクリーニング
B 評価プランの立案
C 精密検査(精査のための検査)
D 行動観察
E 評価のまとめと言語病理学的診断
F 訓練の適応判定と予後予測
G 全体像の整理
H 訓練・指導方針の立案
I サマリーの作成と本人・家族への説明と同意
J 再評価
第3章 各領域において必要とされる評価法
1 言語・認知系(成人)
A 言語機能
B 高次脳機能
2 言語・認知系(小児)
A 小児の評価を行う場合の視点と流れ
B 代表的な検査
3 発声発語系
A 面接法
B 観察法
C 質問紙法
D 検査法
4 摂食嚥下系
A 面接法
B 観察法
C 質問紙法
D 検査法
E 重症度分類
5 聴覚系
A 観察法
B 質問紙法
C 検査法
6 その他
A 運動機能・日常生活活動
B パーソナリティ・精神症状
C 健康関連QOL,精神健康度
第4章 各領域の評価・診断の実際:成人
1 成人領域における言語聴覚障害のスクリーニング
A 言語聴覚士が直接収集する情報
B 間接的に収集する情報
2 言語・認知系
A 評価・診断の留意点
B 情報の統合(評価サマリーの作成)事例
3 発声発語系
1.音声障害
A 音声障害の分類
B 音声障害の診断
C 問診
D 心理検査
E 情報の統合(評価サマリーの作成)事例
2.構音障害
A 評価・診断の留意点
B 情報の統合(評価サマリーの作成)事例
3.流暢性障害
A 評価・診断の留意点
B 情報の統合(評価サマリーの作成)事例
4 摂食嚥下系
A 評価・診断の留意点
B 情報の統合(評価サマリーの作成)事例
5 聴覚障害
A 評価・診断の留意点
B 情報の統合(評価サマリーの作成)事例
第5章 各領域の評価・診断の実際:小児
1 小児領域における言語聴覚障害のスクリーニング
A スクリーニングとは
B 情報収集
C 報告書
2 言語・認知系
A 評価・診断の留意点
B 情報の統合(評価サマリーの作成)事例
3 発声発語系
1.構音障害
A 評価・診断の留意点
B 情報の統合(評価サマリーの作成)事例
2.流暢性障害
A 評価・診断の留意点
B 具体的な評価の手続き(特定検査の適用)
C 情報の統合(評価サマリーの作成)事例
4 摂食嚥下系
A 評価・診断の留意点
B 面接
C 質問紙
D 観察
E 検査
F 情報の統合(評価サマリーの作成)事例
5 聴覚障害
A 評価・診断の留意点
B 情報の統合(評価サマリーの作成)事例
第6章 障害が重複した事例の評価・診断
1 成人において重複する障害
1.総論
A どのような重複障害があるか
B 評価の進め方
2.失語症とその他の高次脳機能障害
A 事例の基本情報と医学的情報
B インテーク・スクリーニング
C 特定(掘り下げ)検査
D 評価結果の分析とまとめ
3.認知症を伴った摂食嚥下障害
A 事例の基本情報と医学的情報
B 面接
C スクリーニング(2病日)
D 機器を用いた検査
E 食事観察(発症8~15病日)
F 評価結果の解釈とまとめ
G 方針
H 訓練計画
I まとめ
2 小児において重複する障害
1.総論
A 重複障害の概要
B 調査・統計
C 重複障害の評価の基本的な視点
2.発達障害・聴覚障害
A 事例の基本情報
B 評価プラン
C 評価のまとめ
3.脳性麻痺と重複障害
A 事例の基本情報と医学的情報
B スクリーニング
C 評価プランの立案
D 評価(検査)の実施・結果
E 結果の読み取り(評価のまとめ)
第7章 評価・診断結果の報告
1 報告書の書き方
2 情報提供
第8章 研究法
1 なぜ研究が必要か
2 何を研究対象とするか
3 研究と臨床の関係
4 研究における実証の方法
A 実証の方法論
B 研究における実証の基礎
5 統計的分析
A 測定尺度
B 記述統計
C 推測統計
6 研究の倫理
A 医学系研究の倫理指針
B 日本における医学系研究の倫理指針
C 研究の不正行為
D 利益相反
7 研究の種類
A 研究の「問い」
B 研究法の分類
C 量的研究
D 質的研究
8 研究の進め方
A 研究テーマの設定
B 研究計画の立案
C 研究の実施
9 研究報告の仕方
A 論文の書き方
B 学会発表の仕方
10 論文の読み方
A 論文の種類
B 論文を効率的に読む
C 論文の内容を批判的に吟味する
Pointの答え
参考図書
言語聴覚療法 評価・診断学の授業プラン
『標準言語聴覚障害学』全10巻の特長と構成
索引
Note一覧
① DSM-5-TRとICD-11
② 臨床推論
③ あぶみ骨筋反射の検査方法
④ 上昇法と下降法
⑤ 検査場面と日常生活場面の差
⑥ 喉頭内視鏡検査時の共鳴評価
⑦ 不随意運動とは?
⑧ 神経原性吃音者の吃音に対する無関心について
⑨ 心理面の評価に用いる検査
⑩ ナラティブ
⑪ スティグマ
⑫ 診断的治療
⑬ 自己発話認識
⑭ 哺乳にかかわる反射
⑮ 摂食にかかわる口腔運動パターンの発達的変化
⑯ 海外で標準化された評価スケール
⑰ 赤ちゃんせんべい法
⑱ 対象児・者や家族中心の支援
⑲ 個人情報
⑳ 定期的なカンファレンスの実施
㉑ エビデンスに基づく言語聴覚療法
㉒ 先行研究の探し方




